劇場公開日 2011年10月22日

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スマグラー おまえの未来を運べ : インタビュー

2011年10月25日更新
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主演の妻夫木聡とは、「69 sixty nine」(李相日監督)以来の共演となる。李監督がメガホンをとった「悪人」が昨年のモントリオール映画祭で高い評価を得て、今や日本を代表する若手俳優に成長した妻夫木と偶然海外で再会した際に、良い意味でのライバル心を刺激されたと明かす。

「去年の釜山映画祭で、出演した中国映画「刀見笑」の監督たちと食事をしていたら、ちょうど『悪人』チームが来ていて、久々に妻夫木さんに会ったんです。李監督も一緒で、なんかみんな上機嫌で温度が高くて、いい顔をしていていいなあって思っていました。妻夫木さんの成長って、もうすごいところに行っていて、ドラマでも映画でもトップを走っているから、(次の作品「スマグラー」では)やってやる! っていう思いもあったんです(笑)。嫌いとかそういうことじゃなくて、尊敬しているから。それくらい、いい闘志を燃やしましたね」

これまで出演した中華圏の作品では、限られた期間で撮影を完了しなければならないことが多い日本映画に比べ、「撮影期間が長くて、お金がなくてもやり続けて、監督は撮影しながらも、資金調達に自ら行く執念」に驚かされたという。安藤にとって、海外での経験はどのようなものだったのだろうか?

「当然自分のマーケットを広げていきたいし、いろんな才能と出会いたいと思っているので、日本だけではなく、表現する場所はどんどん広げていきたいという思いはあります。チェン・カイコー監督とベルリンのコンペに行ったり、台湾の監督とベネチアのコンペに行ったことは、映画人としてのアピールだったり、マーケットとしてあんなにいい舞台に立てたのは、最高のことでした」と述懐する。

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しかし、そんな得難い経験の中で、ひとりの日本人として感じることがあった。「(出品された映画祭で)中国人は中国人同士で喜んで、台湾人は台湾人同士で喜んでいるんです。自分ももちろんうれしいんだけれど、みんなとは違ううれしさで、どこかこう、少し穴があいているような感覚。そういう民族性とか、ちょっと超えられない壁にそこで直面しました。ずっと日本にいたらこういう風に考えないと思うんですけど、次は、日本映画で国際舞台に立って、世界の人に映画を受け入れてもらえたら、もっとうれしいだろうな」と言葉を選びながら明かす。

そして、4年ぶりの日本映画出演作となった本作は、第36回トロント国際映画祭に出品された。惜しくも受賞は逃したが、安藤にとって「新たな自分の代表作になった」という。石井監督への愛とともに、作品の魅力を語った。

「背骨のつらさを引きずらないまま、高嶋(政宏)さんに笑わされちゃう(笑)。うそだろー! って、そんなバランスが面白い映画。いびつなのにきれいにちゃんとまとまっていて、緊張感と重さがある。胸も熱くなるし、すごく笑えるしっていう絶妙な作品。石井さんって、また違うステージに行ったんだなって、ほれ直しましたね」

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