「正直残念でした。」アジャストメント りょーさんの映画レビュー(感想・評価)
正直残念でした。
予告を見た印象でSFアクション物と期待して見に行ってしまいました。
結果はラブストーリーとしても成立していないレベルのラブストーリー。
正直、最後まで見ているのが苦痛なストーリーとキャラ設定の雑さでした。
主人公はスラム育ちで家族を亡くしたにも関わらず最年少議員になった努力の人。
その割にはかなり行動が子供です。
たかだか一人の女のために出馬会見を延期しようとしたり公衆で他人を殴ったり。
確かに自分の心の空白を埋める程の運命的な女性に逢い、それを妨げる運命調整局に自らの過失なく巻き込まれ翻弄される姿には同情するが、あまりに後先考えない行動すぎて運命が定めているとはいえ、大統領たる器なのか疑問が残ります。
ヒロインの女性の動きも意味不明な部分が多い。
主人公→ヒロインの通信手段が絶たれてしまい三年絶つが、その間彼女は一度として主人公に接触を試みないというのはおかしいのではないだろうか。
(彼女も運命的に主人公に惹かれているのであれば)体面に拘らず連絡をすればよかったのでは?
主人公が一般人のヒロインを見つけ出すのは至難の業だが、ヒロインが主人公に接触を持つのは簡単だったはず。
それをしないならば、ヒロインは主人公に運命を感じていないと言えるのではないだろうか。
しかし、それにしては結婚式の際に再会したときの彼女の心変わりの早さが引っかかる。
ヒロインからすれば、主人公は自分でアタックしてきたにも関わらず(事故とはいえ)三年間放置され、また11ヶ月も放置された言わば勝手な男。
将来有望とはいえそんな男が結婚式にやってきて「あの男とか結婚するな!」と言われはいそうですかと従えるものなのだろうか。
婚約相手がそれほど簡単に割り切れる相手であるにも関わらず結婚するヒロインはどうなのだろう。
婚約相手からすれば彼女は相当自分勝手な人間である。
運命が変更され、彼らが将来結びつく関係になったとはいえ、そんな二人の将来はかなり暗いのではなかろうか…。
また、運命調整局の男たちも簡単に心変わりしすぎである。
少なくとも、主人公の運命が変更されることは運命調整局の男たちにとって致命的な出来事であったはず。
にも関わらず、運命調整局の男たちは大した葛藤もなく主人公が運命に抗うことに簡単に流されてしまう。
この映画が主人公の「スラム育ちで家族を亡くしたにも関わらず最年少議員になった努力の人」という部分を中心に描いた作品であれば、主人公のカリスマ性や意思の強さに運命調整局の男たちが絆されてしまっても納得がいったであろう。
しかし、この作品はラブストーリーであり、私が見たのは「突然出会った女に恋に落ち、議員候補であるにも関わらず行動の稚拙な男」でしかない。
「スラム育ちで家族を亡くしたにも関わらず最年少議員になった努力の人」というのは主人公の過去の情報であり、それを重視するには主人公の現在の奔放な行動が過ぎたように思う。
とまぁこのように酷評してきたが、運命調整局の男たちのキャラクターと世界観設定は非常に良かったと思う。
この設定だけもって本格的にSFアクションを作成してくれたら大手を振って見に行くだろう。
また、若者に翻弄されるおじさまが好きな人はそれだけでこの作品を楽しめるかもしれない(笑)
前情報が「この映画はラブストーリーである」であればここまで不満を持つ結果にならなかったと思うので残念でした。