東京公園のレビュー・感想・評価
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ほわんとした感じ。
小路幸也の原作は知らないが、ずいぶん本作とは違うらしい…
青山真治が相当いじった?のだろうが、偉大な映像作家監督と
いわれている彼にも、私はそれほど興味がない…
なのでおそらくこんな感じか?と想像したものがまんまだった^^;
良い悪いというより、なんかこう…ほわんほわんしていて妙な感じ、
独自の感性と世界観を広げる監督、という感じがする。
とにかく説明がないので(爆)こいつ誰だ?というところから入る…
主人公・光司と同居しているヒロの登場がどうも変だと思ったら…で、
その彼女らしき幼なじみ富永がゾンビ映画ばかり観るのは…な訳で、
光司がカメラに固執する理由はというと部屋の写真が…だったので、
とまぁ…観ていけば分かることばかりなのだが、いちいち遠回りする。
そもそも一番分からないのが、お前だよ!歯科医の初島(高橋洋)!
ラストに彼の依頼理由が判明するが、何それ?としか思えなかった。
こんなこと考えて治療される歯医者は私は嫌だな、としっかり思った。
で、この高橋洋、どっかで観たことあるんだけど…誰だぁ?と思えば
「幼獣マメシバ」で主人公の幼なじみの郵便局員だった。あーこいつv
あん時はいいヤツだったのになぁー(爆)
さて…。
いちおう恋愛モノなんですかねーこれ。主人公と義姉、親友と幼なじみ、
謎の歯科医と妻が軸になっており、物語が展開…すればいいんだけど^^;
何しろゆったりまったりしているので、そういった雰囲気が嫌いな人には
何じゃこれは。という感じになるんだろうな。
幾つもの公園が登場し(でも、さほど綺麗な撮り方しているとは思えない)
景色風景と家族の描写が楽しめる部分もあれど、それが全てではない。
食べ物も(こたつ囲んで)たくさん登場すれど、そこにも固執していない。
光司はパチパチ写真を撮るが、彼のとった作品(アルバムに貼ってある)
ですら、ハッキリと映るシーンが少ない。あーやっぱほわんほわんしてる。
ズバッと描け!とは言わないけれど…もう少し、ハッキリさせませんか^^;
富永や義姉など女性陣の気持ちの動向がハッキリしているのに対し、
当の光司はボンクラというか(ゴメンね)…男性ってこんなもんかしらと思う。
彼の興味がどこにあるか、何に対して自分が逃げてきたか、そのあたりを
ズバリと言い当てた富永の姿勢はいいと思うけれど、富永本人はまだまだ
そこから抜け出せないでいるのだろう…彼女の気持ちは痛いほど分かる。
ひきかえ、雰囲気が絶大な義姉(コニタン)の義弟に寄せる想いの丈は、
私にはイマイチだったなぁ…。好きになってはいけないヒトを好きになる。
そんな想いをああいう描き方でおさめるのかぁ。。という感じ。不思議だ。
二人のキスにも何も感じなかった…後で光司が心情を語るシーンがあるが、
いやいや光司くん、あのシーンでその気持ちは感じとれなかったよ?私は。
大きなお世話だが、両親は今後どうするんだろう?なんて心配してしまう。
なんか感想までほわんほわんしてきてしまった気が…
よし!公園に行って、景色を眺めて頭をスッキリさせよう!(爆)
(想い合う気持ちがすれ違うのが人間の悲しさ。対話は必要不可欠なのだ)
トイレ、もう少し我慢して・・・
「エリ・エリ・レマ・サバクタニ」などの作品で知られる青山真治監督が、三浦春馬、小西真奈美などの人気俳優陣を迎えて描く、群像劇。
人間、どうしてもトイレを我慢できないのが宿命である。映画上映中であってもそれは例外ではなく、クライマックスに向けて最大限に盛り上がっていく物語に備え、途中でトイレを済まされる方々も多い。だが、本作の場合ラストシーンよりも、涙の告白シーンよりも、どうしてもその目で観て欲しいシーンが存在する。どうか・・トイレはもう少し、ご辛抱を。
「カメラ」そして「写真」というキーワードを軸に展開される世界。それまで真正面から向き合うことを恐れ、うやむやに繋がり続けてきた主人公、光治と本作を彩る女性たち。彼等はとある出来事をきっかけに、カメラのレンズ越しにお互いを見つめ直していく。目を背けてきた事実、言えなかった想い、そして嘘・・・。
畳み掛けるような台詞の応酬と対照的に、言葉を抑え付けた沈黙の撮影シーン。「好き」という単一の感情を原動力に突き進んでいく情熱的なラブストーリーを望んでいる方にはいささか食い足りないような淡白さが滲み出す作品だが、言えない、言ってはいけない、でも、言いたい・・そんな豊穣な心の葛藤が描く大人の恋愛の楽しさを丁寧に、可愛らしく描く空気感が、とても気持ち良い余韻を与えてくれる。
さて、三浦演じる光治はレンズ越しに個性的な女性達と静かに語り合っていくのだが、その中でも小西演じる美咲との言葉を排除した語らいが秀逸の出来である。
柔らかい明かりに満ちる部屋を支配する色気、誠実さ、そして隠してきた愛が観客に示しだす親密な心の会話。言葉はなくても感情は暴れだし、溢れ出し、観客を絡みとって離してくれない。もう、観客は作り手が心を込めて作り出した温かい空間にまばたきを忘れてしまう。この作品にほれ込んだ人間の一人として、是非とも本シーンは寝る事無く、トイレに行く事無く、隅から隅まで味わい、切なくも極上に甘い魅力を感じて欲しい。
ラブストーリーという枠にはまらない、気味悪くも、ふわふわ可愛い人間を真っ直ぐに見つめ、捉えていく上質の人間ドラマとして完成している本作。手放しで作品を褒め称えるのも若干気後れしてしまうものだが、他に言葉が見つからないのだから仕方が無い。ただ、この映画に出会えたことに感謝する限りである。
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