「笑わせる天才が説く笑われる男の美学」さや侍 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
笑わせる天才が説く笑われる男の美学
松本人志信者という立場関係無く、連休を利用し、2度観賞した。
前作『しんぼる』の世界観に戸惑っていた故に期待感より不安感が大きかったが、こんなにも笑い、こんなにも泣ける愛の映画であるとは想像だにしなかった。
それは全編に《笑わせる天才が説く笑われる男の美学》が貫かれていたからではないだろうか。
そして、芸人として描いた笑いの本流に、実際に娘を持つ父親・松本人志の愛が交わり、哀愁とも苦笑とも感動とも云えぬ唯一無二の余韻に心が侵蝕されてしまう。
また、見張り番の板尾創路が、野見の娘と触れ合う度に、クランクイン直前に幼くして亡くした実娘へ問い掛ける父親としての自分を投影しているようで、なおさら哀愁を誘った。
拒絶と別れこそ、笑いの…いや、人間の絆の原点なのかもしれませんね。
笑いはやっぱり偉大な文化やと思います。
では、野見勘十郎に代わり、辞世の短歌を一首
『刀捨て 笑い貫く 武士の道 絆巡りし 鞘の背中よ』
by全竜
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