ももへの手紙のレビュー・感想・評価
全36件中、21~36件目を表示
娘を持つ親の気持ちが直球で伝わる作品
妖怪達が大暴れしすぎで、予想以上に賑やかな内容だったが、父と娘、母と娘の関係が上手く描かれている。妖怪役の西田敏行が存在感たっぷり。
トロッコで段々畑を疾走するシーンと、台風の中母親を助けるためにバイクで橋を渡って病院に向かうシーンが頭から離れない。
脚本やプロデュースが未熟だが、作画と加恋ちゃん〜そして・・
〜そして〜
ナニヨリ!西田さんと山寺宏一さんが圧巻Σ( ̄。 ̄ノ)ノ!
素晴らし過ぎます!
それでなんとか最後まで見ることが出来ました。
◇俳優が声優する!のと・・
◇声優も俳優業の一部!てのは、改めて並べると、こんなに違うんだな?と痛感しました。
世に、様々なしがらみて有るけど・・
お母さん役や郵便局員や同級生役の方CVには、少しガッカリしました。
あと、
前半の恐ろしい位の退屈さ(´・Д・)」
確かに!プロットの為には長くても大切でもあの位のボリュームは必要だったんだろうけど、伝わらない上にただただ長いと言う悪循環!
これは〜
子供には退屈で、大人にも退屈。
まるで水戸の御老公ドラマ並みな年寄り向けの眠たい進行・・。
それが!それだけが!それが全てで!
この作品をこんなにしちゃったのかな?と。
いつも言いますが、せっかくの食材を、監督が腐らせちゃいましたとさ!的な?
残念無念!
☆評価は・・
TV無料OA基準で(*^^)v
DVD買う度 ◎
モ1回見たい度 ◆
おすすめ度 **
デートで見る度 ◇◇◇
マッドハウスとプロダクションIGて、やっぱ凄いんだな!と再認識!
何故か?日本のアニメを支える二社が想いかえされた。
がんばろう!ジャパニメーション♪(*^^)o∀*∀o(^^*)♪
話は良く練られているけど主人公の魅力がイマイチ
心ない言葉をぶつけて喧嘩別れしたまま
父を亡くなってしまった主人公・ももが
移り住むことになった瀬戸内の島で妖怪と出会う話。
この妖怪はももの家に住み着いて離れないのだけど
彼らを見ることができる(普通人間には見えない)ももが
妖怪に打ち解けて行く過程で、
徐々にその真意が明らかになっていきます。
彼らはなんのために現れたのか。
「あらすじ」としては、こんな感じですが
内容はとてもメッセージ性のあるもので
案の定と言うか、またしても私が泣き通しでした。
ネタバレするので詳しくは書きませんが
「んな訳ないだろう」的な細々としたことはこの際おいておいて
西田敏行さん演じる「イワ」、山寺宏一さん演じる「カワ」
そしてチョーさん演じる「マメ」妖怪が
風貌の恐ろしさとは対照的なコミカルさで
実に活き活きと描かれています。
ただ、逆にいうと
最も活き活きと描かれているのは妖怪で
主人公とか風景とかが、光の配し方とかが、
もひとつ魅力的に描かれていない様に感じます。
ジブリとかピクサーとかドリームワークスとかの
実写を凌ぐ超絶技巧に小慣れてしまったせいでしょうか。
特に、ももが山を駆け回って
息を呑むほどの素敵な場所に立った時など、
その「素敵」さが今ひとつ心の中に入り込んで来ないと言うか。
今回は非常に細かく舞台設定をしていて、その場所場所を
とても忠実に描いているのですが、真面目に描写するが故に
アニメならではの大胆な光のデフォルメや輝きなんかがなく
とても「素朴」な感じでとどまっています。
街並みの良さ等は、それでよく引き出ているのですが、
だからこそ、美しく表現したい部分は
もう少しデフォルメされてても良かったかな?
観ている人を気持ち的に
ぐいーーっと瀬戸内へ引きずりこんで欲しかった
と思うけど、あくまで私一個人としての感想。
「素朴さの表現」として、これはこれで良いのかもしれません。
いっそ実写版で見た方が
とびしま・しまなみ周辺、ももと周囲の人物をを美しく
活き活きと描けたのかもとか思いますが、
今回は「もののけ」を一番活き活きと描きたかったのかな?
…という気もし、
そう考えるとアニメが一番適切である様にも思います。
そして肝心の「話の構成」ですが
こちらは、昨今の「で?」的なジブリ作品より(←失礼)
数段上である気がしました。
小さなお子さんにも、とても分かりやすく、
たくさん笑え、たくさん泣ける作品かと思います。
それにしても瀬戸内…行きたいですね。
アニメより頂いたパンフレットの写真が綺麗で
だからこそ逆に「うわぁ、行ってみたい」って思えました。
良質な日本的感動ファンタジー
最近のアニメーション技術には驚かされるばかり
映像がとても美しく物語に引き込まれる
ほかのアニメ映画に埋もれてしまったか、二番煎じと捉えられやすい雰囲気と
宣伝力の無さでこんなに良質で日本のいいところを引き出せている作品なのに
残念 風景と雰囲気にほっこりして、展開に笑って、じーんときて見終わってあったかい気持ちになれるいい作品 大人のほうがみてよかったと思えると感じました
こんな田舎がほしい
突然の父の事故死で、東京のマンションを引き払って、ももと母は瀬戸内の島に引っ越します。そのふるさとの街並みが日本の田舎としてとてもよく描かれていて、光と風を感じて、こんなところに田舎がほしいなとおもわず思ってしまいました。
風景や街並みだけでなく、人物もよく描かれてます。映画を観終わって、街に出てみると実際に歩いてくる人がアニメのキャラクターかしらと思えたほど、リアルに描かれてました。暴風雨の中のももの着ている服が風でなびいているのなんかすごい。
宮崎駿さんのアニメと比べて色は地味ですが、落ち着いた色合いで、ほんわかさせます。
お父さんの亡くなった寂しさでつらい思いをしているももと、無理をして喘息を発症させてしまう母との、親娘の感情的ないさかいも描かれていて、おもわず胸をきゅんとさせます。
でも、空から降ってきた3つの雨粒が妖怪となって、ももの前に現われ、コミカルにもからんで物語が進行するあたりは、リアルな部分と反発して、ちょっとひっかかかりました。妖怪のキャラクターがもう少し違うとよかったのかもしれません。
少し子供っぽいが、大人が観ても良いかもね!
「ももへの手紙」う~ん言いたい事はわかるのだけれども・・・
確かに、テーマ的には家族の絆の大切さや死別した家族への思慕や、後悔の気持ち、家族の中での言葉の行き違いから始まる、誤解などがきちんと解決されないままに、行き違いの状態のままで、死別してしまった事への深い後悔の念とやるせなさ
運命と言ってしまうには余りにも簡単過ぎて受け入れ難い、人生の無常と、理不尽さ。
この様な無念の思いの残る生活は、常日頃から私達も嫌でも、現実の生活の中で否応なく体験しながら生きている。と言うより、生命そのものが自分の意志だけでは無く、大いなる何者か、人によってはこの存在を神や、仏と呼ぶだろうが、そう言った何か人の力の及ばない大きな存在に因って生かされていると言った方がむしろ正しいと思うのだが、それらの存在に左右されながら生きている私達は、自己の寿命も、無論他者の寿命も知らずに生きている為に、ももが犯した様な過ちを私たちも、日常的に経験しがちな事なのだ。
それ故に、作者の沖浦啓之監督の描きたかった事は身に沁みて伝わって来るのだが、しかしこの映画で、これを伝えたい相手の人は一体誰なのだろうか?
ももが小学校6年生と言う設定で在るので、この映画の観客対象をこの映画のヒロインももと同年代の人を対象に制作されているのだろうか?
観ていて子供向けの作品なのか、大人対象なのか、そのあたりが気になってしまい、映画を観ながら終始しっくりなじめずに?マークが頭の中でグルグル廻り続けながら、映画を観てしまう結果に終わった。
子供向きであるなら、ももの母親が始めから終始ぶっきらぼうで、田舎のおじちゃんも、おばちゃんも、ももを意識的に気遣っていた為なのか、余りももと関わってこないのが不可思議であったし、その分、やたらとももは、妖怪とのコミュニケーションを繰り返す場面が多い。その最たるシーンは、天にももと母親の状況を報告する為に報告書を送るくだりなどの踊りのシーンは余りにも子供っぽいし、長過ぎる。
観客対象を子供向きに設定しているなら、少々不親切なシーンが有る気がしたし、大人を観客のメインとして捉えているのであれば、いささか子供っぽ過ぎるのではあるまいか?好い作品であるだけに、中途半端な感じがして残念でならない。
私事ではあるのだが、私も父と死別する2日前に喧嘩をしたまま和解しないままで、父が急死してしまった経験が有り、18年経った今でも、その事は心残りで、父に対して申し訳ないと今も思い出しては、悔いているのだ。
家族とは、愛し、許し合える関係にあると信じているからこそ、お互いに甘える心があったりして、他人には決して向ける事が無い様な、エゴをお互いに丸出しにして口論する事など、がぶつかり合いをするものだ。
音楽が綺麗だったし、瀬戸内のゆったりと自然と共に流れゆく時間が、のんびりとしていてこう言う生活の快適さがアニメだが、実写より伝わって来た。そして目には見えない多くの存在である、ご先祖様や、神さま、仏様に私達は人間は護られ常日頃から、生かされているのかも知れないと改めて、自分の命に感謝を憶えた素晴らしい映画だった。
残念
人狼は雰囲気からストーリーまで好きでした。
この作品も背景や人物描写がとてもよく、見るという意味では楽しめました。
ただ、ストーリーが残念すぎる。
空から降りてきた見守り組の3人の設定が曖昧。
なぜ肉体を持たない(であろう)彼らに物欲や食欲があるのか。
そして盗みもやめない理由は何なのか。
最初と最後を結びつけ、感動的に終わらせようという意図の元に
無理やりこじつけている気がする。
父と娘のすれ違いと喧嘩はリアルで頷けた。
でも母と娘の喧嘩の原因があれではあまりにも。。。
何故鏡を返してくれなかったのか、それも良く分からない。
母が島に療養に来たのも短いのに、そんなに馴染めるものかな?
幼少期を過ごした島ってことでいいのにとも思う。
妖怪が出てきたことで得られたのはインパクトだけで、
特に面白くはなかった。
それよりももっと突き詰めて、母娘のすれ違いを描き
無理して頑張り娘に弱さを見せない母と
それを見て父を忘れ、自分の寂しさを理解してくれないと悩む娘と
島に馴染む母と馴染めない娘で描く方が納得が出来たと思う。
父への手紙も妖怪に託さなくても、
ストーリー中に出てきた藁舟を介してやりとりできれば
それでよかったんじゃないかなぁ。
妖怪達に好意はもてず(よくも悪くも人間臭いだけの生き物)
最後の病院へとむかうくだりも説明不足
(ももが病院へ行くのはいいが、母をどうやって迎えに行ったのか、
物理的に無理そう)
大まかなプロットのみで進行して、物語の辻褄があっていない。
更に「犯罪はばれなければいい」って言われてるみたいで嫌な気分になった。
ももから盗むならまだいいけど、島の人達のものや食べ物盗むなよ、と。
そんな変なものがあとどれくらい地上にいるのかと考えてしまった。
作画が最高、音楽は可もなく不可もなく。
ストーリーは最低レベル、という作品でした。
期待していただけに残念です。
ささやかな成長暦。
とてもささやかな物語だったが、このももへの手紙の書き出しが、
11歳の少女の心をどれほど残酷に痛めたかを思うととても辛い。
なんて不幸な出来事だったのだろう。
父母を喜ばせるために入手したチケットを渡そうとしたももは、
父が急を要する仕事で約束を守れなくなったと聞いてむくれる。
「お父さんなんか、もう帰ってこなくていい。」その言葉が、
本当に永遠の別れの言葉になってしまった。辛いなぁ…これは。
そもそもこの子は本当に父母思いの、内気だが優しい女の子だ。
彼女の思いが伝わる分、どれほど自分を責めているかが分かる。
何度も何度も手紙を広げて、お父さん、と語りかける少女の声に
(分かっちゃいるけど)早く答えを届けて欲しいと思ってしまった。
水玉~妖怪に変化する三体の生き物の正体は、おおよそ分かる。
彼らがももに対してまったく悪びれない様子にはほのぼのとする。
説教がましさがまったくないこの作品からは、自分で理解して、
立ち上がろうとする行程をじっくりと見せようというのが伝わる。
悪者といえば(盗みを働く)この三体くらいのもので^^;
瀬戸内の人々も同級生も皆、ももに優しい。こんな平和な現在が
あるのか?と一見予定調和な衒いを感じるも、周囲が良かろうと
悪かろうと、悲しみから立ち上がる人間を幇助するのは自分自身。
母親が悲しみをこらえて気丈に振舞うことに違和感を覚えるもも。
妖怪たちと関わるも、ほとんどその世話に追われるばかりのもも。
忙しい毎日に漂う違和感と波立つ心が、ももの成長に繋がっていく。
個人的に思うところが幾つかあり、途中で何回か泣けた。
母が、ももが、どれほどこの夫である父に思いを遺しているかが、
描かれずして伝わってくるのがとても切ないのである。
仕事を見つけて忙しく働く母と、妖怪の世話に忙しいもも、
悲しみを紛らわすにはもってこいの環境ながら、忘れない記憶。
どんな一家だったのだろうと思う後半で、その顛末が明かされる。
ももの告白には、涙がポロポロ流れて仕方なかった。
母親がももを叩いたあと、発作を起こしながら追いかけるところも、
親なら当たり前の行動と反省が痛いほど自分にもかぶさってきた。
子供は子供で、懸命に、親の思いを追いかけているに違いない。
飄々と振舞いながら、それを聞いて手助けするかと立ち上がる、
(しかしそこまでも長い)のんびりとした妖怪たちには癒される。
しょせん他人事、しかしそれでいいのだ。ムリな感傷はいらない。
それにしても本作は、全く画面が波立たない。とても静かなのだ。
なにがどう、起こっても、恐ろしくも、ハラハラもしない。
そういったアニメ独特の臨場感がないことに、アレ?と思う人も
いると思うが、ささやかな心の変化を読み取ることに長けている。
子供の成長なんて他人事には早いものだが、本人や家族には長くて
長くて^^;仕方ないものなのだ。オトナになるまでに幾つの悲しみを
力に変えて生きていくのか。ももの気持ちに返答する父親の言葉が
ももは大人になったね。と告げているようだった。頑張れ、もも。
(橋からの飛び込み、確かに怖いけどキレイな川なら入ってみたい)
ちょっと長いかも・・・
家族愛や絆をテーマにしたアニメですが、妖怪も登場して一風変わったテイストの作品になっていました。
小さな島や海などの光景に懐かしい美しさがいっぱいで、妖怪たちと共存しているところも魅力です。
ただ登場する妖怪たちがちょっと図々し過ぎ。
でも温かさと思いやりに溢れていて、特に物忘れの激しいマメはかわいらしく、意外とかしこいところを見せてくれたりするのもポイントです。
驚いたのは、優香さんのお母さんがものすごくナチュラルで上手だったこと。
妖怪たちの悪戯に裂く時間を、もう少し違う内容に変えても良かったかもなんて思ってしまいましたが、胸キュンの日本ならではの作品でした。
優香の演技に驚き!
ユナイテッドシネマとしまえんでの試写会を観ました。
ちなみに作品自体は、国立新美術館で開催「メディア芸術祭」で知った。
ネタばれ含む長文、どうかご容赦を。
例えるなら「コンソメスープ」に近い映画だろうか。
濃いはっきりした味つけでなく、淡々としておいしい要素がある映画だと思ったから。
真っ先に「声」評価すると、声優陣はわりと安心して聞いていられた。
全体的にハズレは少ない。多少、「もも」役の加恋さんの演技に違和感を感じたくらい。がっかりする程ではなかった。
「あら意外と上手い」と感じたのが、ももの母「えつ子」役の優香。事前に情報を仕入れず観たため、エンドロールにて「そういえば」と気づきました。
逆に西田敏行さんはすぐ声が分かるけど、さすが安心して聞ける。声優として有名、技量の高い山寺宏一さんはいつも通り、安定した演技。
原由子さんの歌も聴いていて心地よく良かった。
監督は沖浦啓之さん、アニメーション制作はプロダクションIGが手がけているとの事。私がいち早く試写会で観たかった理由はここにあり。
舞台は瀬戸内海。私が初めてじっくり1人旅をした場所が宮島中心の瀬戸内海。地元ではないけれど、船から眺めた瀬戸内海の島々や街並みなどは程よくリアルに描かれている。色彩は淡く、はっきりした色使いは少ない。
観光的なごり押しシーンはないけれど、作中の(確か)レモンようかんは食べてみたい。地元では有名なのだろうか?
ストーリーテンポは中だるみする気がした。最大の見せ場もあっさり終了、後日談に移行しているようで、全体的にとにかく淡々と進む印象は強いかと。
それでも、ももと母いく子が中心の話はそれで良いし、時折、夫(父)を急に失ったいく子とももの、心情演出がほど良く出てきて、私もちょっと涙ぐんだシーンあり。
個人的に残念なのは、3妖怪の畑荒らしや物を壊す、子供の持ち物を盗む事に対する反省、した事に対する責任をとらせるエピソードも入れるべきだった、と。
ストーリー的にはこの部分「投げっぱなしジャーマン」で説明なく終わってしまったので…。
子供も観る作品なら、「なぜ畑を荒らしてはいけないか」といった理由は、明確にストーリーで示した方がいいと感じた。
実際に私が行った会場は親子連れも多く、幼稚園くらいの子が「どうして妖怪たちはこんなことするの?」と親に質問していた会話を私も近くで聞いていたので。
総評すると「良作」。
ただ私でも、日本でこういう映画が得意で、評価も高い「ジブリ作品」を基準にして観てしまいがち。キャラ、ストーリー、作画共にそれらの作品を比べてしまうと、明らかに見劣りしているな、と直感で思いました。
大人も楽しめるアニメ作品
試写会にて
物語としては、父の死により故郷の広島へ戻る母娘。
そして妖怪3人組との日々により、成長していく姿。
よくある最初は、無気力・都会に戻りたいモモなので、
なんか、よくあるストーリーって気にはなるのですが、
妖怪が姿を現してから、声優人もあって面白い。
そして最後には、ちょいホロリです。
個人的には、妖怪のマメがキモかわいい!
でも、やっぱり西田敏行は、声だけでも存在感スゴイ。
難しい内容では全くないし、
あったかくホッコリ、そして笑いもあり
大人も楽しめる作品になっていて、
思っていた以上によかったです。
スタジオ○ブリの作品と比較するのは御法度!素晴らしいオリジナルのアニメーション!
背景や人物描写が緻密で丁寧、画が繊細で綺麗。
前作「人狼」もそうだが、沖浦啓之監督の演出には唸るばかり!
原恵一、細田守に並んで、日本アニメ映画の素晴らしい才能!(急逝した今敏監督も)
前作のハードな内容から一転、古今東西、誰もが共感出来る家族愛の物語がハートフルに描かれる。
不器用な母と娘の姿に、感情移入する事必至!
瀬戸内海の小島の美しい風景が郷愁を誘う。
そこにスパイスとして、“妖怪”というファンタジーをプラス。
この愛すべき心優しい3人の妖怪のキャラクターが絶妙!
どこかで見た…とか、新鮮味が無いとか、そんな声がちらほら聞こえるが、全く気にならなかった。
家族愛、古き良きの日本、妖怪…シンプルな物語だからこそ、最後まで飽きずに見れ、笑えて泣けて、ずっと浸っていたくなった。
オリジナルのアニメ映画というのもポイント高い。
是非とも多くの人に見て貰いたい秀作!
ずっと心に残って勇気を思い起こさせてくれる作品となることでしょう。
誰でも口に出してはいいにくいけれど、大切な人に伝えたい言葉を持っているはず。でも伝えようとためらっていると、一度無常の風が吹けば、その大切な人は帰らぬ人となり、伝えようとした言葉は伝える機会を失って、後悔ばかり残り、自分を責め続けているひともいるかもしれません。本作に登場するももも、その一人だったのです。
つまらないことで父親を罵倒してしまったもも。言い過ぎてしまって、ゴメンと謝ろうとした矢先に、父親は遭難してしまい死亡。ももは父親に詫びるチャンスを失ってしまったのです。
その後、亡き父親の引き出しから、“ももへ”とだけ書かれた書きかけの便せんを見つけたももは、「ほんとうはなんて書きたかったの?」と天国に逝ってしまった父親の真意を求めて、自分を責める日々を過ごしていたのでした。
一見妖怪ものに見える本作のメインは、父親を失った母親と娘が立ち直っていく姿を描く喪失もの。大切な想いを伝えたいというももの気持ちがひしひし観客に伝わってきて、泣けてきました。そして、明るく気丈に振る舞う母親のいく子も、実は無理をしていて、夫を失った悲しみを封印したことが、持病であるぜんそくをこじらせるほど精神的に追い込まれていたのです。そんないく子の隠された思いが明かされるところも胸を打ちます。 そして悲しいのは自分だけでない、母親も同じ気持ちだったのに、全然解っていなかった自分を反省するときのももの素直で優しくなったこころに、また泣かされました。
ももは小学6年生。ちょうどこれから反抗期に入り、親離れしていく年頃になります。それに比べて、親の方は、いつまでも自分の子供という意識が強く、なかなか子離れできない人ばかりでしょう。そんな親子の意識のギャップが、本作のような伝えたくても伝えにくい言葉を生んでしまうのでしょう。“大切な想いを伝える”ために、愛するわが子へ、大好きなお父さん、お母さんへ、素直な気持ちで語り合うきっかけに本作はきっとなると思います。決して、先送りしてはいけません。なぜなら本作のように、人は明日まで生きて会話が続けられる保障などどこにもないからです。今という一瞬一瞬を大切に、後悔を貯め込まないで、伝えるべき言葉をリアルタイムで伝えたいものですね。
作品の舞台は、尾道~今治間のしまなみ海道が開通する直前の、架空の島である汐島が舞台です。瀬戸内の都市で育ったものとして、本作で描かれている瀬戸内情緒は限りなく実際に近く、懐かしさがこみ上げてきました。方言の言い回し、ほんわかした島民の人情。そして瀬戸内を包む柔らかくて優しい光と風。そのどれもが慣れ親しんできた瀬戸内の記憶にピッタリとはまります。そして古い家並みが、妖怪登場の伏線となっていったのでした。
本作でももに絡む“見守り組”と名乗る3匹の妖怪たちは、みんな人に対してフレンドリーで、優しく、愛嬌たっぷりでした。もののけ姫に登場する人間を敵視する妖怪たちとは大違い。妖怪といっても、実際は精霊界の住人なのでしょう。彼らの役割は、亡くなった人を天国へと誘い、故人の家族が悲しまぬよう見守ることでした。
普段は、人間には姿を悟られずに見守るのが通例ですが、ちょっとした手違いでももだけには、彼らの姿が見られるようになったのでした。しかも弱みを握られて、掟を破る禁じられたことを何度もももに命じられてやらされてしまうのです。
彼らが行った秘術のなかでもユーモラスで笑ったのが、天国へ紙の手紙を届ける儀式。この儀式のなかでお尻を付きだして踊る姿が可笑しかったです。
大切な人と死別は、絶望感に包まれるのですが、本作のように目に見えない存在から見守られている。少なくとも小地蔵や仲間のお地蔵さんから、見守られているといういう
感覚は大切にされた方がいいと思います。本作の3匹をイメージすれば、きっと悲しみが和らいでいくことでしょう。
妖怪たちを使って、天国に手紙を一応送ったからには、返事も期待したいところ。いつまでも、『ももへ』だけでは後味が悪くなります。ラストには、期待通りではないものののちょっとした奇蹟が起こりますので、ご注目を。
映像は、シブリよりも緻密でリアル。登場人物の感情をきめ細やかに描きだしていました。後半の嵐の中のシーンは、一転して迫力満天のダイナミックな映像が映し出されます。病で苦しむいく子に何とか医者を探そうと、単車に乗せてもらい、荒らしに荒れ狂う未完のしまなみ海道を突き進むというもの。本作の一番のハイライトとなるこのシーンでは、『トトロ』の「ねこバス」よりも巨大な妖怪空間が登場します。ももが乗車した単車を包み込んで、荒らしから守るところが、とてもダイナミックなんですね。
ラストでは、ももが仲間の学友たちに誘われるままに、橋から川へ勇気を振り絞ってダイブシーンが描かれます。島にやってきて、いろいろ体験し、気づきを得たももが一回り大きくなって、未来に羽ばたく決意をしたのだと思えました。見終わったとき、ただ良かったねというだけでなく、ずっと心に残って勇気を思い起こさせてくれる作品となることでしょう。
大人にも観て欲しい
劇場でアニメを観るのは体が大人になってから初めてかも知れないくらいなんですが、これが良かった!豪華声優陣は勿論、沖浦監督の原案・脚本が良いのでしょう。
親子や子供だけではなく、大人にも観て欲しい作品です。アニメには疎いのですが、ロケ地?が素晴らしい。瀬戸内の島へ行きたくなりました。親子ものから受ける個人的な感情の揺れについては言及を控えます(笑)。
全36件中、21~36件目を表示