キラー・インサイド・ミーのレビュー・感想・評価
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陰鬱さがやけに深い
キャストが豪華なことと、何となく妖しげな雰囲気に惹かれて鑑賞。
オープニングの音楽やテロップは思いの外イイ感じで期待値が上がったのも束の間、本編が始まってみると妖しいというより陰鬱さがやけに深い。そして目を逸らしたくなるほど嫌なバイオレンス。ストーリーも複雑というか無理があるというか、いずれにしても馴染めない。
個人的には、俗にいう「ムナクソ」系にジャンル分けしてしまう一歩手前というところか。
これだけのインパクトをあたえるのだから、ケイシー・アフレックを筆頭にその他キャストの実力は認めるのだが…。
キャストの他、全体を通して音楽も良かった気はするが、それにしてもただただ辛いだけの作品だったように思う。
『Shame on you』が耳に残る。
2010(日本は2011)年公開のアメリカ映画。
監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:ジョン・カラン
原作:ジム・トンプスン『ザ・キラー・インサイド・ミー』
主な配役
【保安官助手ルー】:ケイシー・アフレック
【ルーの恋人エイミー】:ケイト・ハドソン
【娼婦ジョイス】:ジェシカ・アルバ
【弁護士ビリー】:ビル・プルマン
【組合長ジョー・ロスマン】:イライアス・コティーズ
【保安官ボブ】:トム・バウアー
【検事ハワード】 サイモン・ベイカー
不条理連続殺人鬼をケイシー・アフレックが演じる。
Wikipediaによると、
1976年にも『The Killer Inside Me』(監督:バート・ケネディ、主演:ステイシー・キーチ、日本劇場未公開)が公開されている。
観てみたいものだ。
1.保安官たちの好演
◆殺人鬼と化した保安官助手・ルー
◆ルーを信じる気の毒な老保安官・ボブ
◆別の助手・ジェフ
田舎の保安官たちを見事に演じていて、
殺人事件とのギャップを作れている。
このキャスティングあってこそ、と思う。
保安官を演じたトム・バウアーは今年(2024年)亡くなった。
2.豪華すぎる?脇役たち
◆被害者 ジェシカ・アルバ(脇役ではないかw)
◆なぞの組合長 イライアス・コティーズ
◆訳知り顔の弁護士 ビル・プルマン
◆エリート風検事 サイモン・ベイカー
みな、何らかの形でルー(ケイシー・アフレック)と絡むのだが、
どこかやりとりは禅問答のようで、捉えどころがない。
最初の被害者となるジェシカ・アルバとの出会いもなかなかマニアックだ。
最初に見た時は、かなりドキドキした(笑)。
その他の豪華な脇役たちも、
チラッと出ては、牽制球を投げてから去る。
結果、ルーは自由に次々と罪を重ねていく。
3.原作は読んでいないが…
◆ルーの幼少期の体験による?性的な加虐性
◆田舎ならではの濃密な人間関係、いわゆる、しがらみ
◆保安官助手という規律を守るべき立場
それらを一気に破壊しようとするラストシーン。
なぜか、ルーに感情移入してしまう自分に驚き、戸惑ってしまう。
実社会においても、
「こんなノンビリした田舎で?!」
という場所で凶悪な犯罪が起きたりもする。
本作について、ストーリーがどうとか言う気はしない。
理由はないが、なんか好きだ。
ラストシーンに流れる
Eddy Arnoldが唄う『Shame on you』が耳に残る。
私の評価は、まさかの(笑)☆4.5
あさい
君はどこへも行かない
他の方も言ってますが、ルーがイカレた殺人者になるまでの過程があんまり…分からないですよね。
1回殺人を犯すと、ああまでなってしまうのでしょうか。
結末を考えると、ジョイスとエイミーが浮かばれなさ過ぎますね。
救いがなさ過ぎます…。
感想が出てこない
キューブリック賛歌
澄まし顔の悪魔
保安官に潜むサド的なサイコモノなんだけど、ケイシー・アフレックの狂気に満ちた顔でもなく、終始淡々とハスキーなボソとした語り、場面に合わない陽気で軽いBGMでスリラーな感じはしない。義兄を殺された恨みなのか、そこを掘り下げる訳ではないが、なぜ町の有力者の息子を殺したのかが不明。そもそもそこから犯行が始まる。それによって、心を許すジェシカ・アルバを殺し、自分の罪を着せ、刑務所で自殺に追いやった自分を信じていた若い男、そして駆け落ちの約束までして、これから共に生きていこうと心底愛していたのに、殺されるケイト・ハドソン、まで極悪非道に殺す理由が何なんだろうか。幼い頃の母親が叩かれる姿に性的興奮を覚えた単なる嗜好なのか。ラスト、まさかジェシカ・アルバが生きていたとは。だから、全てを悟った保安官の先輩も自殺してしまったのか。これが検事が握っている最大の証拠だったのか。しかし、そこでもジェシカ・アルバはケイシーの犯行をゲロってないって、どんだけなんだ。最初の犯行がバレそうになった際はドキドキしたが、次第にこいつがどう堕ちていくのかが見物でしたが、最後の最後まで、検事や保安官を巻き込んで死んでいくとは悪魔だな。ジェシカ・アルバはもっと見たかった。オールドカーもよく集めたな。
スパンキング嗜好の保安官助手
二重人格で殺人鬼が内に潜んでいる保安官助手のルー。ジョイスはルーと二人でセントラル・シティを出たかったため、町の実力者コンウェイの息子エルマーから金をせしめようとしていた。しかし、ルーはエルマーとジョイスを殺し、相討ちしたかのように偽装工作した。ハワード郡検事はルーを疑いつつも、前科のあるジョニーという青年が逮捕されたことで一旦疑いを捨てる。しかもジョニーは拘置所で自殺。
殺人の動機は何だったのだろう?ルーにはもともとエイミー(ハドソン)というステディがいたのだが、ジョイスとの逢瀬を繰り返すうちに、ジョイスへの愛憎が増していったのだろうか。嫉妬深そうでもあるし、カッとなったら我を忘れるタイプでもある。しかし、ことを終えるとかなり冷静になるし、証拠を残してしまった後も何とか取り繕ったりする。ジョイスにもエイミーにも尻へのスパンキングを繰り返すが、それは幼少時に母親にもしていたことであった・・・マザコン?
一人の浮浪者が犯行現場を目撃したためルーをゆすりに来る。金を渡す約束の日、ルーはエイミーを殺し、それを浮浪者が殺したんだと追いかけ、やがて駆けつけた保安官によって浮浪者は銃殺される。
そしてラストは保釈中(?)のルーの自宅に検事や保安官仲間がやってくる。同行していたのは生きていたジョイス。ジェシカ・アルバの顔が悲惨なことになっていた。そして、ルーは彼女を刺し、保安官が彼を撃つ。家には可燃液体が撒かれていたため、あっという間に燃え上がるという結末。
誰にでも潜んでいる可能性のある殺人の衝動!とも言うべきか、とにかく変わった内容の映画ではあった。多分、ジョイスとの出会いのシーンでお互いに殴りあってたのが、彼の内なる凶暴性を引き出したのだろうけど、それでも普段はまともな人間のままだったし、とにかく怖い二重人格。
チョッとパンチが足りないかなぁ…
ケイシー・アフレックが演じたルーの子供時代に芽生えた暴力的な本能は、保安官助手というベールに隠されていたけれど、娼婦ジョイス(ジェシカ・アルバ)によって全てが蘇ってしまい、抑え切れない衝動に駆られてしまう。
恐らく、保安官という職業に就く事で抑え込んでいたんだろうと思うけど、平然とした顔で犯行に及ぶケイシーがなんとも おぞましくて良かった。
っていうか、直ぐにバレそうなもんだと思うけど、時代背景もあるのか、なんとなく乗り切れちゃうっていう(笑)。
ただ、ケイシーがサイコキラーになるきっかけが、ちょっと弱かった様に思った。
もっと衝撃的な過去の方が、なるほどなと思えたかも。
終わり方もなんか嫌かな。
あと、検事役のサイモン・ベイカーがね(笑)…もっとグイグイ行って欲しかったね!「メンタリスト」みたいに(笑)!
それと、あの子…見たことあるな…と思ったら「惑星「犬」。」の子役の男の子(リアム・エイケン)だった!
子供達が小さい時、メッチャ観てたなって(笑)ハッブルのマネしながら(笑)。
ジェシカ・アルバ目当てで見ました
祝!オスカー受賞
綺麗な女優サンをボコボコにするC・アフレックの殺人的衝動が理解出来ず人格に問題があるような感じも無く殺す理由が解らない!?
J・アルバもK・ハドソンもお尻を披露して殴られマクる損な役柄。
ただ単に殺すのが好きなのか?理由があるのか?何がしたいのかがサッパリ理解出来ない。
最後の全員死亡の間抜けさにコレはコメディか?
恐ろしい映画
誰もが奥底に潜ませる狂気
主人公の保安官助手・ルーを演じるのはケイシー・アフレック。「ジェシー・ジェームズの暗殺」で列車強盗のボス・ジェシー(ブラッド・ピット)を、卑劣なやり方で暗殺したロバート・フォードを演じた彼だ。今作でも同じく、ねちっこい性格と陰湿な喋りで、どこか冷めた若者を演じる。
上司の保安官から指示を受けたルーが、町はずれに住む売春婦ジョイスを訪ねるところから始まる。ジョイスに抵抗され、彼女を押さえつけたところで、ルーの奥底に潜んでいたものが目を覚ますのだが、これが突発的なものではないことが徐々に明らかになる。
ジョイスを演じるジェシカ・アルバの情熱的で美しい肢体と、ルーの過去をオーバーラップさせながら、徐々にルーの内面に潜むものを鮮明にしていく。ここで慌てないのがいい。
前に進むのを忘れたかのようなケイシー・アフレックの演技と、都会の喧噪から離れた50年代の西テキサスの風と陽光が、まるで何事もないそぶりでシンクロする。その裏で、この田舎町セントラルシティを闇に包む狂気が刻々と頭をもたげていく過程にたっぷりと時間を注ぎ込んだ。
この映画では、殺人事件はあくまで結果だ。話の軸は自らの狂気を目覚めさせてしまった主人公が、その狂気を弄び、やがて蝕まれていく様を描いたものだ。使うべきところに時間を割かない作品がままあるなか、今作の時間配分はよく計算されている。
小さな田舎町。周りで死人が相次げば、遅かれ早かれ疑われる。誰も、そんなバカじゃない。それでも殺人を繰り返すのは、自分でも抑えることができない性癖と、犯罪を取り繕おうとする愚かさによるものだ。女にはサディスティックに拳を振るい、男に対しては報復の銃弾を浴びせる。
建設労働組合長のジョーがルーに向かって吐く「たわ言はバカ相手に言え」。
まともな人間は騙されないぞという意思表示だが、真実と嘘が混濁したルーにとって、はたして自身の言葉がたわ言だという意識があったかどうか?
揚々とするルーに投げかけられる老保安官の言葉「陽は沈む前がいちばん輝く」も忘れられない。
決して精神を病んでいるのではない。常習的な殺人鬼でもない。ごく普通の人間が取り憑かれたように人の命に手を出してしまう脆さと怖さ。
ちょっとしたはずみに表出する人間の内なる本性。
これは誰もが奥底に潜ませる狂気なのかも知れない。
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