劇場公開日 2011年8月13日

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メカニック : 映画評論・批評

2011年8月9日更新

2011年8月13日より新宿バルト9ほかにてロードショー

“寡黙な暗殺職人”をはまり役で魅せるジェイソン・ステイサム、円熟の証明!

2002年の「トランスポーター」以降、アクションスターとして精力的にキャリアを重ね、3DやらVFX全盛の今もアナログなヒーローを体現し続けるジェイソン・ステイサム。1972年のチャールズ・ブロンソン主演作をリメイクした本作の役どころは、殺しの標的を事故死に見せかけて葬る緻密な仕事ぶりゆえに“メカニック”と称されるアーサー・ビショップだ。

約40年前のオリジナル版よりストーリー展開がはるかにタイトになり、見せ場が大がかりになっているのは当然だが、ブロンソンとステイサムの個性の違いも両作品の差異を際立たせている。言わばビショップは暗殺業界の寡黙な職人だ。これをブロンソンが無表情で演じると“何を考えているのか不明の不気味さ”が濃厚に匂い立つのだが、ステイサム版は同じ主人公なのにまったく異なる印象を残す。馴染みの娼婦に本名を名乗っても信じてもらえないくだりではアウトローの孤独がさりげなく滲み、組織からの依頼で旧友を抹殺するシーンでは駐車場に響く銃声にそこはかとなく哀感がこもる。キャラクターにしっかりと血を通わせつつも感傷に溺れすぎず、非情の掟を貫く男をクールに演じきったところに、ステイサムの円熟が見てとれる。

そんな“多くを語らず、豊かに伝える”ステイサムの抜群の存在感ゆえに、ビショップが手塩にかけて育てた殺しの弟子とのクライマックスの駆け引きも、最小限のセリフで緊迫感が持続する。これほど魅力的な主人公が一作で見納めになるのは惜しい。新たなシリーズ化を望むファンが続出するのではないか。

高橋諭治

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