ゲンスブールと女たちのレビュー・感想・評価
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オリーブ少女、必見。
元オリーブ少女としては、ゲンスブール×バーキンは憧れ。
そんな私はすっかりフレンチかぶれになり、フランス語を学び、
大学の図書館で『Je t'aime moi no plus』のビデオを見たり
(こんな衝撃内容の映画が学校のビデオライブラリにあるって,すごい!)
リバイバル上映で『スローガン』や『ANNA』を見たり、
フランスにホームステイしたり、ジタン吸ったり・・・。
最近は、大人になったので、ジェーン・バーキンをオーチャード・ホールに聞きに行ったり・・・。
と、ゲンスブール関係の影響を受けて育ってきた私には、すごくよかった!
・オープニングのアニメに心つかまれる。 ヨーロッパ人の描く絵のタッチなかんじ。
・ゲンスブール少年、かわいすぎ!
タートルネック+ハイソックス+半ズボン+ピーコート。
ユダヤの化け物(丸っこくて、短い手が左右2本ずつ?)と手をつないで歩くのがかわいい。
・あの黄色い六芒星を「ダビデの星」と呼ぶと知る。
・眠れないときに羊のかわりに、パンダ(と竹)を数えるのがかわいい。
・ゲンスブールは、最初は少し違和感あったけど、どんどんゲンスブールに見えてきた。
たまに繊細さをあらわすときの挙動不審っぽい顔が、はんにゃ金田に似ていた。
・フランス・ギャルが途中からきれたかんじで『BABY POP』がかわいい!
・ブリジット・バルドーはセクシーな人というイメージしかないので、すごくはまっていたと思う。
シーツを巻いて踊るところ、ゲンスブールの実家で泣く所がかわいい。
「君はニーハイブーツがとっても似合う」と言われたいものだ。
・ジェーン・バーキンは、どうしても本人を詳しく知ってしまってるから、似ていないという声も多いけど、
けっこうしっくりきていたと思う。
ゲンスブールに「あなたは美しい!」と言ったり、
寝ているゲンスブール&犬のナナをカメラでこそっと撮ったり、
タンクトップと白パンツから伸びる長い足とか・・・。
・そしてすごく雰囲気たっぷりだったのは、シャルロット役の女の子。
少ない出演時間ながら、シャルロットさが出てたかんじ。
・少年ゲンスブールにキャベツがかぶせられ、キャベツをはぐと大人ゲンスブール・・・。
なんだか、せつなかった。
・ゲンスブールのジャズアルバムの『おかしなタイプライター elaeudania teiteia』も好きな曲で嬉しい。
今の若者たちはゲンスブールを知っているのかな?
ゲンスブールを見て、かっこいいと思うかな?
これから再びゲンスブールの音楽にはまる日々が続きそうです。
天才は大変だ。
でも、ゲンスブールは、やっぱりかっこよいし、すごくいい音楽。
・ジャマイカで着ているTシャツがjaneなのは、未練タラタラだったからなのかな。
強烈なまでに振り抜く己の才能への自信とコンプレックスとが織りなす天才がゆえの振り子の美学
ガキの頃からヌードモデルの御姉様を堂々と口説きオトすマセた性分がゆえ、エロスがふんだんに盛り込まれているものの、エグいイヤらしさは無く、あくまでも芸術の1ジャンルとして、ポップに描き通す世界観は、『エマニエル夫人』から脈々と受け継がれているフランス映画の大きな特色だ。
裸体をシーツ一枚で包み、悩ましく舞うバルドー相手に、ピアノでデュエットする場面は、今作の儚さを美しく象徴している。
ユダヤの血を持ち、差別に打ち勝とうとした反骨精神、そして、絵に音楽にと偉大な才能を開花させた自信満々の反面、その器用さが足かせと感じてしまう。
一つの分野を突き詰められない己の不甲斐なさに自己嫌悪に陥り、忘れ去ろうと酒や女に溺れ、堕落していく破滅的な生き様を、醜いもう一人の自分を対峙させて、ユーモラスとシビアが共存した自問自答を続けるスタイルは漫画家出身の監督ならではのセンスが光っていた。
強烈な自信とコンプレックス、愛への願望と逃避、現実と幻想etc.etc.両極端な感性が天才の胸中を交錯する度に、甘くもあり、苦くもある後味が効いた不思議な躍動感がスクリーンへと溢れゆく。
長年の不摂生が祟り、心筋梗塞で倒れたにも関わらず、死ぬまで酒・煙草・オンナを頑なに手放さなかった晩年は、常に一貫しており、逆に真面目な人生とも云えよう。
未だに醜い自分しか知らない私にはただただ羨ましい小一時間であった。
では最後に短歌を一首
『夢に酔ひ 夜霧に吹かす 愛の詩 気紛れに舞ふ 鏡を抱いて』
by全竜
フレンチシック
ステキ、フランス映画。
セルジュ・ゲンスブールについてはシャルロット・ゲンスブールのお父さんとしか知りませんでした。
この映画で彼にとっても興味湧きました。
色々知りたくなりました。
皆に愛される所以がわかりました。
彼の人生を2時間で描いていますが、表面的にではなく、駆け足になりすぎず、彼の子ども時代からわりと内面深く・濃く描かれています。
冒頭、子ども時代のコンプレックスの元や、後の後々女性を惹きつける魅力の片鱗が描かれ、絵の女性モデルとのシーンなんてとってもチャーミングでした。
母性本能くすぐられる空想の存在がよりそって絡むのもとってもユニーク。
この存在、被り物してる人が演じてるのですが、場面ごとにすごくいい味出してます。
かなりツボ。
バルドーやバーキンがなぜ彼に惹かれたのかのきっかけエピソードがちょっと弱いというかわかりにくいかも。
映画だけだと。
私はゲンスブールを知らないので特に。
でも、知ってる人には余計な事で充分なのかもですが。
ただ、映画前編通して、彼の魅力は伝わります。
女性はああいう男性好きかもです。
実際に付き合うとかなりパワーいりそうで大変かもですが。
全体的に好き系フランス映画。
バルドー役に豹柄のコートを着せているのがかな~りシニカルですね。
おっぱい度は80点で結構高得点。
ヨーロッパ系の映画のおっぱい度は高いです。
アタシ好み。
特に子ども時代の彼がモデルを口説く時のおっぱいエピソード。
生々しさにひかれます。
アメリカ系と違ってしっとり感があってステキ。
おっぱいを見たい男の子の心情と相まってチャーミングなのです。
そして、B.B役の子の斜め後ろや寝そべっててちろっと下半分がみえるチャーミングなおっぱい。
ぽろんと見えてたり絵に描いてるおっぱいもステキなのです。
B.B役の女の子が超似てて美人さんでした。
フレンチポップとかシャンソンが聴きたくなりました。
そういえば、震災後にジェーン・バーキンさん来日してくれてましたね。
先日確か3chのフランス語講座でちょっぴしその模様放送してました。
素敵に年をとられて、日本に対してとっても愛着持ってくれてて、何だか嬉しくなりました。
ルーシーゴードンの自死を悼む
映画 「ゲインズブール」を観た。1960年代にシンガーソングライターとして、俳優として一世を風靡した フランス人セルジュ ゲインズブールの一生を描いた作品。
生涯 反逆児であり続け、酒と女に溺れるデカダン生活を送り、有名女性を次々とよろめかせ、死ぬまで世の流れに抵抗し続けた男。外見的に観れば こんなワシ鼻の醜い小男が どうして世界中にゲインズブール熱を撒き散らし 人々を夢中にさせたのか わからない。時代が より激しい捨て身の反逆者を必要としていた としか 解釈できない。
ストーリは
ゲインズブールは1940年代 ナチ占領下のパリで幼年期を過ごす。古典音楽のピアニストだった父親から、厳しくピアノを教育される。しかし、体罰が当たり前の厳しい教育や 学校生活や、差し迫るドイツ軍からの迫害など 彼は意に介さない。時代状況など全くかけ離れたところに、彼は自由な自分だけの世界を持っていた。達者な筆使いで女達の裸体画や、セックス描写を描き自分でストーリーを作って楽しんでいた。女以外に関心が向かない、早熟な少年は 夜の女達から人気があった。
やがて、大人になってキャベレーでピアニスト兼 歌手として働き始める。自由自在に作曲して それに詩をのせて自分で歌う。自由で奔放な即興曲に、次々とファンが増えていく。
地下鉄の切符切りを歌った「リラの門の切符切り」でデビュー、フランス ギャルの「夢見るシャンソン人形」で、ユーロビジョンコンテストで優勝し、いちはやく世界に名が売れて、時の人になる。妻帯者でありながら、ジュリアット グレコなど有名な女性と 次々に浮名を流す。
60年代のセックスシンボル ブリジット バルドーと恋愛関係に陥り バルドーのために沢山の曲を作る。超有名な「ジュテム モア ノンブリュ」も、そのうちの一つだが、当時バルドーは ドイツ人のビジネスマン ギュンター ザックスと結婚していたため この曲が発表されなかった。 後に ゲインズブールが40歳で、20歳のイギリス人 ジェーン パーキンと結婚したとき、二人でこの曲が デュエットで歌ってレコード化され、発表された。ベッドのなかで、あえぎながら 男女が歌っているとしか思えない曲も、いまなら皆 普通に聞いているが、当時は レコード会社も歌手も 逮捕覚悟で吹き込んだのだった。
ジェーン バーキンとの間に シャルロット ゲインズブールを始め3人の子供に恵まれるが その後ゲインズブールは 心臓発作を繰り返しても 深酒とチェーンスモーキングを 止めようとはしなかった。
レイゲに凝って、ジャマイカでフランス国歌「ラ マユセーズ」をレイゲ調に編曲して発表するが、これが愛国者の反感をかい、つるし上げられ、右翼に何度も襲撃され 自暴自堕落になっていく。「ラ マユセーズ」の著作権を自ら破産するために、買ったりもした。19歳の中国人モデルと結婚して男の子の父親になったりする。
死ぬまで酒と女を愛し、社会からも、家庭からも自由で、自堕落な男だった。残した曲が数え知れない。
というお話。
彼の作った曲の歌詞は そのまま歌えば何と言うことはないが、二重の意味を持っていて、そのほとんどが猥歌とも言える。ダブルミーニングのおかしさを それを作った本人が一番おもしろがっていた。何も知らずに 歌って有名になった 当時18歳のフランス ギャルなど、あとで自分が歌っていたことばの別の意味を知らされて、うつ状態に陥った事実もある。
この映画のなかで 一番輝いているのはバルドーだ。バルドーが初めて ゲインズブールのアパートに押しかけて、一晩過ごした時に、私のために曲を作って と言われてゲインズブールは眠らず 夜の間に3曲の曲を作った。夜明けに、その曲に合わせてバルドーが 裸ではしゃいで踊るシーンが、どこから観ても本物のバルドーのようで、とても魅惑的だ。役者のラエテイータ カスタは、38歳のファッションモデルだそうだが、バルドーを演じるに当たって 現在76歳のバルドーに会って、彼女の承諾を得たという。この女優、バルドーのそっくりさんで成功したので、これから人気が出るだろう。ヨーロッパの映画ニュースで、今一番セクシーな女優 という名誉な名前がついていた。
ゲインズブールとジェーン バーキンのカップルは 70年代の超過激な曲を逮捕覚悟で発表したり、国歌を猥歌にしたり、トレードマークのミニスカートで街を闊歩し、前衛的な存在だった。二人で出演した映画の数々は 過激なセックスシーンばかりだ。それを やせっぽちで中性的なジェーン バーキンがやると 全くいやらしくない。膝上20センチのスカートも、背の低い人がやると小学生になってしまうし、体育系体系に人がやると ただのピンポン選手になってしまう。 バーキンのミニスカート姿の小粋な美しさは他の誰にも真似ができない。
映画でゲインズブールも グレコもバルドーも本物そっくりで真実味があり、とてもよかったので、肝心のジェーン バーキン役の女優が 全く似てなくて、いま60歳代の本人のほうがいまだに魅力的なのは、とても残念。この、ルーシー ゴードンと言う人、いくつかの映画のチョィ役に出ていて、「スパイダーマン3」では、ニュースキャスター役で出ていた。ゲインズブールのジェーン役が この人にとって初めての主役級の役だったのに、ジェーンとは雰囲気も顔もスタイルも似ても似つかない。彼女が悪いのではなくて、適役ではなかった ことが残念だ。
この役者ルーシー ゴードンは、28歳、イギリス人。この映画を撮り終わった後、映画のリリースを待たずに、パリのアパートで首を吊って自殺した。
もしも、女優として大成できない と悟って逝ってしまったのだったら、とても哀しいことだ。
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