劇場公開日 2011年12月3日

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「地元の人間としては」RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ flying frogさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0地元の人間としては

2014年7月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館、DVD/BD

泣ける

幸せ

萌える

別に鉄でもなかったし、熟年夫婦の危機などというあまりに身近でまったく他人事ではない、首筋にナイフを突きつけられるような話をわざわざ映画館に足を運んで観るなんて有り得ない。

と思ってたのだけど、舞台が地元の富山とあっては観に行かないわけにはいかん!とカミさんが主張するので、おつき合いで観に行った。

話は・・・やっぱあまりに身近でちょっと痛かった。登場人物すべてに深い共感を感じる。これは若い人には判らないだろうな。いや、今の若い人が60歳になっても判らない話なのかも、と思うほど、「現在のアラ60」には身につまされる話だった。
いや、俺はまだアラ60にはちょっと足りないけどさ。

役者が上手いと、こういう淡々とした話をこうまで飽きさせずに見せてくれるんだな。
クライマックスの小池栄子には、今でもDVD見て泣かされる。

映像は「鉄映画」の本領発揮です。
地鉄の職員食堂まで「ホンモノ」の場所でロケしてる。ロッカールームももちろん「ホンモノ」で、役者のロッカーだけ撮影用だけど周りのロッカーは本当の地鉄職員のロッカーなんだと。

DVDには「鉄道チャプター」なるものがあり、駅や路線名でチャプターが切られていたりするのも嬉しい。
それを見ると、停電&おばあちゃん救出作戦は本線の宇奈月近くの下立付近という設定で、事実、佐和子がよじ登った斜面もあの付近にあるのだけど、おばあちゃんを乗せた救急車が走り去るシーンは立山線の有峰口駅で撮影された、ということまで判る。

DVDのオーディオコメンタリーでは、解説者たちが物語そっちのけで鉄道の話しかしないのがまた楽しい。

この映画をきっかけに、自分も富山地鉄オンリーの鉄になってしまった。
おかげで、徹のラストラン、宇奈月から出発して浦山、三郷とちゃんと順番にシーンが移り変わるのに、東新庄のシーンだけ逆方向(富山から宇奈月方面に走る電車からの映像)なのでは、なんてことも判るようになってしまった・・・

ラストシーンは月岡駅なのだけど、エンディングで高い位置からの俯瞰映像になる。
でも、あの場所にはあんな高い建物は皆無。
どうやって撮ったのかはオーディオコメンタリーでも喋ってくれなかった・・・

flying frog