「小津安二郎監督作品や東京物語を一度観てみようという気になられた方が一人でも増えたならなら本作はそれで成功という映画なのだと思います」東京家族 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)
小津安二郎監督作品や東京物語を一度観てみようという気になられた方が一人でも増えたならなら本作はそれで成功という映画なのだと思います
東京家族
2013年公開
本作は小津安二郎監督の没後50年、その代表作の東京物語の公開60年記念として製作されたのはどこからどうみても明らかです
でもそれを明示しては観客を限定してしまうでしょうから、そのようなことはどこにもアピールされてはいません
ご存知の通り小津安二郎監督は世界の監督が選ぶ世界一の映画監督に何度も選ばれたことがある巨匠です
東京物語も世界一の名画として何度となく選ばれています
山田洋次監督は松竹大船撮影所に入所した若き日に、その教えを受けた直系の最後の弟子になります
ですから没後50年、公開60年記念の映画を撮るなら山田監督を於いて他にいないのです
というか、自分がやらなければならないという使命感がそうさせたのだろうと思います
小津安二郎監督は60歳の誕生日に
お亡くなりになられています
山田監督は本作公開時82歳、今も元気に映画を撮られておられますが、失礼ながら自分ももうそんなに長くなく映画を撮れない日が来るのではないかと思われたのかも知れません
自分がまだ元気な内にこの記念作品はやり遂げなければならないそのような想いで製作された作品だと思います
つまり、本作はその東京物語のリメイクです
ことによるとパロディかも知れません
ですから本家の東京物語を観てなければ一つも面白く無いかも知れません
反対に東京物語を何度も何度も繰り返し見返しているような方には染み入るものが多い映画だと思います
あのシーンがどのように撮られているのか
小津安二郎調というものがあります
それが現代の作品にどのように再現されているのか、元の作品を知っていればいるほど分かってきます
東京物語を観た事もないし小津安二郎監督の名前も知らない方なら
そういうことから置いてけぼりになってつまらない映画という評価になるのも致し方ないかも知れません
それでも、小津安二郎監督作品や東京物語を一度観てみようという気になられた方が一人でも増えたならなら本作はそれで成功という映画なのだと思います