ブラック・スワンのレビュー・感想・評価
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ナタリー・ポートマンを観る映画
2011年の第83回アカデミー賞でナタリー・ポートマンが主演女優賞を授賞。合わせてナタリー・ポートマンは、この作品で出会ったフランス人振付師との婚約・妊娠を発表しています。
繊細で、傷付き易い若きプリマ=ニナをナタリー・ポートマンが、非常に上手く演じています。って言うか、物語冒頭から、ニナが非常に神経過敏であると言う事が、伏線どころか、はっきりと示していて(ちょっと、過剰かな?という気もしますが)、その後の物語の理解を助けています。そんな神経過敏の子供に育ててしまった原因が母にあるんですが、母の、言ってはならないセリフ(「あなたのために、夢を諦めた」)もあり、「そりゃぁ、神経過敏に育つよね」とも思いました。
ニナを抜擢する監督が、ヴァンサンカン・カッセル。『オーシャンズ12』『オーシャンズ13』では、ダニー・オーシャン達にコケにされる役どころを演じていますが、この作品では、堂々たるバレエの監督を演じています。スリムだし、確かに、バレエの監督と言う雰囲気。ついでに、女好きと言う設定は、彼がフランス人だからでしょうか?
ジャンルとしては、サスペンススリラーらしいですが、どうなんでしょう? あらすじうぃ詳しくは記しませんが、物語終盤に、ニナが現実と夢の区別が付かなくなっていく辺りは、確かにスリラーかも。最後の最後が、あのままと言うのは、文字通りサスペンスではありますが・・・。って言うか、実は、痛かったり、グロかったりするシーンは苦手なんですが、意外に、痛かったり、グロかったりする作品です(苦笑)
実は、観に行くかどうか、迷いました。ですが、今日はTOHOシネマズだと1000円で映画が観れるので行くことにしました。それにしても、この作品は、ナタリー・ポートマンに尽きますね。アカデミー賞で主演女優賞を授賞しただけのことはあります。終盤に見せる充血した目は、中々怖いものがあります。結論としては、行って良かったです。
圧巻の苦悩と狂気
ナタリーポートマンがアカデミー賞を受賞したのは
誰でも納得の迫真の演技で主人公の苦悩と狂気を演じます。
これがとにかく圧巻。
コレだけの為に見に行っても大丈夫。
バレーも見ないし、舞台も興味ない自分でも
臨場感、緊迫感を感じましたし十分元が取れます。
最初から最後まで緊張して見終わってぐったり疲れるくらいです。
サスペンスとして犯人探しをするとラストが
きついですが、それを除けばほぼ満点の出来です。
注意点としては、過激な性描写も満載なので
見に行く相手を選ぶことでしょうか。
付き合いたてのカップルが見に行くには激しいし
バレー好きな親子も厳しいでしょうね。
これはR15ではなくてR18だと思います。
星1つか5つか両極の評価しかできない激しい作品
白鳥の湖の黒鳥役を演じるのにここまでする必要があるの?もっとクラシックバレエの作品らしくきれいにまとめることもできたのではないの?と最初は思った。しかし、観終わった後に反芻すると、この作品は単なるオカルトと、芸術作品の間を隔てる塀の上を歩き、かろうじてオカルト側に落ちなかった、究極の芸術作品のような気がして、5つ星の評価になった。
それにしても疲れた。完全に主人公の内面に入りきって、観てしまった。あそこまで表現しないと、観客はここまで没入できないのかもしれない。
白鳥の湖のバレエ公演は一度も観たことのないひとはつらいかもしれない。黒鳥の激しさ、それに負けない瀕死の白鳥。
この映画によって「白鳥の湖」ってすごい作品だったのだなと改めて思った。
これは文句なしの主演女優賞です
ナタリー演じるニナ
踊りは完璧なのに感情を表現できずに悩みつつも、感情をあらわにする事を怯えている
それはあの執拗なまでに過保護な母親の影響だろう
子供を自分の思い通りにしようとする母親。。。その影響で自分の感情を押さえ込むようになったニナ
主役に選ばれたものの自分の力量以上の役へのプレッシャー、魅力的なライバルに対する劣等感、そして重すぎる母の愛。。。全てかニナの心を潰していく
現実と非現実のどちらなのかだんだんだんだん解らなくなっていく
ニナの中の何かが外に出たくてうずうずしているのだ
そしてついにニナの中の黒鳥が顔を出す
押さえてきた全てが爆発して素晴らしい演技へと繋がる
だがそのままでは終わらなかった。。。このラストには唖然としてしばらくその場を動けなくなった
この世界感に引き込まれすぎてエンドロールがこんなにも短いものなのかとはじめて思った
気づけば終始ニナの世界に引き込まれていて、文句なしの主演女優賞だと思った
久々にぜひもう一度観たいと思える作品だった
今でもまだあのメロディーが頭を離れない
監督とナタリーの技量に圧倒された
誰もが一度は聴いたことのある音楽「白鳥の湖」。
その悲しげなメロディーにのせて、ストーリーは進む。
心理サスペンス&ちょっとスリラーという内容。
こういう作品、好きです。
前半、少し「あれっ?!」という既視感を覚えたり、途中で、「あっ!きっと、こうなのね」と気づいたものの、後半からは、息つくヒマもないくらい、怒涛の勢いでラストへと。
純真で儚く、母の期待を一身に背負い、それに応えるべく頑張るニナ。
白鳥と黒鳥を演じ分けろ!!
白と黒。
善と悪。
光と闇。
真と嘘。
家と稽古場。
母と監督。
ニナとリリー。
人間の持つ背中合わせの二面性。
ラストの黒鳥への変身ぶりは、お見事!!
監督とナタリーの技量の賜物でしょう。
アカデミー賞も納得。
思い返せば、「レオン」の少女から、すっかりおとなの女性へと変身され、時は流れていたのですね。
ナタリーは、マチルダから脱皮できる作品に出会えたのでは・・・。
バレエ劇中のオデットの運命とニナとナタリーが重なって、圧倒された。
ウィノナ・ライダー。前回見たのは、浮気する人妻役。
今回は、引退するバレーリーナ。
旬を過ぎたような役だけど、こうしてスクリーンに登場してくれるのは、嬉しい。
見終わった時、バレエの王子のように、黒鳥に胸を鷲掴みにされたようだった。
「映画館のための」、映画
「レスラー」などの作品で知られるダーレン・アロノフスキー監督が、ナタリー・ポートマン、ヴァンサン・カッセルを迎えて描く、サスペンス映画。
この作品を、単純に名門バレエ団に起こる愛憎劇と考えてはいけない。もちろん、大きな軸としてバレエという身体芸術を巡る嫉妬と悪意がある。だがそれだけに収まらない本作の魅力こそが、ナタリー・ポートマンを絶賛の演技へと導いたのだということを忘れてはいけない。それは、何か。
「人間の閉じきった感覚を全力でこじ開ける、衝動」だ。
作り手はバレエという究極の身体芸術に対して、時間と手間を惜しまずに向き合ったのだろう。その世界から生み出される己の肉体一つで作り上げる色気と可憐、弾け飛ぶ汗と指先一つの迫力という多様な美的要素を認識し、一本の作品にぶちまけることで、人間の肉体が表現し得る最大限の喜びと可能性を、提示してみせる。そこには想像を絶する美しさと恐怖が満ち溢れ、観客の予測を飛び越える奔放な魅力がある。
加えて、視覚、聴覚はもちろん、母の指を舐めて味わうケーキの味覚、主人公の身体をいやらしく這う指の触覚、そして無機質な楽屋の嗅覚と、観客の五感全てを刺激して物語に引っ張り込もうとする暴力的なまでの力強さが全編に溢れ出し、物語を超えて観客の心身共に感じる開放感へと繋げている。
映画館という暗闇がもつ、想像力増進と異次元への開放という可能性を存分に理解し、利用し尽くそうとする作り手の心意気が嬉しい作品だ。どうか、DVDやBDで味わおうとは思わないで欲しい。この映画は、まさに「映画館のためにある」映画なのだから。
研ぎ澄まされた演技でした。
米アカデミー賞受賞しただけあってナタリーの演技は、研ぎ澄まされたとても素晴らし演技でした。猛特訓した事がひしひしと伝わってきました。特に黒鳥を踊るシ-ンは、圧巻でした! この作品は、ナタリーにとって「レオン」次ぐ代表作になった事は間違いなし!! 最近のナタリーは、結婚し、妊娠し、米アカデミー賞受賞、待機作品もありと、すごい充実していて今年はナタリーの年でしょう。まさにクイーンだ!!!
白鳥の湖のテーマが頭から離れない
こんなに熱量のある映画はひさしぶりに観ました。どんな映画でもエンドロールの最後まで座って見届けるけど、今回は正直立ち上がれなかった。あんまり圧倒されてしまって、今も白鳥の湖のテーマがくり返し頭で鳴っています。怖くて哀しいけれどニナのバレリーナとしての生き様に胸が締め付けられました。素晴らしかったです。
凄いモノを観てしまった
ダーレン・アロノフスキーは紛れもなく天才だと思います。
まあ、あまり好きな監督ではないんですが。
『π』も『レクイエム・フォー・ドリーム』も凄いとは思いましたが、イマイチ、こう、ピンとは来なかった。
ああ、でも『ファウンテン』とか『レスラー』は良かったかな。
まあ、別に取り立てて好きな監督ではないです。
これからも、あまり好きにはならないかもしれません。
で、『ブラック・スワン』。
これは、何だろう。何だろうか。何でしょう。
この映画、監督とか物語とか脚本とか、結構どうでもいいです。
自分の中では。
うーんと、何て云うんですかね。
映画って、号泣したり爆笑したり激怒したり感動したり恐怖したり考えたり切なくなったり…ていう、映画鑑賞の最中、又は直後に感想持つと思うんですけれど。
大体そういう感情の動きってどれも同じで、何ていうか、こう「圧倒」されるという経験はそんなに無い。
「圧倒」されました。
物語に?
映像に?
ギミックに?
ナタリー・ポートマンにです。
彼女に尽きます。
本当、凄い女優さんになったんですね。
これ以上の感想は出ないな。
完璧。完璧。完璧。
今日の一句『白と黒 振り子の美学 銀を染め』
ダーレン・アロノフスキーは、前作、ミッキー・ローク主演『レスラー』同様、娯楽性とかけ離れた骨太ドラマに仕上げている。
主役に抜擢された喜びよりも、足を引っ張り合う競争にもがく負の要素にスポットに当て、華やかな舞台を裏側から露骨に描き出すスタイルは一貫しており、孤独感に蝕まれる主人公のダークサイドは、より闇を深めたと云えよう。
『大奥』や『ガラスの仮面』etc.が得意とする一連の陰湿極まりない女の闘いを彷彿とさせ、正直、苦手な世界観だった。
介護福祉士として働いている自分にとって、介護業界も女流社会である。
裏表の落差が激しい職場で女性の恐さを幾度となく目の当たりにした経験がフラッシュバックしたのも、今作の窒息度を濃くする一因となった。
特に、演技指導を建前に下心全開でダンサー達に接する舞台監督(ヴァンサン・カッセル)なんざ、《エグッ!エゴイストだらけの泥試合大会》の最たる人物で、言動の全てが憎たらしく、ナタリーの抱える頭痛が、観客一人一人に否応なく憑依してくる。
主人公が報われない息苦しい環境で最後まで追い詰める痛々しさ100%なのに、嫌悪感に徐々に面白さを見いだせたのは、圧倒的ナタリー・ポートマンの躍動感溢れる表現力に尽きると思う。
物語自体は、捻りを抑え、バレエ界の渦を豪速球で投げつけてくるため、巻き込まれる健気なナタリーの一挙手一投足に目が離せなくなる。
緊張と緩和、自由と拘束、禁欲と爆発、醜と美、理性と狂気、構築と崩壊、拒絶と誘惑、罵声と喝采、妬みと誇りetc.etc.…
対極に向かい、叫ぶ各々の性が、白と黒のスワンに凝縮されている。
彼女が舞台に没頭していく毎に、女優ナタリー・ポートマンそのものが蓄えてきた“陰と陽”の振れ幅を思い知り、客は問答無用で虜と化す。
狂気との衝突の果て、魑魅魍魎のショービジネスの駒である己を悟った彼女は、クライマックスで遂に舞台で運命を全うする。
エクスタシーの頂点に達した表情を目の当たりにした時、なぜかチャップリンの『ライムライト』のラストシーンが脳細胞を駆け巡った。
後味も切り口も両極端な作品にも関わらず、記憶蘇ってしまったのは、良くも悪くも舞台で命を捧げた人間の執念が銀幕に刻まれていたからなのかもしれない。
オスカーに輝いたのは当然やと思う。
では最後に短歌を一首。
『踊り娘を 掻き毟る夢 白と黒 傷に目覚めし 牙たちの渦』
by全竜
5点でもたりません ハラショー!
満足する映画に、久々に出会えたという感じです。
スワン クイーンに抜擢されたナタリー・ポートマンの、
舞台までのお話です。
心地よい恐怖と張り詰めた空気がたたみかけてきて、
すごすぎて、絶句。
バレエに特に興味がなくても、(男性の方でも)
是非、是非、劇場で見てほしい作品です☆
クライマックスは拍手で終わりますが、
こちらもスタンディング・オベーションをしたくなります♪
これが私の生きる道。
複雑な葛藤の数々が絡み合った
緊張と不安の果て,
終盤の「白鳥の湖」シークエンスが秀逸かつ衝撃!!
伝説となる完璧な舞台にブラボー!
ストイックであり切なくもある
バレエダンサーの孤独な戦いを的確に表現した主演女優,
ナタリー・ポートマンの存在感が素晴らしい。
無垢で儚げな白鳥と,
奔放で力強い黒鳥の対比が圧巻。
まさに渾身の演技だった。
重厚な音楽と,
抜群の演技と演出を堪能した!!
ナタリーの演技が、鳥肌もの。
NYに住んでいて、バレエ経験もあり、NYバレエ団の公演が好きで観に行くこともあるので、この作品はとっても楽しみにしていました。
映画が始まった時、「あれ?」と思いました。
Nina役のナタリーのバレエの演技が、普通。。。というかちょい下手。
進んで行くうちに、「あ、そういうことね。」とは分かるけれど、観ていて何だかドキドキ。
だって、本当にこのバレエの技術のままだったら、どうしよう・・・と。
いくら映画とはいえ、ちゃんとバレエの上手な人選んでるよね??とか。
ちょっと気になって、映画観ながらナタリーをgoogleしてみると、ちゃんと4歳から13歳までバレエの経験があるらしい。
そう聞いたら、なんだか安心して&期待して観られる☆
この映画の注目すべきは、人間の心理の恐さ。
なんだか、どこまでが現実でどこが幻想なのか。
毎回、「これこそ本当にやっちゃったのかも。」と、感情移入しまくって、ハラハラドキドキ。
そしてクライマックスに近づき、Black Swanの踊りを舞台で披露する、Nina。
これが、凄い・・・!鳥肌が立つくらいに、素晴らしい演技。
初めの方の下手くそなバレエは、布石にしか過ぎなかった。
(それにしても、ちょっと下手に踊りすぎてたけど・・・ww)
だけども、バレエとしての技術の未完成さをカバーするかのように、カメラワークが動き回りすぎるので、ちょっと酔いそうにもなったけれど。
それにしても、ナタリーの「バレエ」というよりも「何か乗り移ったバレリーナの役」をやっている姿は、瞬きするのも惜しいくらいの圧巻。
お勧めです!
“完璧”とはいかないアロノ不スキーバレエ団
ダーレン アロノフスキー監督といえば、「レクイエム フォー ドリーム」や「レスラー」といった作品がまず思いつきますが、本作「ブラックスワン」は「レクイエム~」や「レスラー」を超える素晴らしい作品になったのではないでしょうか?アロノフスキーワールド全快と言った感じですが、残念なことに「ザ タウン」のベン アフレック監督同様にエンディングで決定的なミスを犯してしまったように思います。それだけが非常に残念です。
ニューヨークのバレエ団に所属する主人公のニナ彼女は団長の目に止まり「白鳥の湖」のプリマに選ばれるのですが、決まったとたんに様々なことが起こり始めます。エロ団長の必要以上の要求、虎視眈々と彼女のポジションを狙うリリーの存在。母親との争い、彼女自身の完璧への拘り等彼女を苦しめる要素がたくさんあります。
注目はこの作品の演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞したナタリー ポートマンの演技と練習風景、豪華衣装の数々そして、何と言っても圧巻なのはクライマックスの「白鳥の湖」です。
ナタリー ポートマンは「レオン」から観ていますが、本当にすごい女優さんに成長したと思います。こういったハードな役に挑戦し見事演じきったように思います。一人の女優としてだけでなく一人の女性として見直してしまいました。ダンスの練習風景なんかも動きがシャープでキリッとしていてとにかく素晴らしかったです。そして、クライマックスでは優美と言う言葉がよく似合う動きと衣装の着こなしがとにかくよかったです。もうナタリー ポートマンの頑張りがあってこそこの作品はある程度良作になったのではないでしょうか?もちろんヴィンセント カッセルやバーバラ ハーシーさらには、ミラ クニスと言った豪華脇役陣もそれぞれの役を完璧にこなしていたと思います。
さて、この作品の決定的なミスは何なのかという点ですが、それはアロノフスキー自身が招いた失敗だと思います。何かと言うとクライマックスの「白鳥の湖」の最中メイク室でニナがリリーにあることが起きるのですが、その後その出来事が何もなかったかのようにリリーが普通に立ち上がってニナに話しかけているではありませんか?これはなぜなのかまったくわかりませんでした。アロノフスキー監督の真意がどこにあるのかよくわかりません。
しかし、これは傑作に近い良作です。多くの人に観てほしいそんな作品です。
芸を極める
プロの凄さ、役になりきる恐ろしさに圧倒された。
ニナとナタリー。
「白鳥の湖」と「ブラック・スワン」。
それぞれのシンクロが見事。
ナタリーの努力は並大抵のものじゃない。
観ているこっちも消耗し、燃え尽きた。
終盤の黒鳥のシーンは
美しく、おぞましく、
鳥肌がたった。
芸を極めることは、身を削り取るのです。
そうゆうことだったのか。。
意外な展開(内容)でした。 ナタリーの演技は申し分なく、「オスカー受賞おめでとう!」と 素直に言えますが、作品的には 苦手ですね。。 観ていて苦しくなるし、どうも ちがうスリル(SF系)を求めてしまう。。
製作者に『シャッター・アイランド』も手掛けた方がいたのも 納得。
孤独なバレリーナって、大変なんだなぁという印象が残る 作品。 (私的には)劇場じゃなくて良かったという 感想です。
アカデミー主演女優賞は確定!
ナタリー・ポートマンの美しさもさることながら極度の緊張感や苛立ち、葛藤・・・素晴らしい演技だった。バレリーナの役ということでかなり特訓もしたそうで役作りのための努力も随所に窺える。ホラー的な部分もありレズシーンもあり、なかなか凝ったストーリーで今年見た中では一番の作品。是非、彼女に主演女優賞を!
ゴールデングローブ主演女優賞は当然
映画「ブラックスワン」を観た。
第68回ゴールデングローブ賞映画部門で この映画を主演したナタリー ポートマンが主演女優賞を受賞した。予想通り。
これだけやって 女優主演賞が取れなかったら 余りに可哀想だ。100分余りの映画の間、彼女がアップで、または遠くから、横から 斜めから 下からカメラが追って 彼女がいないシーンなど皆無と言うほど 彼女が出ずくめのフィルム。一人芝居と言っても良い。音響も音楽よりも彼女の息遣いだけが サウンドになっている時が 嫌に多かった。それでスリラーとかミステリー効果を狙ったのだろう。
ナタリー ポートマンは 子供の時からバレエを たしなんでいたそうだが、この映画のため に徹底的に体重をしぼって痛々しいほど骨と皮になって 本当にバレエを代役なしで自分で踊っている。すごい。
今回 同じゴールデングローブ賞で、クリスチャン べイルが「ザ ファイター」で 助演男優賞を受賞したが 彼がまた 信じられないほど体重を落として ボクサー役を演じている。なんか俳優達が 役作りのために、そろって我慢大会をして やせこける映画ばかりが賞を獲って、「よく痩せましたね」の努力賞みたいだ。そんなに体重をしぼって 熱血熱演しているのだから迫力がある。痩せた熱血漢がヒーローになり、デブはお笑いコメデイをやるしかない という単純なアメリカ文化も やるせないが バレリーナもボクサーも体重をコントロールすることが条件だから それに合わせて俳優が伸縮自在になるのも 仕方がないことか。
ストーリは
ニューヨークシテイーバレエ団では 久々に大作チャイコフスキーの「白鳥の湖」に取り組むことになった。バレリーナたちは 誰が主役を取るのか 気もそぞろだ。遂にニーナ(ナタリー ポートマン)が主役に抜擢された。彼女は母親と二人暮らし。バレリーナだった母親は ニーナのバレエ教育に厳しく 健康管理や生活態度にまで うるさく干渉してきた。ニーナは 子供の時から そんな母親の期待にこたえようとしてきたから、プリマドンナに選ばれた歓びはひとしおだった。
地味でシャイなニーナが主役を射止めた一方、ニーナが怪我や病気をしたときに代わりに踊る代役に リリーが抜擢される。リリーは外交的で明るい性格。ライバル意識を隠そうともせず ニーナに接近してニーナの役を奪い取って自分が主役を踊りたい。ふたりのバレリーナの競争心や アートダイレクターとの関係も緊張感を増し 開演が迫るにつれ 互いのプレッシャーが、爆発寸前にまで煮詰まっていく。
この先は 一応この映画、スリラーとか、ミステリーということになっているので ストーリーを言うことができない。
ストーリーも ナタリー ポートマンのバレエもかなり期待を裏切られた。良いシーンは、二つほど。リハーサルで ニューヨークシテイーバレエ団オーケストラのヴァイオリン ソリストが立って 独奏するのに合わせて ニーナが踊るところ。もうひとつは、やはりヴァイオリンに合わせて 長いデュオでカップルが踊るシーン。天井の高いバレエスタジオで チャコフスキーが 素晴らしく響いていた。バレエの素晴らしさは やはり美しい曲と 見事な演奏なくしてはあり得ない。生の演奏に合わせて 踊り子達が跳躍する姿はとても美しい。
昔「アンナ パブロア」というフランス映画があって、忘れられない 素敵なシーンがある。アンナがひとり 劇場の様子を見に行ってみると、舞台のそでで初老の男がピアノを弾いている。アンナは新しいピアニストが 自分が踊る謝肉祭の「白鳥」を リハーサル前に 練習しているのだろうと思って、服のまま、舞台に立って ピアノに合わせて踊り始める。ダンサーもピアニストも 次第に熱が入ってくる。でも、どうしても1箇所 ピアノがワンテンポ遅れるところがある。アンナは「そこ、あなた まちがっているわよ。ワンテンポ 休符がはいるでしょう?」とピアニストに注意する。何度かやってみて、やはり、うまくいかない。そこで、ピアニストは「フムフム、ここで君は息継ぎをしないと 次の動作に入れないんだね。じゃあ君のために この部分を書きなおしてあげよう。」と老人は言う。「え、、あなたは誰?」驚いたアンナに 作曲家サンサーンスが 名乗りをあげる。若々しいアンナと 老紳士サンサーンスとの出会いのシーンだ。とても微笑ましい。良いシーンだ。
「ブラックスワン」同様ニューヨークシテイーバレエ団を主役にしたバレエ映画「ザ カンパニー」という映画(2003年)もあった。こちらの方が わたしは好きだ。プリマドンナに抜擢された娘が ニューヨークのアパートに一人住んでいて、バレエだけでは食べていけないので バレエの合間にカフェでアルバイトをしている。恋人(ジェームス フランコ)との付かず離れずの優しい関係も、現実のバレリーナの生活に近い。彼女が大役を終えて 仲間との打ち上げパーテイーも終わり、アパートに一人帰ってきて、お風呂に入る。公演のプリマドンナという重荷を下ろして 熱い湯に身を浸した瞬間に 安堵の涙がどうと溢れて すすり泣く。そのシーンにとても共感できた。観ていて自分の体のすみずみまで熱い湯がゆきわたるような気がしたものだ。うまい。プロが作る映画とは、こんなふうに共感、共鳴の波を作りだせるのか、と感心した。
「ブラックスワン」に共感できるところは、ひとつもない。またこのストーリーとニューヨークシテイーバレエ団とがマッチしない。10年前のキエフバレエ団なら 合うだろうか。
映画に出てきた主役と代役との葛藤は 興味深い。代役で 切っ掛けをつくり成功して 若い役者が主役以上の人気者になってしまう例はたくさんある。「アラビアのロレンス」は リチャード バートンにはずだったのが、ピーター オトッールが演じて成功した。「風と共に去る」は エリザベス テーラーでなく ビビアン リーが主演したから大成功した。未知数の可能性を持った 若い人が こんな風に代役を契機に出てくるのは良いことだ。
ハリウッドもそろそろ 女アクションはアンジェリーナ ジョリー、SFはキアノ リーブス、正しい人はべンゼル ワシントン、忠実な男は マット デイモン、強い女はヒラリー スワンク、変態はジョン マルコビッチ、死なない男はブルース ウィルス、精神病者はジェフリー ラッシュといった 繰り返し似たような役ばかりを 決まった役者にやらせる安易な使い方をやめて、若い人を発掘するべきなのかもしれない。
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