カウボーイ&エイリアン : 映画評論・批評
2011年10月11日更新
2011年10月22日より丸の内ピカデリーほかにてロードショー
もっとコメディ色が欲しかった、007&インディ・ジョーンズによるSF西部劇
1873年の西部の町が舞台で、エイリアンやUFOといった要素が盛り込まれているが、コメディ色いっぱいの「ワイルド・ワイルド・ウエスト」風の荒唐無稽なSF映画ではない。いわば“ジェームズ・ボンド”と“インディ・ジョーンズ”がチームを組んで、勇敢にもエイリアン相手にガンファイトを繰り広げる痛快な活劇である。
愛妻を彼らに殺された主人公のガンマン(ダニエル・クレイグ)は記憶をなくした「賞金首」。いつも苦虫を潰したような顔をしている彼の左手首にはなぜかメタル製ブレスレットが嵌められている。007に登場するQの発明品のようなその腕輪は、ジョン・ファブロー監督作「アイアンマン」におけるアーマーのような、エイリアンを退治できる唯一の必殺兵器なのだ。一方の町一番の牧場主(ハリソン・フォード)もピカレスクなムードを漂わせて登場するが、放蕩息子を救うべく、ドクという名の酒場主や牧師や保安官の孫の少年らとともにエイリアン討伐隊を結成しリーダー格になると好々爺な風貌になる。道中、アパッチ族や強盗団も仲間に引き入れ、味方が一丸になったところで最終決戦に突入し、一気に盛り上がる仕組みだ。
思うに、主役のクレイグがあまりにニヒルでシリアスなヒーローなため、観ているほうもリアルさを追求してしまうのが玉にキズだ。例えば、エイリアンが金貨や金時計を溶かし動力源とするなら、なぜ彼らは金がある銀行を襲撃しない?もしもロバート・ダウニー・Jr.が主役ならば笑い飛ばしていたかもしれない小さいディテールが気になって仕方なくなるのが、本作品の長所であり短所だ。もっとコメディ色があったほうがファブロー監督らしくて、痛快だったと思うがどうだろう?
(サトウムツオ)