「無声映画の到達点」イリュージョニスト キューブさんの映画レビュー(感想・評価)
無声映画の到達点
文句なしに素晴らしい映画だ。基本的に登場人物が台詞を話すことはあまりなく、チャップリンなどに代表される無声映画のようである。主演のマジシャン、アリスはもちろん脇役にまで丁寧にスポットライトを当てていて、かつアリスに夢を与え続けようとするマジシャンの苦しい現実の対比が鮮明に描き出される。表舞台では喜劇的なキャラクター達の末路は哀愁に満ちあふれていて、胸が苦しくなるほどだ。'50年代のスコットランドの風景も正確に描き出していてアニメーションなのに景色がものすごく美しい。
80分と短い映画だが、そこには喜劇と悲劇がこれでもかと詰まっている。無声映画の良さを改めて思い知らされた。
(11年4月17日)
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