人生、ここにあり!のレビュー・感想・評価
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人間の向上心と自己実現
誰もが向上心と自己実現への欲求をもっていること。
それぞれの得意分野を活かしてともに実現していく喜び。
挫折からの絶望。乗り越える強さ。
実際の話をもとにしているところも興味深い。
様々な個性が絡み合う考えさせられる答えの出ない問題。
内容1983年イタリア🇮🇹ミラノに実際あった精神病患者を一般社会に馴染ませ様とする運動家とイタリア特有の社会連帯組合についての物語。WW2戦後共産党と民主主義思想が対立する激動の時代に1人の気が狂っていると言われる人とそれを取り巻く人々の物語。好きな言葉は『只の精神を病んだ気の毒な人達なんです。軽い気持ちで、あの人達に勘違いさせてはいけないのです。』寄木床張り職人ジージョが好意を寄せた女性に客観的に言われた情け憐れみの言葉。この言葉は非常にパンチ力ありました。見えない大きな壁を突き付けられている様で無力感一杯になったのを覚えています。好きな場面は、やはり無言の理事長挨拶・切手を貼った便箋の束・愛の告白にと認めたパラパラ漫画でした。言葉にならない大切な思いを伝える術は雰囲気や五感に訴えかけるものなんだなと自分も汁が出そうになりました。そして注目すべきは、当時イタリア🇮🇹の社会連帯組合の時代背景が分かり非常に勉強になります。WW2以降親しくなる日本との🇯🇵関係も面白かったです。それを説明する冒頭2分の走りかたは流石で、とても軽快でスタイリッシュです。あまりに情報盛り過ぎて、やり過ぎな感覚はありますが非常に興味深くそして、ひたすらに軽く楽しめました。それでいてイタリア🇮🇹の怖さも見え色んな角度から鑑賞できるいい作品だと思います。
実話をもとにした・・・。
誤解を承知であえて言うと、
障害者と健常者と分けるのがすでに差別であり偏見であり。
男も女も、LGBTQも。
赤ちゃんも子供も大人も老人も。
黒人も白人もアジア人も。
貧乏も金持ちも無職もバイトも派遣も。
imagin all the people living for todday.
ってジョンレノンが言ってた。
そんな意見を理想主義者だって
非難する心がそもそも差別のはじまり。
なんか俯瞰した目で見ている。
実話と言うが、コメディで語れる内容では無いし、2時間位で語れない話だと思う。
イデオロギー的には分かるが、あまり、共感出来ない。80年代の話だから、まだまだ、市場経済も好調な時。現状はどうなのか知りたい。
この映画見て泣いては駄目だ少なくとも。
組合こそ人生
1980年代のイタリア、精神病院の患者たちで構成された組合とそのマネージャーネッロの、実話を元にしたサクセスストーリー。
久しぶりのイタリア映画。
これは喜劇なのか、それとも悲劇なのか。
でも、少なくとも希望のあるとにかく良い映画だ。
組合についてはあまりよく知らなかったが、色々と勉強になった。
自分自身、はじめは精神障害者というフィルターをかけて見てしまっていたけれど、ネッロと組合員たちの熱量を見ていれば、そんなの本当にどうでも良く感じる。
「やればできる」
仕事だって恋だって。
松岡修造ばりの激励にこちらが勇気をもらった。
物語は後半急展開を見せる。
決してサクセスコメディだけでは終わらせない、彼らゆえの厳しい現実。
彼の母親がネッロだけに息子の写真を渡さなかったシーンがなんとも苦しい。
組合員たちは、恋をして良くも悪くも変わった。
「金の次は女だ!」と、ダンスホール行くためにおめかししている彼ら。
自分を責めるネッロを支える彼女。
組合には新たなメンバーが加わって、いつの間にか上達してるの寄木張り。
喋れないだけなのに威圧感半端ない理事長。
「フロだぁ!」と叫ぶ優しい心の彼に、彼氏100人持ちの彼女。
みんな愛おしい。
突き付けられる現実と真っ向から闘う彼らを描いた、とてつもない愛の映画だった。
コメディとは思えない
コメディの括りにされているみたいだけど、
コメディではないよね。わりと重い話だし。
非常に難しい話。
精神疾患を患っている人とはいえ
まったくおかしくなってしまっているのでは無く、
人より感情が過敏になりすぎてしまっている人が多く
一定の作業なら出来るし、健常者が感じるようなことも
普通に感じているわけだ。
出来れば普通の生活を送らせてあげたいが
物語のようにあれだけの人数が居れば
健常者であってもトラブルは起こるもの。
それが精神疾患を患っているのであれば尚更。
薬漬けで、病院に縛り付けてしまえというのは考え方としては
分からないものではないが、全員が危険であるというものでもないわけで
バッサリ割り切ってしまうのは危険なことだと思った。
物語で暴力だったり、自殺だったりと危うい人々も
現れることを鑑みても結論づけることは難しい。
主人公のネッロは登場した時から精神疾患について無知過ぎて
自分が何とかできると思っている部分が多々あり非常に危険だなと思っていた。
案の定ジージョが物語中で自殺をしてしまう。精神疾患を甘く見ていた結果だと思う。
とは言え、病院に縛り付けて薬漬けで生きるのも、
できる限り普通に働いて生きていくのも、リスク自体はどちらも
変わらなくあるものだ。人間は神様ではない。
全てに責任を負うことはできず、どんな状況であれ
ひとりひとりが周りに助けを求めてでも生きていかなければなるまい。
ネッロは患者というか組合員に多大な愛を注いでた。
人ができる限界で最大のことだと思う。
実話を元にしているらしいが、ネッロが映画の主人公の様な
人物である事を願う。
実話に基づく社会派コメディ
薬漬け疑惑や様々な症状、親との関係、社会の偏見などイタリア映画らしくざっくばらんに精神病患者の現実と自立の方向性を描いている。よくできた話だなぁと思っていたら、エンドロールで実話だと分かり驚いた。
真心という言葉を聞かなくなって久しい気がしますが・・・。 人を幸せ...
真心という言葉を聞かなくなって久しい気がしますが・・・。
人を幸せにするのは、人の心でしかないのですね。目に見える物ではないのです。
どこよりも利他的な国、イタリア
この映画とても見たくやっと叶った。イタリアは精神病院をなくした。その発端の頃の実話に基づいたお話。シビアな話だけれどコメディにするところがいい。
中心になって動くネッロ、彼らにちゃんと挨拶して自己紹介して丁寧に話しかける。みんな薬のせいで体の具合が悪いのに、そんな彼らを前に「会議」!さすが、左が強い国、さすが組合で鍛えたネッロ!
精神科医にも二つの派というか考えがあることが分かった。専門家でもないのに直感で動くな、とネッロに批判的だった医師が最後は彼の功績を高く評価し、ネッロを元のポストに戻したのは感動した。自分と対立する相手でも、その相手の言動と周りとの関係と何をもたらしたかを見て、相手を認める理性と度量は見習いたいと思った。
彼らの特性を見つけるネッロのセンスが素晴らしい。働いて得るお金の有り難さがわかる、次はそれを守る、次は休暇もとりたい、そして最後にはお金を度外視して働く場合もあることがわかってくる。
イタリアは納税者番号持って娼婦として働ける?(後日イタリア人に確認した。街娼は禁止。日本同様、部屋に行くなど非合法な形とのことだった。ただ、ハンディキャップがある人の為のNPO活動はあるとのことだった)彼らが、精一杯のお洒落をして(頭にスプレーかけまくりの姿はツボにはまってしまい笑いが止まらなかった)バスに乗って行く姿は親の仇討ちに向かうかのごとくの沈黙と緊張。それが帰りのバスのなんと賑やかで明るいこと!
サラとネッロの関係、とてもいい。屋上でぼんやりへこんでるネッロに、ホースでサラが水をかけるシーンはとてもいいです。目を覚ませー。前を向けー。
理事長、適役!ネッロは人をちゃんと見てる。セルジョオも可愛い笑顔でみんなのことを見てると思う。
イタリア、個性的過ぎてよくわからない国だけど、アグリツーリズモ、有機農業、移民受け入れ、日本みたいに天災が多く、でも避難所はあんな体育館雑魚寝ではなくてプライバシーを確保した独立した空間(ベッドもテレビもキッチンもある)を用意する国。みんな優しい、働き者、辛抱強い。そうじゃない人ももちろん居るし暗部もあるだろう。でも、目を離すことができない、いつだって気になる国です🇮🇹
考えさせられるテーマになのに軽くて見やすい。でもやっぱり深い!
「頭はイカレてるけど、バカじゃない」
この映画に出てくる精神障害者は、自らが障害者である自覚と、人としての尊厳・プライドの狭間で生活していた。障害者を障害者としてしか見ない社会の中で、自信は打ち立てられないでいた。
社会の中で自立して生きていく中で、楽しさや希望、自信を見出していくけれど、同時に障害者であることの難しさにも改めて直面することになる。
「生きること」とか「人間とは」とか、そういったことを考えさせてくれる映画。
扱っているテーマや考えさせられる事は重いものの、映画全体のタッチに重苦しさや難しさがなく、むしろ、ょっと笑えるぐらいの感じに作られているところがこの映画の魅力だと思う。
今ここ!
森田療法や作業療法を連想させるアプローチです。過去を振り返るよりも目の前の生活を切り開いていくという違う意味での「今ここ」を大事にすることにちょっとはっとさせられました。
稼いで食べて恋をする人生。
名画座にて。
1983年のミラノを舞台に、精神病院廃絶法により実社会へと
放り出された(なんと実験的!)元患者達の労働組合を結成し、
床貼り事業を立ち上げるという実話をベースに描かれた作品。
組合長を取り仕切ることになるネッロという熱血漢のオヤジは
元患者達とのやりとりの中でも常に「稼げる」をモットーに掲げ、
精神を患った元患者にでも稼げる仕事、成功する仕事を探し
彼らの先導を担うのだが、これがいかにもイタリア人気質の
明るさとユーモアで描かれるため、お涙頂戴の感動劇よりも
純然なコメディの中に、現実が入り込んでくるリアル感がある。
そうは簡単に成功するはずもない彼らの事業が、
とある分野(それぞれの)に長けた技術力(各々)の発揮により
素晴らしい成果をあげていく様子が微笑ましく描かれ
社会に溶け込むためには、必ずしもテキストに書かれていない
人との繋がりから学ぶということ、欲に忠実であること(爆)も
イタリア人ならでは♪という感じでまったくもって嫌みがない。
もし日本で同じような試みが為されたなら、
すぐさま子供達は屋内に閉じ込められて(危険がないように)
彼らを「病院ではないどこか」へ疎外させる運動が起こりそうだ。
他人との付き合い方で精神を病む人が多い昨今だが、
他人との繋がりなくしては生きていけないのが人間でもある。
それを遮断し薬で平静を保つことが果たして幸せなのかどうか。
1人の元患者が若い女の子に恋をして精神を乱し始める。
結果、誰もが想像しなかった悲劇が起こるのだが、では彼は
恋など知らないまま一生を終えた方が、幸せだったろうか。
愛されずに精神を病むくらいなら、愛を知って苦しむ方がいい。
絶望も悲しみも味わったことがないからブチ切れてしまうのだ。
(だから何度も訓練を積むわけよ)
彼らを理解することは難しいかもしれないが、
他人を理解すること自体、一生かかっても出来るものではない。
まずは自分から理解しないと。
(自分を好きになること。長所も短所も悪態も弱点も全部含めて)
イタリアバンザイ!
イタリアの知らなかった一面が知れてよかった。
ありがちな人間讃歌とかキレイな美談で終わらせず、厳しい現実もキチンとポイント押さえて盛り込んでるのがさすが!
元気になります。
コワモテの仏頂面のお兄さんにあの役を任せるところはなんという適任⁉人事のセンスありすぎで、笑えました。
たくさんの人に観てほしい!
よかったよ、だけど。。
なんだろう、映画が終ったときにモヤモヤするのは。いい映画なの。登場人物もみんな善人でいい人ってわけでもないしね。役者も達者でさ、違和感をまったく感じさせない。脚本もありがちな「あざとさ」というか、ここで泣けみたいな、観客をバカにするようなところもない。でも、なんだろう。何かで満足度が足りない。タイトルと映画の説明を読んで期待していたのと、ちょっと違っていたからかな。
映画館の入り口でポスターをみていたら、学生らしい男性が、感動する映画は家でじっくりみたほうがいいよって、友達に話してたから、DVDでみたら満足度100%かもしれないね。
『働かざる者、喰うべからず』は人間らしさの始発駅みたいなもの
精神病患者の就職という深刻な課題をユーモアたっぷりに交えて重さを排除した今作は貴重な世界観と云えよう。
実話がベースなだけあって、事業の立ち上げから運営、対立、トラブルetc.展開が緻密にかつ、痛快に進み、ちょうど良い案配の人間讃歌を奏でている。
ファンタジー色の強い『八日目』よりビターやけど、ジャック・ニコルソンの『カッコーの巣の上で』よりは甘い、中間層の味付けっていうのかな?
仲間の若い職人が色恋沙汰の果てに自殺してしまうのは『カッコーの…』を彷彿とする苦味を漂わせ、社会の厳しさを痛感させる。
だが、オネエちゃんとオイタするスケベな了見や、差別者に怯まず皮肉めいたやり取りで応酬する毒っ気満載なポジティブ思考は、イタリアならではの突破口なのかもしれない。
ある意味、偉大なる先駆者フェリーニの『道』への回答とも云える。
精神病の知識なぞ全くのゼロのまま、業界に飛び込み、七転八倒する主人公の奮闘は、いつの間にか老人介護の業界に就いた自分に重ね合わせ、観入ってしまった。
入居者のお年寄りには精神の病を患った方々がとても多く、未だにコミュニケーションに苦労するからだ。
夜寝ないでずっと廊下を徘徊しまくるのなんざぁまだまだ序の口で、中には隠し持ってたハサミでリストカットするお婆さんに出くわし、深夜に大パニックとなった先輩もいる。
今作で「働かざる物、喰うべからず」の下、取り得を手中に生き甲斐を持つ喜ぶ仲間達の明るさは、自分のこれからのヒントに少しでも成れたら良いなと思う。
では最後に短歌を一首
『行き場無き 廃材集め ハメるドア 稼ぐ腕前 現場でイカせ』
by全竜
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