「吃音に向き合い努力したことが彼の人間の幅を広げた」英国王のスピーチ 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
吃音に向き合い努力したことが彼の人間の幅を広げた
王というスピーチが主要な仕事になる立場において吃音を抱え、それでも王の立場から逃げられないヨーク公の苦悩は大きかっただろう。しかし吃音に向き合い努力して克服した経験は、ヨーク公の人間の幅を広げ、彼の人生をより豊かにしたように思えた。また、ヨーク公が吃音になった背景をしっかり説明していたのも、ストーリーに深みをもたらしていて良かった。
王の立場から逃げられない状況と、言語聴覚士の激励でヨーク公に自信と覚悟は備わったことだろう。しかし、スピーチを苦手とし沈黙する場面も多かった序盤と、それを克服し多少流暢に話せるようになった最後とで、ヨーク公の中で具体的に何がどのように変化したのか分かりづらく、感動が薄かった。怒りの感情を示したときだけは流暢に話せ、それをトレーニングにも取り入れているのは分かる。しかしスピーチで怒鳴ることは無い訳で、克服の要因は別にある。そこをもう少し具体的に描いて欲しかった。
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