「悲しき共犯関係。」モールス レントさんの映画レビュー(感想・評価)
悲しき共犯関係。
オリジナルに求めていたのはまさにこれだった。オリジナルを見た時ヴァンパイア少女エリの悲哀を感じる作品かと思ってたが、その描写がなにかと生々しくて、生理的な気持ち悪さが勝ってしまい、さほど悲哀感を感じられなかった。北欧ホラーはなにかと描写が生々しい。最近鑑賞した「ハッチング」もそうだった。
このリメイク作はその点それらの描写は控えめで存分に悲哀感を感じることが出来た。まあ、クロエのあそこは映せないだろう。オリジナルもボカシ入ってたけど。
話はオリジナルと変わらず、作品のトーンもほぼ同じ。刑事の踏み込み方の不自然さまで同じ。しかし、オリジナルよりは品があるし、役者の演技も素晴らしかった。
アビー役のクロエはオリジナル同様のどこかはかなげで謎めいた神秘さとおぞましさを兼ね備えた難しい役を見事に演じていたし、オーウェン役の彼も十代前半特有の弱々しさと危なっかしさを兼ね備えた不安定な年頃の少年を見事に演じていた。
共にこの世界に居場所がない孤独な二人、彼らがひかれあうのに時間は要しなかった。
孤独なもの同士生きてゆく決心をした二人だが、オーウェンの行く末が想像されるだけにやはり悲しい。
この世界で永遠の命を持つというヴァンパイアの悲哀を感じさせる傑作がまたひとつ生まれた。
昔はオリジナルを見た後にリメイクを見るとがっかりすることが多かったが、「コーダ」といい、本作といい、オリジナルを超える作品が出るようになって嬉しい限り。
今晩は。
今作はかなり前に映画館で観たのですが(その後、オリジナルを鑑賞)とても印象的な映画でした。
幼きクロエ・グレース・モレッツの哀しき定めを描いた作品であり、隣室の男の子とのモールス信号のシーンも良く覚えています。では。返信は不要ですよ。