「空は白い だが雲は黒い」ポンヌフの恋人 ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
空は白い だが雲は黒い
10代の時に鑑賞して以来、大好きになった作品でリバイバル上映の度に劇場に足を運んでいます。
生まれながらに様々なハンデキャップを抱えている路上生活者アレックス。ミシェルとは、育った環境も住む世界も明らかに違う様に見える。だから、ふたりは本来であれば出会うことも恋に落ちることもなかったはず。
たけど、ミシェルに失明の危機が訪れたからこそ、ふたりはお互いの持つ喪失感を感じ取って、路上で惹かれあった。ふたりは、お互いの喪失を埋めるようにポンヌフ橋の上で寄り添った。
“20世紀最高の恋愛映画”
恋は、切ない。
恋は、寂しい。
恋は、儚い。
なぜなら、恋は喜びと同時に喪失を伴うから。
自分の身体を失うような痛みを伴うから。
中年になってから若い頃の恋愛を振り返ると、美味しいレストランもオシャレな洋服も高級なホテルも必要なかったのかもしれない。
花火の中で踊り狂って、海辺を疾走して、雪の中で大笑いして、川に飛び込んで、船の先端で両手を広げて叫んだりして。ふたりの身体と感性が全てなんだ。
レオスの青臭い熱情が、懐かしくもあり、とても嬉しくて、幕が下りてもずっと席を立ちたくなかった。
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