劇場公開日 2015年3月14日

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「【”自然災害は予知できないが、遺された人々は新たな人生を刻む。”直下型大地震により、引き裂かれた家族の再生していく過程を32年に亘り描いた作品。現代日本で生きる私達には必見の作品である。】」唐山大地震 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0【”自然災害は予知できないが、遺された人々は新たな人生を刻む。”直下型大地震により、引き裂かれた家族の再生していく過程を32年に亘り描いた作品。現代日本で生きる私達には必見の作品である。】

2022年12月6日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

怖い

幸せ

ー 私の手元には今作のフライヤーがある。
  そのフライヤーには、2011年3月26日公開とある。
  だが、忌まわしき2011.3.11の東北大震災により、上映は当然乍ら見送られ、日本での公開は2015年になった。
  だが、私は東北に縁があるので見る気になれず、本日初めて鑑賞した。-

■976年7月28日、中国河北省唐山市で大地震が発生。
 一瞬にして街は壊滅し、幼い姉弟が瓦礫の下敷きになってしまう。
 助けられるのはひとりだけ。母親であるユェフニーはやむなく息子ダンの救助を選択する。
 その後、奇跡的に一命を取り留めた娘、ドンは、紅軍だった養父母の下で育てられることになる…。

◆感想<Caution!  内容に触れています。>

・まずは、私が年代的に知らなかった唐山大地震の、被害の規模を想定させる激甚シーンの凄さに驚く。
ー 元々、中国奥部の建物は鉄骨を入るという概念が無かった。北京オリンピックの準備時期に仕事で中国の上海を訪れたが、鉄骨の細さには懸念の念を抱いた。
  弊社の社員が居住するマンションはIS値を調べた上で、選定しているが・・。-

・更に言えば、煉瓦で作った建物が崩壊するシーンの映し方。そして、生き埋めになった、息子ダーと、娘ドンのどちらを助け出すかを選択する、母、ユェンニーの悲痛な決断。

■本作の意義
 ・今作のメインテーマである唐山大地震が起きたのは、文化大革命の末期である。
 私が学生時代に、周囲から”止めとけ!”と言われながらも中国をフリーで訪れた頃である。
 彼の国は混乱していた。
 車中、人民と拙い中国語で話をすると、多くの人から”マオ・ツートン、プーヤオ”と言われた事を思い出す・・。
 だが、今作では、当時の中国としては隠しておきたいことを、毛沢東の葬儀のシーンを巧みに描くことで、検閲を免れている。
 何より、今作の価値を高めているのは、大震災後、引き裂かれた家族(特に亡くなっていたと思われていたドンが、子供なき中国の赤軍の夫婦に大切に育てられた事が、描かれている事であろう。)
 が、震災後30年を越えて再会する姿である。涙が出る。
 人の善性が、今作では確かな形で描かれているのである。

<天災は、何時起こるか分からない。
 私は、今作を一つのきっかけとして、それを体験した。
 天災に抗う事は出来ない。
 だが、今作を鑑賞すると、時間はかかるが、人はその哀しみを乗り越える事が出るはずだ、と思わせてくれた作品である。
 (今作は、大地震後34年後に中国で公開でされ、フライヤーによると、2000万人を動員したそうである。)
 現代、日本で生きる私たちにとっては必見の作品であると思います。>

NOBU