劇場公開日 2011年10月22日

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スマグラー おまえの未来を運べ : インタビュー

2011年10月25日更新
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高嶋政宏、狂気ほとばしる怪演で見せた底知れぬ役者魂

PARTY7」「茶の味」など、その独特な世界観で高い人気を誇る石井克人監督が、人気漫画を映画化した「スマグラー おまえの未来を運べ」が現在公開中だ。豪華キャストによる個性的なキャラクターやCGを駆使したアクションなど見どころは尽きないが、ラスト38分、高嶋政宏の怪演により、思わず目を覆いたくなるほどの臨場感あふれる衝撃的な場面が繰り広げられる。誰もが驚きと笑いなしでは見られない、圧巻のシーンを高嶋が振り返った。(取材・文:編集部、写真:本城典子)※高嶋の「高」は正式にはハシゴダカ

妻夫木聡演じる役者志望のフリーター・砧が、借金返済のために始めた“危険物”の運搬を行う「運び屋(スマグラー)」の仕事を通じて、地獄を見ながら人間として成長し、一発逆転のチャンスにかける……という本作。高嶋が演じるのは、裏社会に君臨する田沼組の一員・河島精二。田沼組一の狂犬と呼ばれる河島は、加虐的な変態趣味があり、暴れ出したら手がつけられない問題人物という設定だ。長年のキャリアの中でも、高嶋にとってこれまで演じたことのない異色のキャラクターとのめぐり合いで、役者魂に火が付いた。

「河島の話が来たときは、神様に感謝しましたね。それほどもう、こんなにやりたかった役はありませんでした。原作を知っていたわけではなかったのですが、ああいう役を熱望というより、渇望していました」と声を弾ませる。役作りのために、熱心な取材活動を行うなど、並々ならぬ意欲で撮影に臨んだ。

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「監督と最初に会ったその日に、こんなときはこういう風にやったらどうでしょう、こういうものを使いましょうと色々と僕から提案しました(笑)。たまたま知り合った、本当にそういう趣味を持つ人にも何時間も細かく取材したんです。その取材を基に、監督と河島のキャラクターをすり合わせていきました」

密室の中、河島の持つ陰惨な狂気のすべてを砧にぶつけていく衝撃のシーンは、石井監督のコンテと自らの取材経験を基に、ほぼアドリブで進められたという。「一応台本は数行あったんですが、監督はカットをかけないんです。フィルムアウトするまで、全部アドリブで10分以上演じていたんじゃないでしょうか。カットがかからないので、特殊な準備をしていないと表現できないようなこともできたんです」。

妻夫木とのタッグについては「リアクションが素晴らしいんで、こちらもノッていきました。その間、妻夫木さんは絶叫だったんで、大変だったと思うんです。カットがかかった時は、『いくらなんでも長すぎるよ~』って言っていましたし(笑)。生易しいシーンじゃないからですから、リアクションする相手が良いと、より良くなるんです。もう、最高でしたね」。

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インタビュー4 ~高嶋政宏、狂気ほとばしる怪演で見せた底知れぬ役者魂(2/2)
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