「素敵な時間」東京家族 ヤマヤマさんの映画レビュー(感想・評価)
素敵な時間
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セリフ回しも小津節になってましたので、もうまさしく平成版「東京物語」でしたね。あのどこか感情をおさえた演出には、どこかしか違和感を
おぼえた人もいたかもしれません。
山田監督は「息子」もありますし、家族をテーマとしている点で、小津
監督とはなにかと通じるものがあります。
この作品には、誰ひとりとして悪い人はでてきません。ただこの厳しい日常を生きている人たちの姿を描きます。だから、いつしか自分もその中にはいっていって自分と家族のありかたも考えてみています。
どうして、周吉ととみこの東京旅行は、つまらなかったのでしょう。
自分の子供たちが元気に生きている、それだけでもいいはずなのに。
欲をいえば、親であることから引退を告げられたような対応だったのかも
しれませんね。一番、ダメ息子だったハズの末っ子とのふれあいが、この
旅を素敵なものにしたのも、彼がふたりをふつうにおやじとおふくろとし
て対応したからではないでしょうか。蒼井優をひとめみて、息子の生き方
間違いはないんだと知る母の姿がすばらしい。そして、その幸せそうな妻
の姿を見て、心配する息子の嫁がいい娘なんだと感じる。
言葉にはない素敵な時間がそうさせるのだと思います。
だから作品を見ている自分も同じ時間を共有できて幸せなのです。
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