ポンヌフの恋人のレビュー・感想・評価
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名作というより、名シーン
片目の視力を失うという不自由を抱えたことからホームレスになるも自由に向かって行動的なミシェル。
完全なるホームレスであり常に自由になることを拒むかのように現状を維持しようとするアレックス。
この2人を対象的に描きながら恋におちていく様を描いた作品。
よく言われる通り、この対比の中でアレックスが明確な意識の変化もなく唐突なハッピーエンドに向かうのには納得感が薄かった。どうせハッピーエンドにするなら眼科医との思わせぶりなシーンは要らなかったし、アレックスがまたキレ癖を見せる必要もなかったと思う。酒場の男たちの笑い話を踏襲するかのようにスッキリとハッピーエンドに向かってくれれば良かったのになと感じた。
しかし、それでも中盤まではラブストーリーとして楽しく見れた。
そして月並みだがやはり花火のシーンは素晴らしかった。入り混じる音楽と、徐々に近づいていく泥酔した2人の様は映画史上に残る名シーンだったと思う。ラストが気に入らなくても、このシーンとその前後のストーリーだけで高得点がつけられるように思う。
これがセットで撮影されたという裏話は、このシーンをむしろより衝撃的な印象に変えた気がする。
わき毛
自分が高校生の頃の1990年代にケーブルテレビで頻繁に放送されてまして、それで何度か視聴し数十年振りにDVDで観ました。
思ったより退屈でした。この監督さんの作品も当時はレンタルビデオでボーイ・ミーツ・ガールから最新作まで借りて観てたけど、記憶に残ってるのは汚れた血でバイクで2ケツしてるジュリー・デルピーが格好良く、透き通る白い肌と美少女な容姿に10代の自分には天使かなにかに思え、一瞬で目がハートになりそこだけ今も憶えてるって感じです。
ジュリエット・ビノシュさんは美人さんなんだけど、わき毛びっしりでそれ見せられたらもう内容なんかすっ飛んでそれしか記憶にない状態になってしまいます。
高校生当時ファッション雑誌のスタジオで女編集長と映画の話になり、彼女的には大好きな映画!らしいでしたが男の自分には良さが分かりませんでした。
ファッショナブルな女性の感性には響くみたいです。
途中の絵はルーブル美術館のレンブラント。何故フランスの画家ではないのだろう?
憧れのパリ、のホームレス
パリは永遠に好きだし
ホームレスは一度でいいからやってみたい
ラッパ飲みで酔っ払って花火の火花を浴びたい
大掛かりな撮影だな〜と思いながら見ていたけど、まさかの地方でのセット撮影だった…あの向こうの橋の夜景もセットなんだよ
(DVD特典映像で知った)
なんにしてもこの世に映画として完成して残って本当に良かった
細かいことでは
「片方の目で絵を見つめるとカタツムリのように目が飛び出るの…」と元夜警のおじさんにこぼしていたが
眼帯をめくると一匹の生の鯛がどーんと出てきたところ、あそこが一番驚いた!
次がドアの覗き穴に撃ち込んだ時と地下通路のポスター全部が燃え上がったところ
ドニラヴァンの身体能力は今も健在だけど
ジュリエットビノシュも前回はパラシュート、今回は水上スキーと
嫌と言わずにやってのける
ル・アーブル行きの船の先端でタイタニックですよ
最後の雪降るクリスマスのポンヌフは美しい
景色もさることながら、ふたりとも別人のように清潔になって再会
あ〜これもセットだったのか〜塩だったのか〜
レオス・カラックスのこだわりには過去作品を持ってしても脱帽、あたしの生涯の宝物となった『ホーリーモーターズ』これが出来上がっていく過程を見たようだ
危ういハッピーエンド
このラストシーンで良かった
何だかわからない
何だかわからないのに、感動している
心が震えている
自分にもあった、きっと誰にもあったはずの忘れていた青春の熱情
それを思い出させてくれました
パリの深夜、早朝のシーンがほとんど
冒頭の深夜のタクシー
首都高にも似たパリの高速のトンネル、無線の音
人影の殆どない大通り
建ち並んだビルの窓はどれも暗い
ポンヌフ橋は日本語にすると新橋
でもパリで一番古い橋
パリの都心も都心、ノートルダム寺院のあるシテ島の西端に架かる橋
日本でいうなら東京日本橋か、大阪の中之島に架かる淀屋橋
真っ暗な北側の向こう岸の夜空に、夜どうし光るサマリテーヌ百貨店の屋上看板
時たま夜間清掃でワックス掛けしてるのか、売り場の模様替えなのか深夜なのに窓が煌々と明るい
音のない世界
孤独の世界
二人だけの世界
東京の深夜とそっくり同じ
そんな青春の夜、そして誰もいない早朝
何もかも美しく懐かしい
ラストシーンは見果てぬ夢
そうで在りたかった夢
美しい夢
このラストシーンで良かったと思います
愛はひとを裸にする
ジュリエット・ビノシュ
かなりムチャなことをやってる二人。銃を乱射したり、警備員を突き落としたり、ボートに乗って水上スキー。パリ革命200年祭の花火が綺麗だったけど、結局二人の心は闇の中。「空は白」「雲は黒」という合言葉で二人の愛は始まるのだが、睡眠薬強盗と遊ぶことしか考えられなかった。失明しかかったミシェル、元恋人ジュリアンを射殺。忌まわしい事実に悩む心理描写や目が見えなくなる苦悩の表現が欲しかった。どちらかというと、アレックスの心だけが伝わってきて、ミシェルの心は抽象画のように観る人によって異なりそうだ。
地下通路でのアクロバット。尋ね人のポスターを燃やすアレックスも印象的だが、ミシェルがドア越しに銃を放つところと、アレックスが銃で指を撃つところが不気味に残ってしまう。そして船の舳先で飛ぶポーズ!・・・『タイタニック』以前に作られてるんだよなぁと確認。
なんと言っても、ジュリエット・ビノシュの腋毛が素敵だった!
これは自分の姿
若い頃の、嫁と付き合っていた頃の話をしたら同僚に「気持ち悪い」と吐き捨てるように言われた。
いいね~と言ってくれるかと思ったんだがね(笑)
誰だって、恋愛にのめり込んでいる姿というものは、外野から見れば醜悪そのもののようだ。
恋はもーもくというではないか。
恋人たちには橋と舟と河口しか見えていない。住まいも親の存在もお金もそこにはいらないし、明日という日も彼らにはどうでも良かった。
でも「好きになる」って、そういうことだよね。懐かしい感覚を思い出した映画でした。
後年、ポンヌフ行って来ました。
二人の姿はそこにあろうはずもなく、悲しく水は流れ、そして僕にとっても独りに戻ったことを振り返る、そんなポンヌフでした。
青春の映画
濃厚なわりには印象に残らない
「存在の耐えられない軽さ」でジュリエット・ビノシュが(というかこの映画の主役三人全員)とても印象に残り、追いかけるように本作を観ました。この女優さん、恐らく天才肌の人で感性で演技する人だと思います。
さて、本作はパリを舞台に繰り広げられる痛々しいラブストーリーです。失明寸前の家出した女に恋するかなり常識から外れた大道芸人の物語で、設定は少女に恋するフランケンシュタインっぽい。これでもかといわんばかりにパリを圧倒的なスケールで描き、個人的には物語よりも映像に印象が残っている。アバンギャルドっていうのかな?こういう油絵を洗練させたような映像は。監督さんは気鋭なお方だと思いました。でも、それで物語はかなり犠牲になったと思います。
コンビニで売っているでか文字の栄養飲料を飲んだような気分。
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