127時間のレビュー・感想・評価
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なぜに。
これ未だに日本公開されてなかったのか…こっちではもうブルーレイですら安売りされてるのに…完全に公開するタイミング失ったな(笑)
さて、映画自体は実話もとなだけに特に斬新さはなし。主人公が岩に挟まれてしまうとこのなんとも言えない間の演出はおもしろかったけど。その後はすごい間伸びする。主人公のやつれていく様やトチ狂ってく様を淡々と見せられる。まぁ…好きな人は好きな演出だと思う。それでついに腕切るシーン…これはほんと痛々しかった。ホラーとかスプラッターいける方だがそれでも少し休憩してしまった(笑)
エンディングの手失った後もいろんなアウトドアスポーツ楽しんでる映像は暗かった映画のに明るい気持ちにしてくれてよかった。よくある凹ませ逃げ映画に陥ってなかった。
壮大な前振り
深い谷の底で岩に手を挟まれた男が、そこから脱出するまでの127時間を描いた作品。
その間にこれまでの人生を振り返るのだが、基本的にジェームズ・フランコの一人芝居を延々と観ているかのようであった。
美しい渓谷のシーンに加え、拡大・接写・分割などを使った技法で映像を刺激的に見せているが、(当たり前だが)基本的に挟まったままの展開なので途中ややダレる。
ただ、最後の決断のシーンは壮絶で目を背けたくなる。
結論的には、このシーンのためだけに、壮大な前振りを見ているかのようだった。
もっとも、ネタバレで観てしまったので、これは知らないままの方がよりインパクトがあって良かったはず。
ジェームズ・フランコは、スパイダーマンのときは子供っぽかったのに、随分と成長した印象。
アーロンの勇気に敬意を表して目をつぶらずに
映画「スラムドッグ ミリオネア」の、ダニー ボイル監督の新作「127HOURS」を観た。
現在 山岳登山家として活躍しているアーロン ラルストン原作の「BETWEEN A ROCK AND HARD PLACE」を映画化したもの。この本は 全米で40万部余り売れてベストセラーとなった。日本では「奇跡の5日間」という邦題で、小学館から出版されている。
この映画の主役を演じた ジェームス フランコが アカデミー男優主演賞にノミネイとされている。今年 彼はアカデミー賞の司会者でもある。
映画はユタ州の ブルージョン渓谷で 単独登山中に、クレバスに落ちて 落石に右腕を挟まれて動けなくなり、自ら腕を切り落として 脱出し、生還してきたアーロンに 実際に起きたことを 映画化したもの。
この出来事は 2003年当時、新聞のニュースで知っていた。新聞記事だけでは 仔細がわからないので、高い岩壁をザイルで下降中に 宙釣りになったままの姿で片腕を取られて 切り取らざるを得なかったのかと思っていた。事実は、クレバスに落ちた時、肘から先を岩に挟まれて 手首や指の血液循環が完全に止まってしまった状態で5日間、127時間 様々な脱出方法を試みた上で、片腕を 先が丸くなった小さなナイフで切り取って生還した。
映画を見ながら この岩が 氷だったとしたら、こんなふうにして植村直己さんは 深いクレバスにとらわれてしまったのだろうか、と思った。彼は今もなお 氷に囲まれて 果たすべき目的地に到達する夢を見続けている。
ストーリーは
27歳のアーロンは 週末 愛車にマウンテンバイクをくくりつけて ユタ州のブルージョン国立公園に向かう。広大なロックマウンテン、見渡す限り 赤茶色の岩と渓谷が続く。幼い時から 幾度も父親に連れられて触れてきた自然の大地だ。新しいルートを探索する一日ハイキング旅行だ。
途中で道に迷っている二人の女性に出会う。彼女達は滝つぼを探していた。アーロンは彼女達をガイドして 滝まで連れて行ってやり、一緒に豪快な水遊びをする。充分楽しんだ後、アーロンは 彼女達と別れて ひとり歩き続ける。事故は 突然起きる。うっかりクレバスに落ちて、落石に片手を挟まれてうごけなくなってしまう。助けを呼んでも声の届く限りに人はいない。彼は 行き先を誰にも言っていない。待っていて 助けが来る可能性はない。
僅かな岩と岩の裂け目から地底深くに落ちて、岩に手を挟まれて動けない状態で、127時間の自分との闘いが始まる。土曜日の午後3時だ。身に着けているものは小さなザックにロープ、カラビナ、水、小さなナイフ、カメラ、懐中電灯に時計。携帯電話はない。あっても何百キロもある広大な渓谷に電波が届くはずもない。
とりあえず挿まれている岩を削るためにナイフで岩と格闘して夜が過ぎていく。ストームに襲われて、激しい雨が流れ込み 溺れて沈みかける。水筒の水がなくなる。絶望が襲い幻覚が始まる。父と母に、お別れの言葉を記録する。一日のうちに 同じ時間に空を鷹が舞う。正午に短い間だが陽が当たる。水への渇望。尿を飲む。繰り返し、繰り返し幻覚 幻視が起きる。そして遂に もう摩滅して先が丸くなった小さなナイフで片腕の切断を決意する。
という本当にあったお話。
映画化が決まった時、アーロン本人が ロスアンデルスのホテルにやって来て、ジェームス フランコに 当時のカメラを 見せてくれたそうだ。127時間の彼の絶望や焦燥が凝縮された記録が 余りにも 生々しいので このカメラは 最も親しい家族にもあまり 見せなかったものだったが、映画で自分を演じる役者には、誰よりもその時の自分の赤裸々な姿を見て 体感してもらいたい と思ってのことだったそうだ。
アーロンは 小型カメラを自分に向けて ショートビデオで行く先々の記録をたんねんにカメラに収めていた。金曜の夜の出発、渓谷に着いてからの景色、ハイクで出会った二人の女性たちとの水遊びの様子、クレバスに落ちてからの一刻一刻の変化、絶望と両親への別れ、岩から脱出した後のシーンも克明にカメラに記録をしていた。
本人が あまり人に 見せなかったフイルムを 役者のジェームス フランコが見て、完全に本人になりきって演じた。
腕を切り取るシーンでは 本物そっくりに作られた腕を文字通り痛みを持って切断したそうだ。映画館では、失神する人も出たようだが ジェームス フランコは アーロンの勇気に敬意を表して 目をつぶらずに見て欲しいと、言っている。
ジェームス フランコは32歳。多才な人だ。
母はロシア出身の詩人。そのまた母(祖母)は美術館のオーナーだそうだ。ジェームス デイーンに似ているので、映画「デイーン」役を好演して、2002年ゴールデングローブ賞をもらった。
「スパイダーマン」のナンバー2とナンバー3で、親友ハリーの役をやった。ハリーは ナンバー3で 死んでしまったが それが悲しくて もうスパイダーマンの続編は出ても もう見ない と決意したくらい スパイダーマンよりもずっと素敵だった。
ショーン ペン主役の 映画「ミルク」ではゲイの役で、とても良かった。
「食べて祈って恋をして」では、ジュリア ロバーツの恋人役を好演していた。
ジェームス フランコはカルフォルニア大学ロスアンデルス校で 英文学を学び、コロンビア大学院と、イエール大学の学位をもっている。短編小説集「PALA ALTO」を書いて出版している。また長いこと絵を描いていて 全米の美術館で自分が描いた絵の展覧会を開催したそうだ。おまけに、パイロットの資格まで持っている。文字通り マルチタレントなインテリで芸術家なのだ。
まだ32歳、これから もっともっと 活躍して欲しい役者だ。
この映画、アメリカ大陸 ユタ州の広大な自然が美しい。山頂から見る日の出。雄大な岩山と大地。カメラワークが素晴らしい。
子供の時から 父親に連れられて山々や、渓谷に親しんできた青年の感性の柔らかさに、触れることが出来る。家族思いで 知的な仕事に就いて 週末には一人で山にやってくる ごくふつうの好青年が危機に陥っても 自分を失わうことがない。単独行の冒険者の勇気が語られている。
とても良い映画だ。
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