ネスト(2010) : 特集
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」でアカデミー賞を受賞、「守護神」「Mr.ブルックス/完璧なる殺人鬼」で近年再び評価を高めているあの名優ケビン・コスナーが、デビュー30周年を迎えて、新境地“ホラー”に挑む! “呪われた種族”に魅入られた娘を救うために奔走する父親の姿を、深いドラマ性で描いた「ネスト」に迫る。
デビュー30年にして挑む新境地!
ケビン・コスナーがスーパーナチュラル・ホラーに初主演!
■演技派コスナーが魅せる新たなる“ホラー”
超自然現象やオカルティズム、さらには人智を超えたクリーチャーが登場する“ホラー”。ショッキングな描写が作品のキモとなってきたこのジャンルで、近年注目度を高めているのが、“異常な状況下における人間ドラマ”を丹念に描いた作品。M・ナイト・シャマラン監督がブルース・ウィリスを主演に据えた「シックス・センス」で大ヒットを記録して以来、この《ホラー×ドラマ》の方程式は完全に定着、監督や俳優のビッグネームがこぞって参加し、いまやかのクリント・イーストウッド監督までが、マット・デイモンを霊能者役にした「ヒア アフター」を撮り上げるという事態に突入しているのだ。そんなドラマ性を重視したホラーの新ジャンルに、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」「ボディガード」で人気を博し、近年の「守護神」「Mr.ブルックス/完璧なる殺人鬼」で再び演技者としての評価を高めている、あの名優ケビン・コスナーが、“デビュー30周年”を懸けて挑んだ。
その作品とは「ネスト」。“巣窟”という意味を冠した本作は、妻と別れ片田舎の一軒家に越してきた小説家と思春期の娘、そして幼い息子との家族のドラマを軸に、家の裏に存在する古墳のような塚に棲む“呪われた種族”との壮絶な死闘を描いたスーパーナチュラル・ホラーなのである。
コスナーはこの家族を「基本的に、関係は崩壊していて幸せではない」と語る。さらに自身が演じるキャラクターは「みんな(関係を再び築くために)精一杯の努力をしているが、私が演じるジョン・ジェームズは、そのための心の準備が完全にできていない」とも。
「離婚が原因で、突然彼は14歳と7歳の子どもと3人だけで田舎で暮らすことになるが、明らかに誰もその状況を喜んではいないうえに、子どもたちはひどい疎外感を抱えているんだ。だから、映画のなかで起こるさまざまな警告のサインを、ジョンはすべて娘の怒りのせいだと考えて見過ごしてしまう。実際は、ある別の存在が支配の手を伸ばしてきているにもかかわらずにね」
愛する娘が人ではない“なにか”に囚われたとき、父はどう振る舞い、そしてどう戦うのか? 愛する娘を取り戻すため、苦悩する父親が選択する最後の決断とは? その結末を見届けたい。
※ビッグネームが挑んだ“ホラー”
■祝デビュー30周年! ケビン・コスナー“戦い”の歴史
1981年に映画デビューし、2011年に30周年を迎えたケビン・コスナー。長い下積みを経てスターダムを駆け上がり、ついには自身の監督作でアカデミー作品賞、監督賞を受賞したという彼もまた、“アメリカン・ドリームを体現した男”のひとりだろう。そんな彼が、作品を通して“戦って”きたものはなにか? 「ネスト」で新たな敵に対峙した彼の“戦い”の歴史を代表作とともに振り返ってみよう。
■映画好きなら見逃せない、注目のキャスト&スタッフ
「『ふるえて眠れ』(ロバート・アルドリッチ監督のサスペンス・スリラー)のせいで、15年程、夜も電気を点けていないと不安で眠れなくなってしまった」というコスナー自身だからこそ、「この映画を見た誰かも、そうなるかどうかが知りたい」と、初ホラーに懸けた意気込みは大きい。映画好きにとっては、そんな初めてのジャンルに挑むコスナーの姿が見ものだが、キャスト&スタッフの顔ぶれにもピンとくるに違いない。
コスナー演じるジョンの娘で“呪われた種族”に魅入られるルイーサ役には、「パンズ・ラビリンス」のヒロイン、イバナ・バケロ。美少女ぶりはそのままに、本作では10代の少女が持つ大人でも子どもでもない危うい存在感を醸し出し、柔肌を見せる初のセクシー・シーンにもチャレンジ。弟のサムには、「チェンジリング」でアンジェリーナ・ジョリーの息子役を演じて絶賛されたガトリン・グリフィスが扮している。
監督のルイス・ベルデホは本作が初メガホンながら、ハリウッドでもリメイクされた「REC/レック」の脚本を担当したスペインの注目株。「パンズ・ラビリンス」のギレルモ・デル・トロ監督等のハリウッドで注目を集めるスペイン語圏人脈であり、本作でも余韻あふれる形で風景を切り取り、父子家庭のドラマを丹念に描くなど、一連のスペイン語圏映画の流れを汲み取ることができる。音楽のハビエル・ナバレテも「デビルズ・バックボーン」「パンズ・ラビリンス」などスペイン語系ホラーの常連である点にも注目したい。