「昔のチャップリンの無声映画のような趣もある。」イリュージョニスト aotokageさんの映画レビュー(感想・評価)
昔のチャップリンの無声映画のような趣もある。
日本ではチャップリンほど有名ではありませんが、フランスの喜劇役者であり映画監督のジャック・タチ氏が映画化を企画していたものの日の目を見なかった脚本をタチの娘から託されたフランスのアニメーション作家シルヴァン・ショメ氏がアニメ作品として映画化したのが今作品です。
主人公の老手品師自体が喜劇役者のタチ氏をモデルにしているとか、タチ氏に心酔するショメ監督につくられた今作には、タチ氏の映画へのオマージュが散りばめられているそうです。
脚本ではチェコのプラハだった舞台をショメ監督の思い入れのあるスコットランドのエジンバラに置き換えて、実際の風景や建物などを水彩画タッチの美しい背景として描いています。
1950年代、パリの劇場で仕事をしていたフランスの初老の手品師は、ロックグループなどの人気に押され働き場を失い、イギリスの片田舎に流れ着く。
バーで酔い客相手に手品を見せる彼は、そこで働く貧しい少女に慕われて、娘のように面倒を見る。少女にとって彼は、なんでも手に入る魔法使いのようにみえたが…。
日本のアニメとはちがいロングショットで見せて、画面の隅では、関係ない人たちの動きまで描かれる。
フランス語と英語、言葉が通じない設定なので会話が少なく、人物の動きだけで表現されてて、昔のチャップリンの無声映画のような趣もある。
ロングショットのため人物の背景では、パリやロンドン、スコットランドの片田舎などの風景が水彩画タッチで描かれていて、いい味出している。影や光のあたり具合など細かい描写もされていた。
手品のタネになってた大きなウサギも名脇役としてストーリーにうまく絡んでいた。
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