「軽妙演技に救われて。」大鹿村騒動記 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
軽妙演技に救われて。
あらビックリ、いつから東映は1000円興行を始めたのかしら^^;
先日「デンデラ」を特別料金で観たばかりだと思ったらこれも1000円。
いつでも1000円で観られる環境は50歳までムリだ~(しかもペアだし)
なんて、日々苦悩する中年代の私には嬉しいお値段^^;
とはいえ、安かろう悪かろう(ゴメンね、デンデラ)のレッテルだけは
貼られたくないところかと思いますが。。
実際に長野県大鹿村で300年行われている伝統村歌舞伎が舞台。
現場と舞台を借りて、大掛かりな芝居が組まれているが、
内容はまぁ~軽いというか軽妙というか^^;お笑い小劇場の雰囲気。
これだけの面子を揃えて(かなり豪華よ~)この値段でいいのか?と
思うのだが、なるほど、それなりの力の抜け具合でほどほどの演技。
役者達が皆、楽しんで演技をしているというのが此方にも透けて見え、
それがいい方へ作用したのであれば楽しめるし、そうでない場合は…
なんかイマイチね。となりそうな作品でもある。
とりあえず、阪本順治はコメディには向いていない監督かもしれない。
笑える箇所は数々あるが、それは俳優の演技力に救われた所が多い。
岸部一徳やでんでんの芸達者な尻出し演技など、それに他ならない^^;
村歌舞伎が主役の映画なので、その部分には心血が注がれており、
かなりの長尺で後半を彩っている。歌舞伎を知らない若い人に向けて、
分かり易いよう?裏で(下で、か)瑛太の解説まで付いてくるので安心。
原田芳雄をはじめ、皆が迫真の演技で頑張っており、結構楽しめる。
劇場内を埋め尽くした(またしても満席だった^^;)お爺ちゃんお婆ちゃん
が大喜びして観ていたのも、ほとんどがこのシーンだった。
村歌舞伎独特の、またある意味力の抜けた、そのほどほどさ加減が
気楽におひねりを投げながら歓声を飛ばす観客の姿に上手く打ち解け、
あ~実際にこの村では、こんな風に楽しまれているんだ、が見てとれる。
地方の伝統行事を紹介する意味では、無駄ではない映画といえる。
笑って、楽しんで、いつかこの大鹿村に行ってみたいねぇ~で締め括る、
そんな作品が1000円で楽しめる。という軽いアングルで観るといいかも。
しかし肝心のドラマは、、何だったんだろう^^;
認知症の扱い、リニア問題、性同一性障害?まで盛り込まれたこの話、
蛇足なギャグと合わせて無駄が多いのが気になった。
せっかくなのでこの大鹿村の大自然を、さらにもっと(ここだけでも、ね)
真面目に描いていればもう少し、騒動とのコントラストが効いたかなと思う。
(原田芳雄さんの回復をお祈りします。鉄道マニア話ももっと聞きたいし)