劇場公開日 2011年9月23日

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「企業が存続する意義とは・・・」カンパニー・メン マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0企業が存続する意義とは・・・

2011年10月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

難しい

幸せ

(リストラのことを)何も知らずに出社するボビー(ベン・アフレック)が朝早々からイタイ。“ネクタイ”を取り上げられたビジネスマンは、糸の切れた凧のようだ。行き場を失い、宙を回り、やがて落ちていく。
贅沢な生活レベルを下げることはもちろん、順風満帆だったサラリーマンの座を失ったことを知られることは屈辱以外の何ものでもない。自分も会社を辞めたとき、そのことを他人に知られたくはなかった。自分から辞めてもそうなのだから、ましてやクビになったなどと言えるはずもない。気持ちがよく分かる。

過去にオスカーを手にした4人の俳優が、リストラや不況に悩む男たちを演じ、過去の栄光に決別する姿が妙に重なるキャスティングが興味深い。

ベン・アフレックは若手エリート社員。仕事ができるだけにリストラは屈辱で、ましてや次の仕事がなかなか決まらないのはまったく予想外だったに違いない。
トミー・リー・ジョーンズは造船部門のトップ重役。彼もまた部門統合とCEOとの対立でクビになってしまうが、浪費家の妻との生活に幻滅して、とある女性との情事に逃避する。
クリス・クーパーは勤続30年のベテランで重役までのし上がった叩き上げ。造船一筋で年齢も高く、ツブシがきかない。おまけにクビになったことを世間に知られないよう、夕方まで帰ってくるなと妻から言い渡される。こんな可愛そうなことはない。辛すぎる。
ケビン・コスナーはボビーの義兄で小さな工務店を経営。サラリーマンではないが、押し寄せる不況の波は同じだ。

それでもこのケビン・コスナー演じるジャック・ドーランは、不仲だった義弟に対して温情を見せ、雇用した者たちのためには休みを返上してひとり現場に出掛ける。
人を雇うということは、その家族たちの生活に対して責任を持つということだ。
対して、大会社にのし上がったGTX社のCEO(最高経営責任者)は、利益追求しか考えていない。企業は存続することが責務だが、それは社名の存続を意味するのではない。働く人々の生活を存続させることが、経営陣の債務だということを忘れてはならない。生活を保障できないなら人を雇うべきでないし、むやみに会社を大きくするべきではない。また働く側も、お互いの生活を支え合うという原点に立ち戻るべきだ。この不況、案外、価値観を考え直すことで乗り切れるかも知れない。

ところで主役の4人、こうして集まってみると、普通の勤め人というよりは、どう見ても特殊な訓練を受けた海兵隊だ。CEOを演じたクレイグ・T・ネルソンは、第三国に闇ルートで武器を横流しする悪徳富豪といったところか。

マスター@だんだん