「引っ張って行かれた先がこれでは、残念で狼さん、どうすれば良いのでしょうか?」赤ずきん Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
引っ張って行かれた先がこれでは、残念で狼さん、どうすれば良いのでしょうか?
ここ数年「セブン」「真実の行方」や「ユージャルサスペクツ」といった作品の様なハラハラ・ドキドキもののミステリー映画が少ない中で、この映画は登場人物の誰もが胡散臭く、真犯人が簡単には特定出来ず、推理が困難と言う点では或る程度楽しめる作品だ。
村の住人の中の誰かが、狼人間と言う悪魔で、その真犯人を特定するまでに起こる、裏切りと、復讐劇などと、エグイ謎解き話としては、最後迄観客を引っ張るように練られた脚本は巧いし、「赤ずきん」と言う童話を連想してしまうと最後まで、その期待感は良い意味で裏切られる作品で、エグサ+エロサのテンコ盛りで、決して、子供には見せられないストーリーで驚かされた。
10数年前になるだろうか、「本当は怖いグリム童話」とか何とか言うタイトルの本がベストセラーになっていた事があった。その本が指摘する様に本来、童話とは子供向けの児童図書であり、純粋で、心温まるファンタジックなお話し集のはずであるか、或いは教訓話として、将来子供達の役に立つストーリー集と言う認識があるが、グリム童話の真の姿は、お子ちゃま向きでも全然なく、返って大人の読む小説、それ以上により恐~い民話を集めた作品や、創作集である事をその本は指摘していた。ウ~ン、確かにこの映画「赤ずきん」は童話をモチーフにはしているものの、決してファンタジーとは言えない。甘い夢のある世界のお話しなどでも決してなかったと言う点で、この映画はよりグリム兄弟的な童話の裏の真実を告げる作品なのかもしれない。そして、犯人は中々解らないと言う点では、かなり楽しめる作品だが、このラストのちょっと手前の犯人がバレタ時点で、ドン引きだった。そりゃあ、所詮は悪魔払いの様な、妖怪退治がメインストーリーともなれば、エログロで当然なのだろうが、しかし、この映画には救いが無い。
本当のラストの終わり方で、少しだけやや救われるものの、犯人の動機を明かされた時には、一機にドン引きしました!
折角、複線を多数張っていて、少しでも見逃してしまうと、犯人の特定が困難と言う展開で、上質のミステリー作品に仕上げる様に練られた話でも、主人公のキャラが、人間と狼の中間である事と同様に、この映画の存在理由も、ミステリー劇なのか、単なる復讐劇なのか、犯人が明かす、殺人の理由がこれでは、単なる茶番劇であっけない終焉に、観客の私は、一体どう、反応すれば良いの???
所詮は、お伽噺で、リアルもなければ、大した動機も、理由も要らないと言えばそうなのかもしれないが、しかし有名シェフの創作料理と言う前振りで提供された料理が、実は大量生産された、単なる冷凍食品だったと聞かされた時の、一種の消化不良を起こさせられそうになってしまう感覚に似ている。
私はあまり好評価はしなかった、「ダークシャドウ」の方が同じ様な、クリーチャーもどきの話とは言え、数段良い!
これから、「スノーホワイト」を観ようと考えていたのだけれども、グリム兄弟さん原作の映画やっぱり巧く騙されてしまうのかな?
この「赤ずきん」期待していただけに、失望も大きかったのかも知れない。