「とにかく笑いっぱなし。でもわざとらしくなく・・・爽やか」キツツキと雨 kaito72さんの映画レビュー(感想・評価)
とにかく笑いっぱなし。でもわざとらしくなく・・・爽やか
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試写で拝見。ファーストシーンの木こり・克彦が木を切り倒すショットからして、長い。『南極料理人』の沖田修一の作品として、笑いを期待してきた多くの者と同一だろう自分は、やや不安になるが、克彦と、映画の助監督・鳥居のまさに『未知との遭遇』としかいえない切り返しのリズムからもう爆笑。なぜ笑えるのか、言葉で説明できないが笑ってしまう。そんなシーンばかりだ。ゾンビ映画を撮る撮影隊が木こりの村と出逢う、「ミスマッチ」と言い古された言葉では説明できない、コミュニケーションのずれ。しかし、温かくそんなずれをふわりと補い合うシーンの積み重ねに、止まらない笑いを暴発させながら、克彦と映画監督・幸一の擬似的な親子関係の進み具合にほろりとさせられる。タイトルからして、「何の映画だろう」と思うかも知れないが、言葉で表現できないまさに映画そのものだけで笑い、泣き、心温まる、ああこんな映画ってまだあっていいんだ、そんな安堵に包まれて爽やかな気持ちで試写場を後にした。分かりやすい笑いや泣きにおさまろうとだけはしまい、そんな強い決心が沖田監督のこの映画から漲っていた。
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