「こんなコリン・ファースは観たことない!」英国王のスピーチ 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
こんなコリン・ファースは観たことない!
私のコリン・ファースのイメージといえば、誇り高き知識人という感じ。だが、今回の「ジョージ6世」役では、吃音に気をとられがちだが、かんしゃく持ち、ヘビー・スモーカー、コンプレックスのかたまりといった今まで演じてきていないタイプの役柄だ。それを大げさに演じずに、気品を持ってなりきっている。オスカーは、実在の人物やハンデがある人を演じると獲りやすいのは確かだが、納得の演技だった。また、いつもは一風変わった女の人を演じることが多いヘレナ・ボナム・カーターが、夫を愛し、陰ながら支える良き妻を演じている。こんなに温かみのある女性を演じられるとは思ってもみなかった。ジェフリー・ラッシュのうまさは今さら言うまでもない。この3人の演技のコラボレーションが感動を呼ぶのだ。また、吃音について、ただ対症療法を行うのではなく、その原因を背景から探ることも必要だというのも興味深かった。国民にとっては、たかがスピーチじゃないかと思っていたが、する側にとってはこんな気持ちが込められていたのかと知った。そのため、3月11日の東北・関東大震災に際した天皇陛下のビデオのスピーチに思わず、姿勢を正して聞いてしまった。イギリスと日本の差こそあれ、違いはないと思われたからだ。礼。
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