127時間のレビュー・感想・評価
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やっぱりラストがいい
近くの劇場で上映していなかったので、Blu-ray鑑賞にしようか迷いましたが、大好きなダニーボイルの作品なので、足をのばして観てきました。
レビューの前に…鑑賞した劇場が77席の小劇場でスクリーンも小さめ、この監督の作品ってほとんどが単館系の規模での公開ですが、映像や音楽のスケールで考えると、大きなスクリーンで公開して欲しいです(シネコンでも公開2日目で客席ガラガラの作品もあるわけですし…)
で作品の感想ですが、予想を裏切らないダニー節炸裂の良作品。話がわかっていても楽しませてくれる力量は健在です。
毎度の事ですが、この監督の作品はエンディング間際まで、登場人物に試練を与え、最後の最後に爽快感を与えてくれる。センスの良い音楽と映像表現。今回も抜かりなしといったところ。神経を切るとこの音なんかも、同伴した看護師の友人が感心するほどです。
ただ、何せ登場人物はほとんど一人。編集や展開で工夫はしているものの突き抜けた面白さのある作品までは到達していないのも事実。それでも評価としては、星4つですが(ダニーボイル作品としては星3つ)次作品では、新境地もみせてもらいたいところです。
ちなみに親子で鑑賞していた方は事前知識が無かったようで、上映後、しきりに「星守る犬」にすれば良かったねと言っていたのが印象的でした。
過激な表現(ダニー作品としては普通)が苦手な方は避けた方が無難です。
限定された環境で展開する力強い物語
以下twitter(@skydog_gang)への投稿に加筆――
主人公が一つの場所に釘付けにされ動けない、という限定された環境で起こるドラマを、幻影・過去の記憶・ビデオカメラなどを使ってテンポよく描く手腕はあざやか。
色彩デザインも美しい。青→赤→青と行き来する色調がそのまま生と死の境になっているように感じた。
一方、感傷的な生命讃歌に走らない、一歩引いた、というか多少突き放した感さえある視点からの演出は好みの別れるところかも知れない。現実とフィクションが交わる不思議な浮遊感のあるラストも同様。この「覚めたしぐさで熱く見る」感覚はまさしくダニー・ボイル節。面白い。
「一匹狼のタフガイ」であることがカッコいいと思っていた主人公が、終盤、こちらに向かってくる家族に「I need help!!」と大声で叫ぶところが素晴らしかった。主人公はここでようやく、自らすすんで世界と繋がったんだよなぁ…。
生きる力、勇気が貰える、落ち込んだ時は是非これで、元気に!!
事実は小説より奇なり』とは昔から言われている事だが、もしもこの映画がフィクションであってくれたなら、どれ程よい事だろうか?と願わずにはいられない過酷で、悲しい現実に起きた真実の物語であった。されど現実とは、かくも想像も及びもしない運命の悪戯があるものらしい。もし神様がいるのなら、悪ふざけが過ぎると言ってやりたい事件だ。しかしその考えも及ばない悲劇を自力で克服してしまった凄い奴がいたのだと言うから驚きだ。誰も居ない砂漠のど真ん中で石に手を挟まれ身動き一つ出来なくなってしまった彼は、そのままそこで、誰にも発見される事無く一人ひっそりと最期を迎えてしまうのかと思えば、一度は諦めかけたものの、気を取り直し、決死の脱出を一人だけで、諦めずに見事に成し遂げ、生還を果たす迄の127時間を描いた本作品は、絶妙のカメラワークの素晴らしさに加え、音楽も巧みに使い、映画の70~80パーセントを占める岩場に挟まれた彼の姿だけを映しているだけのシーンの連続という、誠に珍しいシーン構成だが、それにも拘らず、決して一瞬たりとも観客の目を飽きさせる事無く、スクリーンにその目を釘付けにして離さないこの映画の力の秘訣とは、計算された、独自のテンポの有るカメラワークの展開と、映画の観客に主人公の苦悩と恐怖の緊張感をリアルタイムのライブニュースの映像を見ている様な緊張感を持ったままに、追体験させる事に見事に成功している。この演出力の高さとジェームス・フランコと言う俳優の演技力の素晴らしさとが相まって見事な成果を果たし、誰もがこの事故を我が身の様に追体験出来たと思う。
この作品は、生きる事の大切な意味と自分の力を決して自分からは諦めない事の素晴らしさを教えてくれる。日本には残念な事に、自ら自分自身の生命を絶ってしまう人が少なくない悩める社会に多くの人たちが生きているとも考えられるのだが、改めてこの映画を見ていると、厳しい現実の中でさえ、ほっと希望光が必ずいつも何処かに宿っている事に気付かされるのだ。それを求めて、諦めずに生きる努力を惜しまない事、まさにそれこそが、真実の迫力であり、重みだと言う事なのかも知れない。映画の中で、この主人公は、自分のこれまでの自分の人生の時間の総てが、今日この体験をする為にその過去の総てが起きていたように考えられると語るシーンが印象的であった。
是非、是非貴方も、この映画から生きる命の尊い事、諦めずに努力を惜しまず、自己の力を信じきる事の素晴らしい価値を感じて貰いたい。
岩がもたらす教訓。
前作「スラムドッグ~」で見事オスカーを手にした監督だったが、
そもそもこの監督と、オスカーがしっくりこなくて(スイマセン^^;)
作品自体もまったくピンとこなかった…D・ボイルじゃない感じが
どうも否めず、今年のオスカー候補になった本作をどう観ようか、
なんて要らぬ心配をしてしまった…が。良かった!今作はちゃんと
ボイルしている(茹でたんじゃなくて^^;)彼らしい仕上がりになった。
疾走する映像とポップな音楽、スライドショーのように主人公の行動
を見せた後、悲劇の渓谷へカメラは迫る。。あー!!と思った瞬間、
ここでタイトル。。巧い^^;つまりここから5日と7時間の死闘が始まる。
主人公アーロンの足取りは自由気ままだ。誰にも行き先を告げず、
ケータイも家に置き去り、軽装と軽い飲食物のみを持って出掛ける。
もちろん本人は、まさかそんな事故に遭うとは思っていない。
観るまでもっとちゃらんぽらんな若者だったのかと勘違いしていたが、
登山の知識は豊富で危機管理も(自分なりに)しっかり持ってはいた。
ただ、誰も行かないようなところへ行っちゃったのが…運のつき。。
岩に腕を挟まれて以降、彼のひとり日記が延々と続く。
初めこそ威勢のいい彼だったが(ビデオに終始録画するのが面白い)
脱出作戦が巧くいかず、段々と体力も落ち、幻想を見るようになる…
確かに彼は、喧騒から離れひとりになるため、ここへ来たのだろう。
偶然出会った登山女子二人に道案内し、水遊びをして別れる時にも、
明らかな痕跡は残していない。。でも思うに、これだけ自分の遊び場
と化した大自然で経験を積んでいたら、彼のように慢心に陥るのも
不思議ではない。まさか!の事故は、そんな時にこそ起こるのかも。
脱出を試み、水を飲み、尿を出し(それも溜める)、ビデオを撮り、
寒さに耐え眠り、幻想を見る、そしてまた脱出を…の繰り返しも
限界に近づき、彼はある決断を下すまでになるのだが、、観ている
こちら側も彼がこの先どうなるかが分かっているため(汗)次第に
拳に力が入ってくる…え、今やるの?え、何ほんとに?…とずっと
目を開けたり閉じたりの繰り返し…(+o+)かなり心臓には悪い痛み。
でも、そこから目を背けずに次の段階へと導く映像も素晴らしい。
監督のカメラは彼から一歩も退かずにしっかり彼を捉え、更に次の
世界へと彼を引っ張っていく。泥水を飲み、生の歓びを噛みしめた
彼が、見知らぬ登山一家に助けの声をあげるシーンには…泣けた!!
自身の気持ちを表にちゃんと顕わせなかった彼が、初めて他人に
救いを求めたんじゃないだろうか…?と思わせる感動的なこの場面。
生き辛い都会生活でも、それがあるからこんな大自然の素晴らしさも
味わえるんじゃないのかなぁ。当たり前の美しさなどどこにもないのだ。
人間関係がどんなに窮屈でも、自分を待っている人がいるというのは、
堪えられない充足感が得られるものだ。みんなに逢いたい。帰りたい。
何としても帰るぞ、ともがく青年の叫びがとても胸に残る作品になった。
こんな一人称の作品でこれだけの完成度、しかもサラリとしている。
どうしてこの作品で監督はオスカーをとらなかったんだろう^^;なんて
大きなお世話を言ってしまうけれど、死を前にして生への躍動感が
これでもかこれでもかと押し寄せてくる意欲作。フランコお疲れさま!!
(エンドのご本人に感嘆しつつ、今後はメモが必須だぞ!と確認しつつ)
自殺したくなったら観てほしい。
岩に挟まれた男性が127時間をかけて救出されるまでを描いた映画です。
実話を基にしているので、結果はわかっており、さらに、岩の隙間が舞台になるので密室劇ともいえるので、ともすれば飽きそうですが、巧みな演出によりエンターテインメント作品に仕上がっています。
主人公は絶望的な状況におかれても、とてもポジティブに問題を解決しようとします。
評者はこの主人公の状況を、社会生活に行き詰まった人(恥ずかしながら自分)と重ねてみることができました。
仕事関係、家族問題などなど、人間が生きていれば、出口が見えない袋小路に追い詰められることはないでしょうか?
そんな困っているときに、誰かが手をさしのべてくれることはありません。
どうやったら、目の前の問題を解決できるのか、逃げられるものなら逃げたいが、それもできない。
そんなとき、評者は自殺しようとよく考えます。自殺サイトを巡回したりして、“どうやったら楽に死ねるか?”という事に思いを巡らせ、気がつけば朝を迎えていることもしばしばです。
結局のところ、残された家族のこととかを考えると、思いとどまるんですが…
しかし、この映画の主人公は、どうやって生き延びるか前向きに考え続け、挑戦をを繰り返します。
サバイバル映画は多々ありますが、まったく身動きができない状況で、それも孤独な状態で、ここまで生き抜く挑戦を繰り返す主人公が出てくる作品を評者は知りません。
映画の主人公は後半思い切った判断で、自分の命を救います。
評者は自分が同様の立場だったら、この判断ができるか悩みます。たぶんできないと思うのですが…この映画の主人公は、「行く抜く=辛いこと」から目を背けず、淡々と状況を分析しながら解決策を探します。
この地球上で、こんなに苦しい思いをしながら生き抜こうとした人がいる事を知ると、月並みですが「自分も頑張ろう」という気落ちになりました。
なぜかと言えば、評者はトラブルに直面したとき、自殺など負の出口を探すのに一生懸命になります。自殺の方法を探すことで、現実逃避ができ、それが楽しくもありました。この映画を観て、そんな負の気持ちを、前向きな方向を持っていくことはできないか?いまはそんな気持ちになっています。
いきなり気持ちが上向くことはないでしょうが、生き抜く力のかけらをもらえるような気がしました。
残酷なシーンがありますが、評者のように日々絶望視しがちな人には、ぜひ観ていただきたい作品だと思います。
痛々しいほどに溢れた生命への執着心に観る者も歯を食いしばってしまう
実在する探検家アーロン・ラルストンの実体験を基にしており、ドキュメンタリータッチで静かに追うスタイルは、奇抜さを売りにするダニー・ボイルの色が出にくい。
故に、万策尽き果て、自分の生い立ちを振り返っては、ネチネチと未練がましく悔いるネガティブモードに突入すると、皮肉っぽい人間臭さを得意とするダニー・ボイル節がようやく本領を発揮する。
現実と妄想と後悔をディープにシェイクしていくドライな苦味は、ダニー・ボイルならではの配合と云えよう。
紛れもない力作だが、オススメするべきか躊躇してしまう。
それは、崖の底から脱出するべく決意した彼の最終手段が、痛々しいぐらい生命への執着心に溢れているからである。
スクリーンから目を背けても、自分の体が引き裂かれていく気がして、体中の痛点が駆け巡る。
あまりの苦痛に耐えられず、顔が歪み、嗚咽を漏らしてしまった。
しかし、あの凄まじい衝撃度こそ、今作の全てではなかろうか。
「人間は生き抜いてこそナンボである」
と、醜いほどにストレートに投げつけた豪速球は、言葉では表現できない説得力と破壊力を放つ。
感動の域を超えたショックが心臓を鷲掴みにされた気がして、未だに胸がざわめく6月の暑い夜であった。
では、最後に短歌を一首。
『崖独り 溺れし悪夢 憔悴(小水)に もがく蟻の手 光めざして』
by全竜
ついでに、もう一首。
『独り旅 山あり谷(渓)あり 崖っぷち 墜ちれば登れ 空を契り(千切り)テ』
by全竜
ウップス
スカイラインと天秤にかける事10秒、こちらの作品を鑑賞。
一言でいうと、すごく良かった!!
本編約90分とはいえ腕が挟まれてもがくだけなんて、退屈しそうと思っていたけど、始まってみるとあっという間の出来事でした。すいません。
冒頭の冒険シーンやタイトルのタイミングは鳥肌モノです!
あそこだけでも観た価値がありました。
痛いシーンには免疫がある方だけど、この作品の恐ろしく巧みな痛みの演出にはノックアウト寸前でした…あの音はセコい(笑)
でも、観終わった後に残る印象は痛みなんかじゃなく、不思議な程の爽快感と、アーロンへの敬意の念でした。
なかなかおすすめです。
ウップス!
あなたの思った通りの映画です
かなりの方が高評価です。あなたも気に入るかもしれません。
私は勘弁。
ラストの決断に至るプロセスもあってないようなもので、この場合選択肢はきわめて限られています。私は何もここからもらうものはありませんでした。生命の力、生命讃歌?
分からないでもありませんが、もし主演がトムクルーズならどうですか?ダウニージュニアなら?
かなり演じる人間を選びませんか?面白い面白くないと言うスタンスではなく、作品として成立しなくなるかもしれません。
ということは作品の力、描き方としてどこかにつじつま合わせがあるということです。ドキュメントであれば出演者を選ぶはずはありません。われわれには分かりにくいけれど、こうでなければリアリティーでないんだよなという制作側のつじつま合わせが強くある。そういうところが映像作品としての薄さに繋がっているのだと思います。
作品としての成立条件がものすごく狭い=感動しにくい。
低予算でここまで頑張る映画の一つ。
考えさせるより強引に感じさせる作品で、その表現手法は極めて乱暴。
もう一本、映画を見て帰りたかったのですが即帰りました。続行不可能。
ただ、映像より原作の文字での表現に接してみたくなりました。
大自然に抗ったちっぽけな人間の勝利宣言
痛いのはキライだ。ましてや痛い結末を知っているから、ぜったいに敬遠したい映画だ。それでも、たったひとりで、たったひとつの岩と闘うだけのストーリーをどう料理するのか観てみたい。痛さより映画ファンとしての好奇心が勝った。
マルチ画面による導入部、大都会の中でアーロン・ラルストンは出掛ける準備を進める。母親から電話が入るが無視だ。はやくもアーロンの性格が垣間見える。
蛇口の水がボトルの口から溢れ出る。この水が、後日、舌で舐め取るように1滴もなくなるのだ。水が、この噺の時系列を表す。この水の扱いが、映像といい音といい映画的なテクニックを駆使してみせる。
舞台となるユタ州ブルー・ジョン・キャニオン。何百万年、いや何千万年ものあいだ堆積と浸食が繰り返されてきた赤褐色の岩肌が広がる。いったいどうやってできたのか、異形の光景に目を見張る。日常の喧噪を忘れ、自然が織り成す創造物に接するアーロンは、水を得た魚のようにエネルギーに満ち溢れ輝いている。
だが造形美とは裏腹に危険が潜んでた。一瞬の判断ミスが事故を呼び起こす。
いよいよ127時間、5日と7時間の闘いが始まる。
画面にはアーロンと右手を挟んだ岩石しかない。
127時間は、彼が岩山の亀裂に閉じ込められた時間ではない。食料は愚か水も無い。彼の人生の残された時間がたった127時間なのだ。
この時間の中でいったい何ができるのか、右手を挟む岩石の上に持ち物を並べ使えるモノがないか冷静になったと思えば、幻覚を見て助けを叫んでみたり、これまでの人間関係を悔いてみたり・・・。だが、持ち前の明るさが彼を死の淵から呼び覚ます。
小回りが利くビスタサイズのカメラが追った、前半の奔放な自由人アーロンの生き方が伏線となって蘇る。
大自然の中のちっぽけな人間。ずっと彼は挑戦してきた。自分で切り落とした岩石に挟まれた右手をデジカメに収める行為は、大自然に抗ったちっぽけな人間の勝利宣言だ。
これがG指定って嘘でしょ
2010年アメリカ・イギリス合作映画。95分。2011年20本目の作品。「トレインスポッティング」や「スラムドッグ$ミリオネア」で知られるダニー・ボイル監督の差新作。この監督さん、大好きです。
内容は:
1,主人公の男にとってトレッキングは人生そのもの。
2,今日も彼はトレッキングにでかける。
3,そして、彼は谷間で落下。右手が落下してきた岩と岩壁に挟まれる。
一言で言うと、痛い!!!まさかあんな描写がくると思わなかったから、あれはまいった。
作品自体はボイル監督の前作「スラムドッグ$ミリオネア」でマスターした手法を駆使して、画面全体が光彩を放ち、生命観溢れる作品で、それはそれで素晴らしかったです。
こういった展開の作品はほかにもあるけど、本作はボイル監督の独特の映像感覚で撮られているし、毎度の音楽の選曲が抜群なのでテイストは違います。だから飽きることはまずないでしょう。
ラストもいつもどおりめっちゃ爽やか。あれだけ痛い思いをさせられても、観終わった後は後味の良い炭酸ジュースを飲んだような気分。
問題の痛いシーンも悪意あってそう描いている感じはないので、まあ、許せます。
っぽい
6月21日新宿武蔵野館にて観賞
観て興味を持っていたので楽しみにしていました。
ストーリーが恐ろしいほどシンプルなのでちゃんと映画になっているのか非常に心配していましたが、結構観おわった後は満足感がありました。
ネタバレというか、こうなる以外にないので書いちゃいますが、
ハイライトで自分の腕を切り離すシーンは何ともいえぬ恐ろしさというか、かなしさというか、思わず目を背けたくなるようなシーンでした。
このシーンの後に自分の切り離した腕と、数日間過ごした空間をカメラで写真を撮るシーンがあったのですが、これって自分がその状況でも間違いなくそうするだろうなぁとも思いました。
暴力描写や流血シーンの嫌いな恋人と観に来なくて、心底良かったと思う作品でした。
いつもと同じ日が変わる時。
127時間=5日と7時間。
5日も。
月曜日から数えても金曜日まで。
おまけに7時間も。
土曜日の7時まで。
長い。 とても長い。
永久とも思える時間との戦いだったことだろう。
映画館に置いてあるチラシを読んで、結末はわかっていた。
右腕を挟まれて、身動きできない状態で、どうする。
あれしかない。
きっと、あんなふうにするんだろう。
私の考えで正解だったけれど、想像以上に過酷だった。
ジェームズ・フランコの、ほぼ一人芝居になってしまうが、大丈夫だろうか?!
大丈夫だった。
彼の演技力。
ダニー・ボイル監督の手腕。
お見事でした。
暗く絶望的な状況下で、頭をよぎるのは、楽しかったこと。
詫びたい気持ち。
希望。
父や母、家族への感謝の気持ち。
諦め。
夢か現か、幻想か。
すべてが襲ってくる。
辛く厳しい状況でも、映像はそうではなく、希望を抱かせる。
クライマックスは痛い。
同じような状況下におかれた時、私なら同じことができるだろうか?
できない・・・女だからという言い訳はしたくない。 度胸がない。
できる・・・生きる意志があれば。
実在のアーロンに乾杯!!
アーロンのTシャツが、妙に可愛くて好きだ。
何気ない日常への後悔
ストーリー的には、結末への展開が予想できる。
でも「その」シーンがある事を覚悟で鑑賞。
思うに、ジェームズ・フランコって
笑顔より切ない顔の方がイケメンでした(笑)
フランコ出演作品では、恐らくナンバー1作品です。
演技力も素晴らしいの一言。
自分の好き勝手に生きてきて、自分に忠実。
だが、彼は『奈落』へ落ちてしまう。
そして決断するまでの127時間。。。
家族や恋人への今までの後悔を巡らせ、
なんとか助かる道を探す。
人の生きることへの執着って、こんな感じなのだろう。
でも、最後の最後で、どうするか!は人それぞれ。
アーロンは、生き抜くことを選ぶ。
自分なら、助かる可能性も思いつかず、
諦めることを選ぶだろうな。
斬新な映像で、あちこち目を動かすので、
じっくり観たい方には疲れるかも。
後は何といっても「決断」シーン。
血など弱い方には観てられません。
ですが、何気なくボンヤリ過ごしてる方や、
生きる事に意味を見つけられない方などには、是非観てほしい。
最後の最後に、ふと涙腺が緩みました。
緊張から解けたからか、
映像に安心したからなのか、判りませんが。
ちょうどいい
時間が短いんだなー
って見に行ったものの、
テンポも良く進んでいき
これ以上長くなったら
きっとこの映画の良さが
無くなってしまうのでは‥
ちょうどいい感じがとてもスキです。
彼はこの5日の間にどう
ここから抜け出すか考え
るうちに今までの自分を振り返っ
て初めてワガママだったと気づい
て、<あの時ああしてれば‥>
反省したころには遅く、
生き抜くために決断するのだが
そのシーンは目を逸らしたくなる💦
私はこのシーンこそ見るべき
だと思い見てましたが、
また音楽がリアルでして‥
痛々しかったです。
でも最後、抜け出したとき
言った「Thank you」は
すごい!!と感動しました。
いろいろ気付かされたからですかね。
彼の精神力と頭の回転の良さ、
死に追い込まれていく姿、
気が狂う5日間‥
最後の決断してからのシーンは
涙がでました。
生きるってすごい。
もし、これが違う人だったら
この決断はできなかったと思う。
個人的にはこういう映画は
スキなので良かったです。
エネルギッシュ!
なんとまぁエキサイティングでございました!
登場人物ほぼ一人。
作品の要となる場面はほぼひとつだけ。
なのに…なんなんでしょ?!この引き込まれ方!!
凄まじくエネルギーを感じる映画だったよ。
そして最後は、清々しい感動にオイラまた泣いちまいました。
生への渇望
思い出しては、震える。一回震えると、暫く震えが止まらない。
トンでもない体感映像。映像体験。
刮目。
127時間―その人生最大の試練、荒行、苦行、アクシデントが、目の前の“彼”に訪れてから、スクリーンから一瞬たりとも、1シークエンス足りたも、目が離せなかった。
離すのを許してくれなかった。
割にポップな演出、楽しげな楽曲。その手の効果が余計に状況の逼迫感を煽る。
不自然であるが故の現実逃避感。
どう生き延びる?どう脱出する?どう生きる?どう抜け出す?
それ以前に、そもそも…彼は助かるのか??
死からの手招き。時間は進む。死への歯車。
死への歯車をどう生へと転じさせるのか!?
そして…あの『決断』。あの『英断』。
あまりにも酷で、あまりにも非情。
しかし、だからこそ、あまりにも希望に満ちていた。
…ああ、そうだ。あそこだけ、あの『英断』にだけ、俺は目を背けてしまった。
とても罪深い。目を逸らしてはいけなかった。
生きる為の『決断』だったのに。
ああ、また震える。
凄まじく揺さぶられた感情体験。
荒療治な人生賛歌。
でも、それでも、だからこそ世界は美しいんですね。
人は「なぜ生きる」か!未来が素晴らしく見えてくる作品。ちょっといたいけれど(^^ゞ
アメリカーユタ州の峡谷で絶望的な事故に遭っだ青年が奇跡の生還を果たすまでの127時間が描かれます。現在は登山家としても活躍するアーロン・ラルストンの実体験に基づいているが、単なる脱出記ではありません。
前作でアカデミー賞8冠に輝いたのダニー・ボイルのスタイリッシュな映像は、本作にも受け継がれています。特筆ものは、岩場に閉じ込められてしまうたった一人の遭難者の映像を、監督ならではの技巧で、94分の映画作品として成立させてしまったこと。そして、単調になりがちな生還劇のなかに、自己のインド人としての東洋的なポリシーにも繋がる人生観を、しっかり描き出したことです。
ラストの腕を切り落とすところは、リアル過ぎて、ちょっと制止に耐えがたかったですが、全体としてはダニー・ボイル監督の才能に脱帽してしまう出来上がりでした。
ワンシチュエーションや際だった演出がお好きな方にお勧めしたい作品です。
冒頭に登場するのは、本編とは関係ない大群衆の映像。雑踏の混沌、競い合うアスリートたち、証券取引所では金融マンがひしめき合います。このシーンの意味するのは、主人公のアーロンが暮らしているだろう都会の日常風景だろうと思います。けれども、そういう雑踏で、多くの人と関わりを持つことを嫌って、アーロンは週末になると誰にも行き先を告げず、勝手知ったる無人のブルージョン・キャニオンの深部ヘとひとり突き進むのでした。誰からも邪魔されることなく自然と向き合うために。そこではアーロンは水を得た魚のように生き生きと立ち振る舞います。飄々と岩場を登っていく様は、『岳』の島崎三歩のようで、いわば山バカに属するタイプでしょう。
ボイル監督は、冒頭に大群衆の映像を示して、アーロンの孤高を求める気持ちと対比させたかったのではないだろうかと思います。けれども事故を経験して、アーロンの人生観は多きく変容を遂げます。その落差を強調するために、冒頭のシーンが必要だったのだと思います。
さらに、大群衆が舞台のアメリカでなくインドの映像を使っているのは、自己のアイディンティの提示と共に、本作のテーマの背景にある思想のルーツがどこにあるのかを暗示したものではないでしょうか。
冒頭からアーロンが登場するまでの映像は、縦に3分割された映像に、ポップでビートの利いた音楽が重なり、「スラムドッグ$ミリオネア」の快活な冒頭シーンを思い起こさせてくれて、作品への期待感を多いに高めてくれました。
渓谷の達人であるアーロンでも猿が木から落ちるようには思いがけない事故に巻き込まれます。
深く狭い谷底で落石に右腕を挟まれ、身動きがとれなくなったのです。携帯もなく、声の届く範囲には誰も人の気配はありません。そんな絶望的な状況下で、なおもアーロンは知識と経験を総動員して、生き抜く手段を考えはじめる脱出をはかりますが、万策尽きてしまいます。最後に残ったのは、死を覚悟するだけという厳しい現実。
ここで映画的な問題は、主人公はクレパスに閉じ込められたきりであること。このままだとまったく動きのない画面に独白が続くことにもなりかねません。
ここからがボイル監督の本領が発揮されていきます。一時も観客を退屈させまいとして、これまで培った映像テクニックを総動員!。
死を覚悟したアーロンは人生を回顧し、自由を夢見ます。見ている方を混乱させかねないカットバックの進行に加えて、時にアーロンや周りのアリなどの超クローズアップから閉じ込められている岩場の俯瞰映像まで、アルグルを激しく入れ替えて飛び交うカメラワーク。そのすべてをめまぐるしい編集でまとめきるのがボイルの監督の熟達の技といっていいでしょう。特に、幻想が曲者で、激しい雷雨による洪水が穴を満たして岩から解放されるリアルな映像も描かれます。それが幻想だったと空かされてしまうと、最後の最後まで。本当に助かったのか、幻想なのか、解釈で頭の中がぐるぐると廻り、退屈など感じる間も感じませんでした。そして気がつけば、たちまちのうちにクライマックスまで連れてしまった次第です。
けれども大半のシーンは、主人公の閉塞状況を共有することになります。その時間帯はつらいし、怖いし、猛烈に痛みを感じることでしょう。しかし、決してうんざりはしませんでした。なぜなら本作は、単に脱出を目的にした作品ではなく、なぜ脱出したのか、どうして想像を絶する苦痛を乗り越えてでも生きようとするのかが、きちんと伝わってきたからです。
そのテーマを語る小道具に用意されたのが、アーロンの持参したビデオカメラ。カメラに向かって語りかけることで去来する記憶や、再生する過去の映像を使って、朦朧とした頭に浮かぶ妄想や後悔の想いが表現されていきます。ボイル監督は、巧みにとらわれの体からあふれ出す様々な想念を巧みに視覚化していったのです。あぶり出されるのは、多くの人の関わり合いで生きてこれたという感謝の気持ち。そして、人はひとりでは生きられないという素朴な真実。
自然を愛する余り、他人との関わり合いを拒絶してきたアーロンの人生観がぐらりとかわり、顧みなかった他者の存在の大きさがアーロンを突き動していきます。人は無意識の世界で多くの人と繋がっているという東洋思想が色濃く繁栄していると思えました。
人は長時間閉じ込められると次第に内省的になり、我欲で独善的なものの見方の色眼鏡を次第に薄くしていきます。すると、自分本位なものの見方から、自分を肉体の外側から観察できるようになれるのです。そこで初めて、孤独だと勝手に思い込んでいた思い込みが崩れて、どれだけ多くの人の親切に頼って生きてきたのか悟れるようになれるのですね。
そして極めつけ。アーロンは誰かと結婚して、幸福な人生を全うしている人生を幻想で見てしまいます。内省状態の究極にあるのは、神通力が一時開眼するのです。アーロンが見た未来は単なる幻有か、予知夢だったのか?ラストシーンをご覧になれば分かります。
それにしても、クライマックスとなる脱出シーンは今思い起こしても戦慄を感じます。さすがのボイル監督でも、ここではどんな流麗な映像テクニックも放棄せざるを得なかったようです。どんな素材もエンターテインメントに仕上げるボイル監督であっても、127時間にわたるアーロンの苦悩までは、エンターテインメントでは消化できず、ストレートに写実するするしかなかったのでしょうね。
本作を見終わって、ああ怖かった!という感想だけでは残念ですぅ。ご覧になった皆さんにも、アーロンと同じような予期せぬ無常に出会ったとき、強く心に本作のことを思い起こしされて、人は「なぜ生きる」か、「何によって生かされている」のか、考えてみて下さい。それが本作を作り上げたボイル監督からのメッセージだと思います。
生き抜くタフさ
冷静さを失わないこと
決して諦めないこと
タフな状況を タフに生き抜く主人公がかっこよかった!
巨大な大地の裂け目にちっぽけな人間が
たった一人で5日間。
しかも、身動きがとれない…。
自由に動ける心だけが、
過去へ、未来へ向かい、
過酷な現実に立ち向かう。
岩にはさまれた腕の痛みも、
たよりない装備への不安も、
たった15分しか当たらない太陽の光のありがたみも
まるで、自分の感情のように感じられた。
主人公のタフさに拍手。
好みがわかれる映画かな( ̄Д ̄;;
何と言っても主演のジェームズ・フランコが圧巻!
人間ホントにこうなっちゃうんだろうな、という心理の変化が怖いくらいの臨場感。
BGMや効果音もかなりインパクト強いです。
途中で間延びしたり、山場のエグいシーンで目をそむけたりもしたけれど…。
そこで気になるか否かで評価が変わるんだろうな。
ラストは割りとあっさりでした。
全体的に、男の人向け?の映画。
ひとりで観に行くことをオススメします。
全103件中、81~100件目を表示