ブラック・スワンのレビュー・感想・評価
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どこまでが真実で、どこからが妄想なのか
<映画のことば>
君の途をふさぐ者は、君自身だ。
邪魔物を取り除け。
自分を解き放て。
主役(プリマバレリーナ)の重圧に、ともすれば押し潰されてしまいそうなニナに対するアドバイスとして、これほど的確な助言が、他にあり得たでしょうか。
「君は芸術家か、それとも実務家か。
もし実務家であったとしたら、
常には完璧を求めてはならない。」
という一文を何かで読んだことがありましたけれども。
反面、バレリーナとしてのニナは、ある意味で、正真正銘の「芸術家」。
常に己の芸の完璧を求めなければならない宿命の重圧は、容易に評論子ら凡人の及ぶところではないと思います。
それこそ、抜いても抜いても、自分の体の中に、鋭い棘(とげ)が次々と食い込んで来るような。
そういう妄想のどこからがどこまでが現実で、どこから以上が(精神的な重圧の故の)妄想だったのでしょうか。
バレエ界という、外見的には華やかな世界だからこそ、その内幕の「厳しさ」「鋭さ」が、よりいっそう際立つのかも知れないとも思いました。
別作品『TAr/ター』と同じく、芸術の世界にまつわる「陰の部分」を描いた一本とも言えたと思います。
佳作であったと思います。評論子は。
(追記)
多くの映画.com率レビュアーが指摘するとおり、本当に本当に、本当に「怖い」映画でした。
「じんわりと包み込まれるような恐怖」とっても形容すべきでしょうか。
そんな恐ろしさでした。評論子には。
そこいらへんの変なホラー映画よりは、ずっとずっと怖かったたことを付言しておきたいと思います。
(追々記)
上記のような意味合いでは、「芸術に惑わされた末の転落」(映画.comレビュアーのジュンーさん)という指摘は正鵠を得ていて、本作の鑑賞の指針として、とても参考になりました。評論子には。
末筆になってしまいましたが、バンドルネームを記して、ジュンーさんへのお礼としたいと思います。
難しい
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先代が勇退させられ、ナタリーがバレエのプリマドンナとなる。
そして色んなブラックな事が起こるが、全てナタリーの妄想?
・気づいたら背中から流血。自分でかきむしっている?
・周囲のライバル達が自分をやっかんで冷たい。
・バレエ団のボスがセクハラまがいのことばかりする。
・母親が頭がおかしくて、ケーキを捨てたり起こしてくれない。
・ライバルの一人に薬を飲まされ、おかしくなる。
・そのライバルに主役を奪われないよう刺殺した。
結局、自他ともにパーフェクトと断言できるような舞台を踊る。
しかし刺したのはライバルでなく自分自身で大流血、多分死亡。
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とにかく難し過ぎてよく分からなかったが、
多分ナタリーが精神的に病んでたのだろう。
しかしナタリーが踊る姿は格好良かったな。
タイトルなし(ネタバレ)
どこまでも今敏のパーフェクトブルー。
役になり切るために欲情される女になれ、という呪縛に苦しめられながら、ライバルや先輩、母親の過剰な介入に、精神的に追い詰められていく。どこまでが幻覚かは分からない。
皮膚を切り裂く爪、肉体に滲む血痕、幻覚相手に突き立てる刃物、そのどれもにひりつく痛みがある。身体の底からうなりあがる、鈍い痛み。
しかし、欲情される女になれ、で演出家が色々要求したり、それが強迫観念になって自分でも求められるように意識したり、今ではアウトなくだりが満載。歪んだ男の浪漫というか、、、今の時代に女性監督がリメイクするならどうなるだろうか気になる。
それでもナタリーポートマンは難しい役どころをよくぞ高らかに演じ切った。
芸術と人間性
プレッシャーがすごいんだなぁ
自宅で動画配信サービスを利用して視聴しました。
以前から気になっていたため視聴。
プリマとして完璧に演じることプレッシャーを感じ、どんどんと追い詰められていく主人公の様子が痛々しく描かれています。
正直、前半はめちゃくちゃ丁寧に状況や人物描写がされるため、多少退屈さを感じました。しかし初演のシーンからは、音楽、演出、演技が素晴らしく、映画前半で貯められたフラストレーションが解放され、まさにカタルシスという感じでした。主人公がブラック・スワンを演じているシーンは圧巻ですね。
プレッシャーで様々な幻覚が見える様は、正直そのあたりのホラー映画よりもゾクゾクしました。
16mmフィルムの質感
後に制作された『バードマン』で類似性を指摘する記事や、
ナタリー・ポートマン主演で知っていたが
痛そうな表現があって、なかなか観る機会がなかった
何と言っても16mmフィルムの質感がいい
クローズアップした構図が効果的に使われている他
どのカットもバシッと決まった構図で撮影されていてとてもいい
ルーティンを描くことで主人公の地獄を感じられ、
徐々に黒鳥になっていく姿は期待通りの展開
そして終幕も良い
やはり痛い描写があり、苦手な人にはすこしきついかもしれない。
スプラッターとは違う痛さの表現なので注意
確かに『バードマン』と同じテイスト、構成要素だが
どちらも独自の優れた映像表現が用いられているので面白い
もっと過激な内容かと思ったが、あまり突き抜けた展開にはならず
いい塩梅だった。
プレッシャーで大変なんだな
迷えるアヒルの子が美しい白鳥/黒鳥へと成長する、恐ろしくも勇壮な舞踊。 ナタリー・ポートマン凄え…。
「白鳥の湖」の主役に抜擢されたバレリーナが、そのプレッシャーから段々と狂気の世界へと迷い込んでゆく、というパラノイア・スリラー。
監督は『レクイエム・フォー・ドリーム』『レスラー』の、巨匠ダーレン・アロノフスキー。
主人公ニナを演じるのは『レオン』『スター・ウォーズ』シリーズのナタリー・ポートマン。本作でオスカーを獲得!
ニナと同じバレエ団に所属する、黒鳥のようなバレリーナのリリーを演じるのは『ザ・ウォーカー』『デート&ナイト』のミラ・クニス。
ニナの憧れでもあるバレエ団の先輩、ベスを演じるのは『シザーハンズ』『17歳のカルテ』の、名優ウィノナ・ライダー。
ニナとリリーがバーで出会った男性、アンドリューを演じるのは『愛とセックスとセレブリティ』のセバスチャン・スタン。
👑受賞歴👑
第83回 アカデミー賞…主演女優賞!
第68回 ゴールデングローブ賞…主演女優賞(ドラマ部門)!
第36回 ロサンゼルス映画批評家協会賞…撮影賞!
第6回 オースティン映画批評家協会賞…作品賞!
第26回 インディペンデント・スピリット賞…作品賞!
第67回 ヴェネツィア国際映画祭…ミラ・クニスがマルチェロ・マストロヤンニ賞(新人俳優賞)を受賞!
第64回 英国アカデミー賞…主演女優賞!
第54回 ブルーリボン賞…外国作品賞!
ナタリー・ポートマン…………
色を知る年齢(とし)か!
と、『刃牙』読者なら勇次郎がチラついてしまうであろう親バレシーンも必見な、とにかくナタリー・ポートマンが全身全霊で迷える若きバレリーナを演じた、パラノイア系映画の傑作!
ナタリー・ポートマンはこの映画のために10キロも減量をしたんだとか。背中の辺の骨の浮き出し具合とか、もうガリガリすぎてそれだけで怖くなる…💀
誰の目から見ても、明らかに名作であると言える一本なんじゃないかこれは…。
一本の映画として、単純に面白い!
始めは「ん?なんかおかしいような…?」というような感じなんだけど、物語が進むにつれてどんどん狂気的な世界へと観客を誘ってゆく。もう終盤になる頃には完璧なホラー映画😱
お化けも殺人鬼も出てこないのに、ヒェ〜〜っと言うしかない恐怖の連続に肝を冷やした…🥶
スノッブっぽくてあんまりこの言葉は好きじゃないんだけど、本作ほど「カタルシス」という言葉が似合う映画もそうそうお目にかかれない。
元バレリーナである毒親からの期待、セクハラ演出家からの厳しい指導、憧れの存在であるベスからの妬み、黒鳥を演じ切ることが出来ない自分自身への焦りと苛立ち…。
色々なものに抑圧されて抑圧されて抑圧されて……。バレリーナとして「完璧」になる為に自分を殺して殺して殺して……。
その過程を嫌というほどた〜ぷり描いてからの、全てから解放されたかのようなクライマックス。
矢吹丈ばりに真っ白な灰となったニナの姿は、悲劇的ではあるのだがどこか爽快さすら感じさせる。
前半はとにかく閉塞感が凄くてとにかく重たい。観ていても気が滅入るばかりで全く楽しくない💦
でもこれは多分わざと。ニナと観客の気持ちをシンクロさせるための儀式のようなものなんだろう。
とにかく辛い90分を我慢すれば、地獄の底へと直滑降するかのようなグルーヴ感溢れる20分を体験する事が出来る。
物語はニナを中心としたものなんだけど、カメラも常に彼女の姿を追っている。ほとんどが彼女のクローズアップやバストショットなので、まるで自分がニナになったかのような没入感が味わえること間違いない。
清廉潔白な白鳥のようなニナが生み出した、淫らで蠱惑的なリリーの幻想。
リリーの幻想は、抑圧されたニナの性的欲求の具現化に他ならない。
彼女は自らが生み出したリリーとのセックスを通して、内に秘めた淫らさを受け入れる。
それだけに留まらず、ついにはリリーを殺すことにより、完全にそれを自らのものとして支配するようになる。
自分のことを白鳥だと思い込んでいたアヒルの子供、それがニナ。
既にペルソナを被っている状態なのに、さらにもう一枚黒鳥というペルソナを被ろうとしている。
一度に何枚もペルソナを被ることなど出来はしない。黒鳥という新しいペルソナを被るためには、一度白鳥のペルソナを外す必要がある。
本作はニナが自分はただのアヒルの子供だったということを理解し、それを受け入れることで自由にペルソナを付け外しすること、つまり「完璧」な表現者へと変貌を遂げる物語である。
パラノイア・ホラーという仮面の下に、女性の成長と自立というレイヤーを忍ばせているからこそ、この映画のクライマックスはこれほどまでに爽快感があるのだろう。
一人の女性の成長譚としても面白いし、ホラー映画としても面白い!
「白鳥の湖」をなぞった物語である以上、話の筋や結末はわかっている筈なのに、映画がクライマックスへと進んでいくに従って、どんどん未知の領域へと観客を誘ってくれる。
パラノイア映画なので苦手な人もいるとは思うが、名作なのは間違いないし、清純派なイメージのあるナタリー・ポートマンがここまでやるのかよ!という驚きもある。
これは誰もが一度は観るべき映画なんじゃ無いですか!?
内容が最低
俳優の演技もバレエも凄いと思うけど、主人公が錯乱していくという方向に持って行こうとする演出的な無理やり感が凄いんですよね。ひとつひとつの錯乱ネタもチープだし、音楽で驚かせようとする必死さもチープです。多分「サンセット大通り」のような往年のノワールをやりたかったんだろうと思いますが、話の流れがマンガチック、ナタリー・ポートマンの演技も単純。これは監督の演出のせいです。また日本には「アタックNo.1」とか「スチュワーデス物語」といった"スポ根物'"がありますが、この映画もそれと全く同じ構成要件です。ただラストの方向性がハッピーエンドではないという違いだけ。そう考えるとやはり、こういうラストに持って行きたかったから無理やり話をつないでいるという、監督のわざとらしさが目立ってしまいます。大体次のセリフが想像できちゃうんですよね。意地悪なチームメイトが寄ってきて何か言う→「あんた、あの人と寝たの?」…ほらなやっぱりって感じです。言われたナタリー・ポートマンの表情も。これがそんなに高評価だったというのが理解できません。クラシックバレエのような芸事は厳しいものだという事は皆んな知ってる。だからといってその内幕を、大袈裟にドロドロに描いて何になるのかわかりません。クラシックバレエ界をディスってるようにも思えるし、本当のバレリーナはこの映画を見たら嫌な気分になるでしょう。結局企画を立ち上げ、構想していった監督の自我が非常に強い作品だったなあと思います。監督のさじ加減でどうにでもなるじゃん、と思えてしまうのがダメでしたね。
見ていて痛い
なんの前情報もなく視聴した。パッケージや名前からそういう暗い向きの映画だとは予想できてはいたが、サイコスリラー映画だけあり、精神的幻惑によるホラー要素とそれに付随するニナの背中の一箇所にできる蕁麻疹の描写が幻惑と血の表現によりその視聴者へのインパクトが増強され、見ていて何度も平手打ちを受けるようだった。時折ニナに感情移入がすぎて、その痛々しい演出に舌打ちをしてしまう場面もあるほどだ。スプラッター映画のような安いグロテスク描写が無いのにR15+映画指定を受けているのは納得が行く。心が元気な時に見た方が良いだろう。自分は途中でつらくなって視聴を中断し、時間をおいて最後までみた。
1hr30min頃からそこまで引っ張ってきた展開が見ることができ、そこでやっと救われる思いがあった。それは痛みを伴うものでもあったが。その表現方法については原理主義者であればそのような演出は不要で、リアルな描写だけで表現すべきだったと思う方もいるかもしれないが、BGMや目、腕のアンリアルな描写については違和感はなく、それまでの不安や苦痛の描写に対するカタルシスを演出するにたる表現だったと思う。
そしてこの作品は物語の絶頂で終焉を迎える。自分が最近見た映画の仲ではロッキーと同じだ。その続きが非常に気になる。ニナが今回成功したのはその後を保証するものではなく、その後の悲劇が容易に想像できるからだ。
タイトルなし(ネタバレ)
序盤から自分とすれ違う場面もあるし、幻覚と現実の境のない場面が至るところにある。終盤は妄想が現実をこえて...みたいな。
白鳥の湖の女王役へのプレッシャーから幻覚を見るニナ。白鳥は完璧に踊れるが黒鳥との演じ分けは無理と舞台監督から判断される。
黒鳥は誘惑する。ストイックで美しく技術も才能もあるが、ざっくり言うとニナにはエロさがない。厳格な母の影響もあって自分を解放できないニナ。やはり黒鳥がダメで落ち込み続ける。
サンフランシスコからやってきたイケイケなリリーは黒鳥役にピッタリな美女。リリーがすすめてきたドラッグを断るが、それを酒に混入させたのを見るもあえて受け入れるニナ。
この後レズシーンになるけど、最後にリリーが自分の顔に変わるからやっぱりこれも妄想。
舞台監督に捨てられた元看板バレリーナのベス(ウィノナライダー)との事があって、話の流れでトーマスがなんかエロ師かのように思っちゃうが別段そういうことはない。
はじめはベロニカに、最後はリリーに女王の座を奪われそうになり、その主役への固執が邪悪な心を生み、役を奪う者がいるのなら殺すまでの思いが黒鳥ニナを完成させたみたいな。真面目で臆病な娘だったのが、濃く化粧して監督に主役にしてと直談判しにきたその欲に忠実な行動を買ったのが始まりだし。ホラー妄想や幻覚にはエクスキューズが入っていたしラストまでみっちりな映画だった。
バレエ英才教育の罪
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