アメイジング・グレイスのレビュー・感想・評価
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奴隷解放運動の歴史作品
奴隷解放運動の歴史を学べる作品。主人公ウィルバーフォースは、奴隷貿易に反対するイギリスの政治家。理解者が少ない中、懸命に訴える姿に感動。何という素晴らしい方なんでしょう✨ベネさん演じる首相ウィリアムピットとの友情物語も良かった。2人とも病弱なんですよね。
賛美歌「アメイジンググレイス」の作詞者と言われるジョンニュートンさん。奴隷船の船長を経て牧師に。彼の苦悩も描かれています。この曲の素晴らしさに、改めて気付かされました。
若かりし頃のヨアンさん、カヴィルに似てますね。
ヒューマニズム賛歌
奴隷貿易船の船長から悔い改めて牧師となったジョン・ニュートンにより1772年、「アメイジング・グレイス」が作詞された、ニュートンを心の師と仰ぐウィリアム・ウィルバーフォースとケンブリッジ大学での親友ウィリアム・ピット、若き政治家が志した奴隷制度廃止が成立したのは1833年、実に作詩から61年を要したことになる。人の欲望と抑制はホモサピエンス発現以来の永遠の命題であろう、創りだした手段や便法も神仏や理性、法と罰など一様ではない、現実には21世紀の今日ですら支配と隷属、人身売買は世界から一掃されていないのだから人類の闇は深い。
奴隷解放はアメリカのリンカーンに象徴されるが英国にも不屈の運動家がいたことが分かったことは勉強になった、未来に残したい伝記映画であった。
話の流れや登場人物がストレート。そのままであまり捻りはない。 それ...
話の流れや登場人物がストレート。そのままであまり捻りはない。
それよりも、考えさせられる事の方が多い映画。当時の人々も奴隷は良くないと、頭でわかっていたが自分達の利益の事を考え、撤廃するのにかなり時間を要している。その間にどれだけ多くの犠牲が出たのだろうか。人は目にしていないものには鈍感になれる。
色々と勉強になる映画だった。
途中の奴隷の状況説明で辛くなってしまったので、心が元気な時に観たほうがいいと思う。
話のメリハリの無さや、露骨な奴隷が虐待されているシーンがない所はイギリス映画らしい。(嫌いじゃないです)
名曲「アメイジング・グレイス」の誕生秘話と、この曲に支えられて戦っ...
名曲「アメイジング・グレイス」の誕生秘話と、この曲に支えられて戦った政治家ウィリアム・ウィルバーフォースの生涯を描く伝記映画。
学生が観た感想
過去の回想シーンと現代のシーンの区別が最初難しかったが観ていくうちに主人公のやつれ病弱になりつつある今と希望に満ちていた過去が顔や雰囲気に出ていることに気がついた。
どんな苦境にも負けず最後まで自分の信じたものを貫き通し、他の人に認めさせた姿は、かっこよかった。
もっと綺麗な歌声を披露して欲しかったし歌の重要性をもっと出して欲しかったなぁと思ってしまいました。
欧米民主主義理解の一助になるヒューマンドラマ
与えられた民主主義が本当に根付いているか、疑わしい日本と異なって、英国奴隷制度の廃止を訴えた主人公のヒューマニズムあふれる行動を描いた映画。欧米民主主義の理解を助ける教科書的映画の一つ。 演技陣も良かった。
奴隷解放というよりも信念の政治家の生き様と政争の話
総合75点 ( ストーリー:75点|キャスト:85点|演出:80点|ビジュアル:80点|音楽:75点 )
賛美歌の名曲「アメージング・グレイス」誕生の所以は多少知っていたが、アメリカ人ではなくイギリス人の牧師だったのは知らなかった。さてその題名から黒人奴隷解放に関する凄まじい話を予想していたのだが、実際は黒人奴隷解放に大きな貢献をしたウィリアム・ウィルバーフォースの政治家としての奮闘と生き様を描くことが主になっていた。もちろん黒人奴隷の話はこの作品に極めて大きな意味を持つが、奴隷廃止の話よりもウィルバーフォースの人間性や彼の目的達成のための政争が描かれる。
アフリカから大西洋を超えるまでに半分以上が死ぬこともあるという、人間性を否定され単なる労働の道具として家畜以下の悲惨な運命にある人々を救いたいという思いがある。それは冒頭に登場する、鞭で打たれ続ける倒れた馬車馬と同様である。
しかし一方で奴隷の存在によって産業が維持され社会が発展し利益を得て国家がその国際的地位を保てるという現実がある。奴隷貿易と奴隷を使った産業によって利益を上げている立場の者たちからすれば、黒人奴隷がどんなに悲惨であるかよりも自らの利益のほうが心配なのは当然の話。
そんな立場の者たちが既得権益のために手をつくし、対するウィルバーフォースはそんな強大な敵と社会の無知を相手に何度も何度も苦渋をなめながら猶も信念を曲げずに戦い抜く姿がしぶとい。誰が味方になるかを判定して敵を切り崩し、自分の意見を押し通すための情報を集め、相手を出し抜く作戦を考えるという政治劇と彼の信念の行動が楽しめた。友人であり首相であるピットに今注目されているベネディクト・カンバーバッチが配役されていたりして、周りの出演者の演技もしっかりとしているのも良い。美術や衣装の作りも上質。
ただ残念なのは題名から連想する内容とは異なり、黒人奴隷の悲惨さが直接描写されないこと。イギリスにいる登場人物たちが間接的に見聞きする事柄だけが描かれ、黒人奴隷が輸送される船や閉じ込められる箱が映されるが、そこに人権を蹂躙され死にゆく黒人奴隷は存在しない。ニュートン牧師が自らの行動を悔い改めることになる黒人たちの姿と、それを回想する場面にそのような悲惨な場面を直接描いても良かったのではないか。
天は人の下に人を造らず
18世紀イギリス、奴隷制度廃止を訴えた政治家ウィリアム・ウィルバーフォースの実話に、名曲“アメイジング・グレイス”の誕生秘話を絡めた歴史感動作。
幾多の困難や障害に直面しながらも、長年戦い続けたウィルバーフォースの功績は讃えられるべき。
映画としても、若者が世の中を変えようとする物語(しかも実話)は、夢と希望に溢れ、爽快だ。
欲を言えば、迫害を受ける奴隷たちの描写もあれば、もっとメリハリ付いたかな、と思った。
ほんの数百年前まであった奴隷制度。
人が人を金で買い、こき使う。
人類の歴史においても、愚かで恥ずべき汚点である。
映画はウィルバーフォースの姿を追い、“アメイジング・グレイス”は彼を支えた曲と位置付けられている。
その歌詞は実に意味深く印象深く、全文表記しておきたい。
♪すばらしき神の慈しみよ
なんと美しき響きか
こんな悪人まで
救ってくださった
道を外れた私を
見つけてくださった
見えなかった目も
今は開かれた
人の意識変革には時間と作戦も必要不可欠
日本に於いても、とても多くの人に愛され歌い継がれている曲の1つである、「アメイジング・グレイス」
この歌が、中世ヨーロッパの奴隷船貿易の哀しい現実の中から生れ、その奴隷制と言う残酷な人身売買制度を人道的・宗教的な立場からみても、決してあってはならないと、この理不尽な制度を撤廃する事に尽力した、若い政治家のウィリアム・ウィルバーフォースの物語がこの映画「アメイジング・グレイス」だ。
この作品はとても大きな感動を私に与えてくれた。
16世紀から18世紀にかけて3世紀に渡りヨーロッパからは武器の輸出と西アフリカで奴隷売買し、西インド諸島を経由し、砂糖などをヨーロッパに持ち帰ると言う大西洋奴隷貿易と言う三角貿易が中世のヨーロッパの産業の中心で発展して来ていた。この奴隷制度の中で綿花の栽培がアメリカ南部の大きな産業となり、その産業の労働力をアフリカから売れれて来た人々の人力で支え、その綿花はイギリスの綿工業へと発展し、産業革命の基盤へと発展してゆくのだから、元々この中世に起こった、奴隷船貿易が行われていなければ、世界の経済産業の歴史も、今の経済や、産業分布も随分と違った姿をしていた事だろう。
だが、人類史の中では、戦争の無い時代は殆んど無いと言われるが、それと並行して、奴隷制度も、古代ギリシャやローマ時代も主に戦争の為の兵力として、奴隷は存在していたのだから、戦争と同様に奴隷制度の歴史も人類史と共に長いのが、この人間社会の裏側の歴史とも言えるだろう。英語のSLAVEと言う言葉の語源はスラブ人から由来していると言われ、中世バイキングはスラブ人、ムスリムはトルコ人を奴隷としていたが、アフリカ系の黒人の人達が奴隷として扱われるようになったのは、この大西洋奴隷船貿易からの事だろう。
この映画の政治家ウィリアムが生きていた時代は、英国のリヴァプールや今はフランスのワインで有名なボルドーから奴隷船に寄る産業の利益を上げていた多くの商人や特権階級の人々がいたのだから、ウィリアムが、この奴隷制度撤廃法案を可決させるには、どれ程の苦労と失敗や、挫折の末に、この法案を可決へと導いて行ったかその苦労を想像出来ると言うものだ。それを思うと、人が信念の為に、努力し続け、何事も決して諦める事無く生きる事の重要さが何よりも大切である事をこの映画は私に教えてくれた。
フェアートレードによる貿易が行われている社会なら、お互いに経済格差も縮小して、産業も共に発達し、そこに暮す人々も生活に困窮する事も減ってゆくだろうに・・・
ヨーロッパで18世紀に始まった、お茶の習慣が、ヨーロッパ菓子や、料理の世界を拡げ、その影響は、今なお私達の住む今日の日本の生活をも、豊かで楽しい文化的なものにしてくれているのだ。しかしその一方で、人間の歴史に於いては、表の歴史の裏に隠れて、負の歴史とでも言うべき、歴史を併せ持っていると言う現実を知る事はとても大切な事だと私は考える。その事で、人は物が生れる、出来るまでにも、総ての物にも、それぞれの物語が存在し、ドラマがある事を知り、総ての物や事柄を何も疎かにする事が出来ない現実を知ると思う。それが日々の生活の感謝へと繋がって行くと私はこの映画を通じて知った
オクタビア・スペンサーが「ヘルプ」で2012年のアカデミー助演女優賞を受賞したので、この映画も早く観てみたいのだが、「アメイジング・グレイス」を観て、大西洋奴隷貿易がどんな歴史を生んで来たのかを参考にして観てみると、より「ヘルプ」の描く世界がリアルに見えて来る気がするのだが、あなたはどう感じるだろうか?
あの名曲にこんな史実が隠されていたとは・・・
期待のハードル上げてたのに、
それを軽々と超えてしまったんですけど!
同じ英国実話モノ『英国王のスピーチ』より、
遥かに入り込んじゃったし、感動したんですけど(落涙)
※心に残ったセリフ
〈 見えなかった目も、今は開かれた 〉
〈 結婚と健康は、切り離すことの出来ない双子 〉
今作を見るまで、
この名曲が、英国奴隷船の船長の懺悔から、
生まれた歌だったなんて、全く知りませんでした。
“奴隷船”の言葉がキーワードでして、
今作は、奴隷解放に生涯をかけて取り組んだ政治家の話です。
壮年のウィルバーが、若い頃を振り返る形で、
現在と過去を行き来しながら作品は進められていきます。
一時は大真面目に神職の道に進もうと考えていたウィルバー
人は平等なもの、奴隷の話が出ると露骨に嫌悪感を出すほど反対をしていた
しかし、時代は奴隷貿易
そして、植民地時代の真っ只中
奴隷で、大量の労働力を賄わなければ、
植民地で農場を運営できなくなりお金を稼げなくなる
白人至上主義
根強い人種差別
当時、奴隷制度に声を上げて反対を唱える
政治家は、ウィルバー、ただ一人であった
だが、彼の熱意に打たれ、数は少ないが仲間が集まり始める
しかし、長く続く慣習を、変えるのは容易ではない
信頼していた仲間からの裏切り
フランス革命が起こるなど時代の流れは逆行
ウィルバーは麻薬のような劇薬に頼らなければ
ならなくなるほど、体調を崩し、精神を病んでしまう
そんな彼を支えたのは伴侶となるバーバラ
外で戦ってきても、家では娘とともにウィルバーを癒す
体調も、精神状態も、右上がりになったとき、時代も味方に・・・
根回し
裏切り
駆け引き
どす黒いことも描かれているのですが、
それは結果として、感動のスパイスに過ぎません。
ウィルバーは、精神的に病み、
“奴隷”の言葉を耳にするのも嫌になるほど
落ち込んでいくのですが、最愛の理解しあえる
伴侶との出会いが、彼だけでなく、彼が変わって
いくことで、彼の周りの人たちも変わっていきます。
「他人を変えたければ、まず自分が変われ」
よく耳にする言葉ですが、まさにそれを自ら実践。
周囲に耳を傾け、老獪さも手に入れ、
若かりし頃に成し得なかった奴隷制度廃止を、
言うなれば、大通りからでなく、裏道から実現させようとする。
永く失っていた心の安らぎ
濡れた芝生に横になること
蜘蛛の巣を見つめること
そして、ウィルバーは、念願の奴隷制度廃止を・・・
★彡 ★彡
目立つフリだけでなく、
目立たないフリを使うのが、非常に上手い。
イコール、見落とし注意!!になるわけです(苦笑)
エンドロール直前のシーンとテロップは、あれは私のドツボ。
そこまでで十分感涙していたのですが、そこでリスタートしてしまいました。
上映終了後、パンフ見本熟読へ直行。
英国実話ベースでキャストには徹底的にこだわり
すべて英国人俳優を起用しているそうですネ。
精神を病んでまでも、
生涯を賭して戦い続けたウィルバー。
「日本の救世主になってください」
現在の日本のウィルバーは、福島の原発で、
放水活動や、復旧作業にあたる全ての作業員かもしれません。
濃厚な118分をありがとうございました。
もちろん、5点満点でございます!!!!!
必ず夜明けはくる。
名画座にて。
2006年度の英国作品が、どうして今頃になって公開?と思いながら、
よほどの名作だからか?なんて期待してたら、まさしくそうだった。
いや~なんで??と思うほど素晴らしい作品なのに全く知らなかった。
名曲「アメイジング・グレイス」の歌詞ですら、何度も耳にしているのに
そういう意味を孕んでいたなんて全く知らなかったという、恥ずかしさ。
18世紀の英国が舞台、恩師が作詞した「アメイジング・グレイス」を胸に
奴隷貿易廃止に尽力した政治家、W・ウィルバーフォースの半生を描く。
当時の英国ではアフリカの奴隷貿易が主な収入源で、その移送環境は
家畜以下、船中で死亡した奴隷は海に投げ捨てられるという惨状に心を
痛めた彼は、若くして政治家となり、生涯をかけて議会と闘うことになる。
もともと平和快楽主義であり博愛心と信仰にも深かった彼は、政治家か、
牧師となって神に仕えるかで迷うが、周囲の強い説得により政治の世界に
留まることになる。そして…同じ志を持つ友人・妻・協力者に恵まれる彼
だが、心労からの度重なる病、何度も否決される法案に悩まされ続ける。
そんな中でも彼を支え続けたのがこの名曲であった…。いう実話である。
今の日本の現状が、立場は違えど、何気に似ていることに驚く。
経済効果を選ぶか、安全を優先させるべきか。本来はどちらにも叶う
新しい技術が導入されるのが一番望ましいが、早急な対応には届かない。
ではどうするか。個々の努力と姿勢に期待するしかない…、そこで節電。
この猛暑の中、効果はカタチで顕れている。日本人ならではの選択肢か。
個人の意識改革というのは、小さく見えてもっとも大規模な変革かも。
今作でも大きな波をひっくり返す前に、ウィルバーフォースは様々な活動
をしている。邸宅にあれだけのお客(貧民)を招き入れてランチを振舞ったり、
雨で倒れた馬を休ませる方を優先させるほどの博愛ぶりは、彼本来の姿を
しっかりと映し出し、私欲に走れば満足か?という難題を突きつけてくる。
濡れた芝生にゴロリと横たわり、迎えにきた使用人に向って、こんな主人では
おかしいか?と尋ねるシーンが好きだ。それに対し使用人も粋な言葉で応える
(台詞は忘れた)のだが、こんな関係を保てる気位の柔軟さが彼の魅力である。
彼の思想と出逢い、親交を深めた友人や協力者は、そこが分かるから面白い。
とりわけ、のちの首相となったW・ピットや運動指導者のT・クラークソンとの
長きにわたる付き合いは(女の私でも)羨ましいくらいの、これぞ親友!揃い。
反目を繰り返しつつも、あっという間にゴールインした妻・バーバラも然りで、
とにかく彼の周りには(議会は別として)よき理解者や協力者があとを絶たない。
これは、その人の人望そのものでしょう。どこかの指導者にも供わればねぇ^^;
実話としての重みは当然として、その後の政治の動向、戦争勃発、病の進行、
遅々として進まない法案の成立がやっと叶う後半の、ちょっとした、ズル(爆)を
しようなんていう戦略の巧みさにもニヤリ。ラストは涙が達成感を促してくれる。
キャストの巧みな演技、適材にも唸らされる。ヨアンの歌の上手さにも注目!
(長い長い夜明けを待ったような、それでいてまったく飽きない演出もお見事。)
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