「人生万歳!友情と家族愛!自分の小さな悩みよ飛んで行け!」英国王のスピーチ Ryuu topiann(リュウとぴあん)さんの映画レビュー(感想・評価)
人生万歳!友情と家族愛!自分の小さな悩みよ飛んで行け!
吃音障害に悩む英国王ジョージ6世の真実の物語と言う事で、エリザベス女王1世が他界するまでは、映画化が叶わなかった作品だと言う話しを聞いた。たとえ国王と言え、欠点をも持ち合わせる、内気な一人の人間だと言う、当たり前のその真実が、今こうして映画で明かされる事で、どれだけの人々が救われる事だろうか!
地位や権力、名誉も財産も、およそこの世で人として持てるものは総てを手中にしている筈の国王にも、実は凡人と同じように、欠点や悩みが有り、その欠点克服を目指して、日夜や努力を続けて生きていると言うその事実。その姿を観る事こそ、この世界に生きて行く事の素晴らしさを訴えかける物語として、絶好の存在ではなかろうか?
素晴らしく希望に満ちた話しで、多くの方々がこの映画で自分の欠点を受け入れ、そして許し、その欠点の克服を試みる事にチャレンジする事が出来たのではないかと、推測するのだ。
誰もが生きる中で抱えている‘思い悩み’それは、考え方いかんでは、克服出来ない事では無く、むしろその欠点克服のプロセスこそがその人の人生の生きる希望や励み、そして生き甲斐へと、昇華する事が出来、そのプロセスを誰か他の第三者が知る事で、その誰かの心の救いと励みになり、自分では分らないかも知れないけれども、大勢の人々の生きるプロセスの励みになってゆく事に気付かせてくれる作品だ。そう映画の中で「自分の影に怯えずに、きっとそれを克服出来る」と言うセリフがあった。
一人一人、生きている環境や、その能力や才能、性格、健康状態、経済状況と全く同じ人生など存在しない。そしてこの世に生を受けた人達は、みんな生きる権利を平等に持ち、その人生を存分に生き抜く事が、その人に課せられた使命ではないだろうか?
そして、この映画の魅力は、コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュと言う確かな演技力を持つスター俳優の芝居力に支えられている。
特にコリン・ファースの演じる英国王の初めの弱々しさも、ラストでは全くの別人を想わせる程の立派な国王になっているその姿は、まるで蝶の脱皮のプロセスのような美しい変貌である。そしてイギリスならではの、ウイットなユーモアたっぷりのセリフ展開により、テンポ良く観客を映画の世界へと誘ってくれる近年稀にない秀作の1本と言えると思う。アカデミー賞を獲得する事こそ、正にふさわしい作品だ。
しかし、このトム・フーパーと言う監督は、本作が3作目ということ、脚本も彼が手がけている事には驚かせられる。
このように素晴らしい作品を広く世に送り出す事が出来る英国王室の在り方にも感動を憶える。この監督の素晴らしい本作はきっとその影には、このジョージ6世の人生さながらの素晴らしい努力の人生が有った事だろうと推測するのだ。今後の彼の作品が益々楽しみである。
人は皆、多くの人たちとの繋がりの中で、その人生を互いに影響し合って生かされている。多くの人達がこの映画で、1歩でも、より良い満足を得る人生を選択するきっかけを、本作から得る事を願って止まない。映画のある人生、これも本当に素晴らしいものだ!是非この感動を分かち合って欲しい!