「少年と少女」星を追う子ども あかづきんさんの映画レビュー(感想・評価)
少年と少女
やってくれました。
大人になれない少年と大人になった少女を少年の世界から静的に、内面性が重視されて作られたのが秒速5センチメートルならば、少女の世界から動的に、外面性を重視されたのが星を追う子どもです。題名も、星のような手の届かないものを求めてしまうのは子どもなのだということを示しています。作品の中で男と女の対比、そして作品通しでの男と女の対比。涙が出るほど素晴らしい、これから見る方は秒速5センチメートルを見て沸々と沸き上がる少女への気持ちを胸に抱いてからこの作品を観ることをお勧めします。
幻想(=ファンタジー)の世界にこの世にはないものを求めて旅立ち、喪失を受け入れて現実の世界へと戻っていった少女と、喪失を受け入れられず幻想の世界に留まった男性。さよならをいうための旅、まさにいい得て妙ですね。
一見ただのちゃちなファンタジーに見えてしまうかもしれませんが違うのです。男という内面に内面に入り込む世界を描いた秒速5センチメートルと対比して外の世界に触れて生きる女の世界を描いたのがこの星を追う子どもなのです。
個人的には非常に満足でしたが、今まで静的な世界ばかりを描いてきた新海誠監督が初めて動的な世界を描いてしまったために起きてしまったジブリっぽさ、そしてどこか新海誠監督らしくないように感じてしまう背景描写を考慮して評価は4.5にしたいと思います。
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