極道めしのレビュー・感想・評価
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男子願望全開!「第二回」争奪戦に納得いかず…
新聞の月一映画評欄に、めずらしく邦画である本作が取り上げられていたので、期待して観に行きました、が…。
人生で一番の味、それはおふくろの味、カノジョの手料理…と臆面もなく結論付けられていくのは、女子としてかなり引きました。男子心はくすぐるかもしれませんが、デートムービーにはおすすめしません。
何より疑問だったのは、「第二回おせち争奪戦」だったこと。「人生で一番おいしかったもの」を語る闘いを同じメンバーで二度やる、ということは、同じ話の繰り返しになりませんか?もしくは、第二回なら「人生で二番目においしかったもの」になるはずでは…。彼らが年ごとに作り話をしているとしても、メンバーが同じならばれますよね?
話のキモがどうにも納得できず、最後までモヤモヤと違和感が残りました。うーん、すっきりしない!
【刑務所に入ったら、楽しみは食だけなのかな。刑務所に入らないように頑張ろうっと。あと、木村文乃さんが劇中で作った拉麺は一度作ってみようかな。】
ー 食エッセイは好きなので、多数読んで週末に家人の為に作る食事の参考にしている。(特に好きなのは、檀一雄。平松洋子。高山なおみ。西川治。水上勉(本業は勿論、作家)意外なところでは、宇野鴻一郎。(鯨神で名を馳せたが、その後イキナリ”課長ったらひどいんです・・。と言うピンク路線に転向した作家。)私の書架の可なりを占めている。だが、大食いには全く興味がない。
新聞のTV欄を読むと、今や地上波のTVは食か、クイズに占められているようである。ー
◆感想
・という訳で、先々週から食を描いた映画数本を観て来たが、今作は少しレベルが落ちるかな。物語性が弱いし、品がないかな。
・けれど、木村文乃さんが拉麺を作るシーンは良かったな。流石に魅力的であったし、キャベツの千切りを下にした拉麺は作ろうかなと思ったよ。
・あと、麿赤兒の圧倒的な存在感。この人の後を継ぐ俳優さんって出てくるのかな。
田中泯さんかなあ・・。同じ舞踏家だしね。(流儀は可なり違うが。)
<私は知らなかったのであるが、木村文乃さん、子供さんを出産されたそうで、おめでとうございます。
今作を観ると、幼き時の食事環境って、大切なんだなと改めて思ったよ。
我が子たちを観ていると、食の際のマナーを含めて、キチンとした食事を小さき頃から一生懸命作って食べさせてきた家人には改めて感謝する想いを持った作品でもある。>
ラーメン食べたくなった
刑務所系はかなり好きやけどこんなの初めて観た
ただ美味しそうなだけじゃなくしみわたる感じもあって良かったと思う
男子刑務所やし下品な場面も多いから(ご飯物なのに)無理な人は無理やろな
いただきますと言いたくなる。
この作品は空腹のときに見てほしいです。
自分は極道ものの映画が見たいと思い何の気なしにこの作品を視聴しました。しかし、映画の本編は極道もの特有の殴り合い殺し合いといったものはほとんどありません。そういったものが苦手な方も安心して楽しめる作品です。
映画本編は囚人たちの「自らの経験したうまいもん自慢」が語られます。※ネタバレとなるので深くは触れません!
感想
正直、この映画がここまで良い作品だとは思わなかったのが本音です。ぜひ、だまされたと思って見てほしい!
私は現在、大学生として一人暮らしをしています。この映画を見て、久しぶりに親の手料理が食べたいと思いました。普段は「いただきます」「ごちそうさま」とあまり言わない私ですが、今後はこの映画のことを思い出して「いただきます」「ごちそうさま」とちゃんと言えるようになりたいと思いました。
なんとなく郷愁を誘う映画
映画館での視聴はめしの方に目が行っていたようですが、主人公の出所した後の切なさが何ともいえず、また、エンディングの上を向いて歩こうが、主人公をにそっと寄り添う感じでごくりと来ました。この映画、ハーモニカのサウンドがとってもせつなくてゴクリときます。
チープ
料理も芝居も製作費もチープ
これぞB級! という感じです。
料理に対する思い入れの回想シーンも
もう少ししっかりと映画として作れば
また違った感じの映画になると思います。
岸谷五朗迷監督?のキラー・ヴァージンロードを彷彿させる
この作り方はおじさんの好みには合わないようです。
落ちは想像していたのと少し違いましたが
こちらのほうがよいと思います。
映キチとしても、喰い道楽としても、唸ってしまう美味なる一本
食をテーマに、刑務所という怖いモノ見たさの象徴をどこかホノボノと追った名作『刑務所の中』の世界観を継承した今作は、房のメンバーがおせち料理のオカズをかけ、お互いが自負する美味い料理の話を語り合う形式を敷き、グルメ談義を更に掘り下げ、独自の面白さを構築している。
過ちを犯したそれぞれの背景やツラいお務めetc.のプリズン映画に付き物のエピソードはほとんど二の次で、めし弁論バトルに一喜一憂する展開は、幸福とは真逆の最悪の場なのに何故か牧歌的であり、人間味豊かな雰囲気で観客も優しく包み込む。
聞き手の喉が鳴ったら1ポイントというシンプルかつ呑気なルールの下、繰り出される激闘は、絶えず陳腐な回想シーンが付きまとい、ゲーム感覚が先行し、フザケ過ぎな印象は否めない。
しかし、なぜこの料理をイチ押しするのか、持論に熱を帯びるに連れて、背負った物語も明かされていく。
一見、馬鹿馬鹿しいだけのお遊びが面白味をキメる大きなミソと化しているのが興味深い。
オムライスやインスタントラーメンetc.いずれもありふれた一品ばかりだが、どれも魅力的なオーラを纏っている。
料理への情熱に笑う要素と並行し、当初、軽蔑し、心を閉ざしていた新入りのヤクザが如何にしてバトルに参加するかという人間ドラマも丁寧に盛り込まれており、人情味のスパイスも忘れちゃいないのも粋で罪な味付けと云えよう。
故に、紆余曲折を経て、同部屋の全員がわだかまり無く卓を囲んだバトルの顛末はヨダレ以上に涙が零れ落ちてしまった。
それは、料理の温もりが愛する人との触れ合いの密度と直結しているからなのかもしれない。
今後、ヤバいコトしでかす予定はないけど、未だに記憶に残る料理は誰しもが1つや2つは海馬の片隅にでも有るはずだ。
もし、私なら何の料理をネタにして挑もうか?と重ね合わせて観るウチに罪人であろうが、親近感を覚え、応援してしまうのである。
料理は食べるより作る事に本当のドラマが込められているのかもしれませんね。
チョイとクサい話の〆方に自ら鼻をツマミながら、最後に短歌を一首
『想いでを 背負ひて囲む 暮れの房 呑み込む唾が ヤケにしょっぺぇ…』
by全竜
ごちそうさまでした
m(_ _)m
グルメ映画と比べて、目の前で料理するのでなく、回想のなかで料理という設定が、いまいち感情移入しずらかったです。
前作の『ブタがいた教室』がよかったので同じ前田哲作品として期待して試写会に参加しました。だけど、この刑務所内のグルメコンテスト大会話は、なんと料理する話でなく、囚人たちが記憶のなかの思い出の味を披露して自慢しあうイベントだったのです。
『カモメ食堂』などのグルメ映画と比べて、目の前で料理するのでなく、回想のなかで料理という設定が、いまいち感情移入しずらかったです。
回想とはいえ、5人の登場人物が語る思い出の味のシーンは、それぞれ料理が登場するところが出てくるのですけれど、他のグルメ映画の佳作と比べて、おいしさを伝える執念が足りないと思うのです。どうだ上手いだろうといわんばかりの気迫としつこさで、登場する料理を舐めるように撮るぐらいの映像が本作にはあって然るべきでしょう。
それとオチがイマイチ盛り上がらなかったと思うのです。物語は、新入りの囚人健太を軸に進むのです。ところが肝心の正月のおせち料理争奪戦の結果を待たずに健太は出所し、ボス格の八戸は病気になって外れてしまいます。これでは争奪戦の盛り上がりがしぼんでしまうではありませんか。『ブタがいた教室』では、子供たちが飼っていたブタを殺して食べるのかどうかで結末は凄く盛り上がりました。本作も同様に、おせち料理争奪戦での盛り上がりをもっと派手に描いて欲しかったです。
健太の出所を待ち続ける健気な彼女との顛末をラストに持っていって、感動の涙を計算したため、肝心の極道めしのほうがやや霞んだキライが出てしまいました。
それでもオムニバス風の原作マンガを、よくぞここまで一本のドラマに前田監督は仕上げたものだと感心します。設定だけを借り、人物も、語られる食べ物の内容も自由に作り替えたそうです。それでも長編としての起伏を生み出すのは一苦労だったでしょう。さらに刑務所という固定された舞台設定で、可能な限り変化を生み出した構成は評価したいと思います。
さてそのお話ですが、新入りの囚人健太が204房に収監されたとき、同じ房の受刑者たちが、突然「この房の年末恒例の行事」と呼ぶものを始めようと宣言します。健太は、自分へのリンチが始まるのではないかと思わず身構えます。けれども、全員ちゃぶ台の前に整然と正座する姿を見て健太は唖然とするのです。
受刑者たちは、クジで順番を決めると、おもむろに一人ずつ話しはじめます。そこで話されるのは食べ物の話でした。それは彼らが、楽しみが少ない獄中生活を何とか凌ごうと編み出した、年1回の恒例イベントだったのです。
そのイベントとは、思い出の味を競い合うこと。ルールは簡単。かつて自分が口にした食べ物の中で、最高においしいと思ったものの話をして聞かせ、それによって聞き手の誰かの喉を「ゴクリ」と鳴らすことができたら一点加算されるというだけの単純なものでした。そして、その数の多い者が勝者となるのです。
では、このゲームに勝つとどうなるのか?
受刑者待望の正月の御馳走の中から、一品ずつ好きなものを奪う権利が得られるのです。こいつからはキントン、あいつからはエビ、という具合に。
では、この争奪戦で、どんな料理が語れたのでしょうか。
たとえば、元ホストが語る玉子かけの黄金めし。店の金を横領して逃げ帰った実家で、母が黙って出してくれたのは、焼きとうもろこしとバターを加え、庭のニワトリが産んだばかりの黄身の濃い生卵玉子ぶっかけた熱々のごはんだったというもの……。思い出話に出てくる食事は実においしそうです。
他に登場するのが、カルボナーラ入りのオムライスにカレーをかけたオムカレボナーラ。実物大のおっぱいプリンのド迫力には苦笑してしまいました。あと訳ありのホットケーキも登場しますが何と言っても、八戸が語る最高級の和牛のスキヤキには参りました。見ているだけで喉がゴクリと鳴りそうです。あんな高級素材を出してくるなんて、反則でしょう。誰が優勝するのかネタバレしなくとも分かってしまう話ではありませんかね。
しかし、話として感動したのは健太が警察に追い詰められたとき、彼女が最後に作ってくれたインスタントラーメン。これがめちゃくちゃ上手そうなラーメンだったのです。インスタントでもこのように作ればごちそうに変わるものだと、思わず目を見張りました。加えて、これから逮捕される恋人に、ありたけの気持ちを込めてラーメンを作っているときの彼女の表情が健気で、泣けてくるのでした。
このように思い出の味話は、同時に彼らの過去をも語るものになっていたのです。食べたときの状況を語らなければ、そのおいしさがうまく伝わりません。そのために真剣に語られる彼らの過去は、滑稽であり、悲惨であり、どこかほろりとさせるものを感じさせてくれました。
但し受刑者たちが語る自分たちの過去が本当かどうかは定かではありません。けれども、そこで語られている食べ物への熱い思いだけは真実だと素直に受け止めることができました。そして、見ているうちに、その房が、彼らにとって、どこよりも居やすい疑似的な家庭のようにも思えてきます。ただそれは出所していくまでの、疑似的な家庭にすぎないのでした。
そんな出会いと別れの悲哀も、ラストにはきっちりと描かれます。
受刑者役の五人の俳優それぞれ魅力あるキャラを演じ競い合っています。なかでも、八戸役の麿赤兒の存在感が際立っていました。この役は周囲に誤解を与えたままの役柄。八戸は自分を大物ヤクザと虚構を張っていたのです。自分を虚構化したい願望をまるで画に描いたような八戸。持ち前の貫禄で黙っていても大物に見えてしまうところが麿赤兒の凄みですね。
口の悪い勝村政信、元ホストの落合モトキ、落ちこぼれ相撲取りのぎたろー、そして、若いやくざの永岡佑のキレた演技も感情がこもっていました。
女優陣では、田畑智子や内田慈が印象に残りました。なにより健太の彼女役として可憐な恋人役を演じている木村文乃が魅力的でしたね。
追伸
ラストに流れる「上を向いて歩こう」の歌声だけは余計かも?
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