劇場公開日 2012年4月21日

「話は良く練られているけど主人公の魅力がイマイチ」ももへの手紙 覆面A子さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5話は良く練られているけど主人公の魅力がイマイチ

2013年2月28日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

泣ける

笑える

単純

心ない言葉をぶつけて喧嘩別れしたまま
父を亡くなってしまった主人公・ももが
移り住むことになった瀬戸内の島で妖怪と出会う話。

この妖怪はももの家に住み着いて離れないのだけど
彼らを見ることができる(普通人間には見えない)ももが
妖怪に打ち解けて行く過程で、
徐々にその真意が明らかになっていきます。

彼らはなんのために現れたのか。

「あらすじ」としては、こんな感じですが
内容はとてもメッセージ性のあるもので
案の定と言うか、またしても私が泣き通しでした。

ネタバレするので詳しくは書きませんが
「んな訳ないだろう」的な細々としたことはこの際おいておいて
西田敏行さん演じる「イワ」、山寺宏一さん演じる「カワ」
そしてチョーさん演じる「マメ」妖怪が
風貌の恐ろしさとは対照的なコミカルさで
実に活き活きと描かれています。

ただ、逆にいうと
最も活き活きと描かれているのは妖怪で
主人公とか風景とかが、光の配し方とかが、
もひとつ魅力的に描かれていない様に感じます。

ジブリとかピクサーとかドリームワークスとかの
実写を凌ぐ超絶技巧に小慣れてしまったせいでしょうか。

特に、ももが山を駆け回って
息を呑むほどの素敵な場所に立った時など、
その「素敵」さが今ひとつ心の中に入り込んで来ないと言うか。
今回は非常に細かく舞台設定をしていて、その場所場所を
とても忠実に描いているのですが、真面目に描写するが故に
アニメならではの大胆な光のデフォルメや輝きなんかがなく
とても「素朴」な感じでとどまっています。

街並みの良さ等は、それでよく引き出ているのですが、
だからこそ、美しく表現したい部分は
もう少しデフォルメされてても良かったかな?
観ている人を気持ち的に
ぐいーーっと瀬戸内へ引きずりこんで欲しかった

と思うけど、あくまで私一個人としての感想。

「素朴さの表現」として、これはこれで良いのかもしれません。

いっそ実写版で見た方が
とびしま・しまなみ周辺、ももと周囲の人物をを美しく
活き活きと描けたのかもとか思いますが、
今回は「もののけ」を一番活き活きと描きたかったのかな?
…という気もし、
そう考えるとアニメが一番適切である様にも思います。

そして肝心の「話の構成」ですが

こちらは、昨今の「で?」的なジブリ作品より(←失礼)
数段上である気がしました。

小さなお子さんにも、とても分かりやすく、
たくさん笑え、たくさん泣ける作品かと思います。

それにしても瀬戸内…行きたいですね。
アニメより頂いたパンフレットの写真が綺麗で
だからこそ逆に「うわぁ、行ってみたい」って思えました。

覆面A子