「早くみればよかった」探偵はBARにいる まゆうさんの映画レビュー(感想・評価)
早くみればよかった
西田敏行が亡くなりました。西田敏行が見たくて、なぜかこちらをチョイス。初見です。原作未読。
とてもバランス良くて、コメディとハードボイルドの塩梅が絶妙でした。ハードボイルドだけだと客層がかなり限られるけど、軽快さと笑いで興行的に大成功。他の方のコメントにもありますが、確かにルパン三世のテイスト感じます。ウェットなので時代劇要素もあります。娘が「おとっつぁんの仇…!」ていうノリに似てる。
主人公がちゃらんぽらんなように見えて一本芯の通った正義感の強いキャラなので、そこも魅力的。怒りで後先考えずに無茶な行動したり、弱さも持った人間らしいところ、大泉洋がよくハマってます。埋められてほんとに死ぬ目に遭いながら、ガタガタ寒さで震える残念な姿が似合い過ぎます笑
私の場合、最初の依頼主の電話の声と特徴的な喋り方で、すぐに「え、これ小雪じゃん?」て思うのですが、でも本当に小雪だったら簡単過ぎてつまらないよね…え…じゃ誰??となり、考え過ぎて結局よく分からないという状態に。小雪が西田敏行を殺すよう指示したのかと疑いつつ、でもそれじゃ普通過ぎるし…。そんな時にハッとする冒頭のオセロ。白と黒が一瞬でひっくり返るというヒントをちゃんと出してくれています。実は小雪は愛する夫の復讐のために探偵に依頼していた、というオチ。ストーリーは勘の良い人は前半ちょっと見たらすぐ分かっちゃうと思いますが、私はまんまと思惑通りに誘導されて、終始楽しく鑑賞しました。現場で大泉洋がベタベタ指紋残したりするのに、なぜ彼は警察に捕まらないのだろう?等々、ご都合主義は色々ありますがそこはなるべく考えないようにして見ました。
原作者が北海道出身。やっぱりこういう話は寒い地方じゃないと。ススキノが昭和レトロ感満載で良かったです。
そして、言わずもがな西田敏行の存在感よ…あれしか出番無いのにさすがです。若い女性が誘拐されそうになるのを助けようとして残忍なやり方で殺されるというのは、見ている側は感情移入しやすいとは思いますが、やっぱり相応の説得力が無いと小雪がカッコつかない。命をかけて仇を取るに足る夫、という設定ですから。西田敏行さん、素敵でした。