「痛みを知っている王様だから応援したくなる」英国王のスピーチ harizoさんの映画レビュー(感想・評価)
痛みを知っている王様だから応援したくなる
いやーアカデミー賞、4部門受賞しましたね。
人ごとながらなんかウレシイ♪
今作は観る前の予想より断然良かった。
これは上手く説明できないけど、観ると納得という感じ。
素直に祝福です☆
英国王ジョージ6世(愛称=バーティ)がなぜ愛されたのか
がよくわかる。
彼の抱えたコンプレックスとプレッシャーを知ることで
王家だろうと一般人であろうと、同じ人間であるとこに
変わりはなく親近感すら覚える。
(弱さを強さに変えて人にも優しくなれたんだなぁと)
バーティを演じた(コリン・ファース)。
空気をかむようなあの演技、やっぱ上手い。
昨今では「シングルマン」とかも良かったけど
繊細な心の感情のふれ幅、魅せてくれるよねー。
弱いとこも癇癪持ちなとこも、でも品格や気高さは
ちゃんとあるたたずまいも、ステキでした☆
主演男優賞受賞、心からおめでとうですw
最後のテロップでもちゃんと事実上、生涯の友として
記されてたのがうれしかった言語聴覚士
ライオネル(ジェフリー・ラッシュ)。
今回もめちゃハマり役☆
コメディに感心が強いだけに間の取り方が絶妙。
時に型破りな治療法をし、屈託ないユーモラスさと
シリアスな本音の織り交ぜ方の緩急のバランスが良かった。
バーティの感情を刺激し、頑な心を開かせ本当の友達だと
思えるよう打ち解けてくシーンは、とても温かく
怒りを希望に変えてくれるマジックのようでした。
実際、ジョージ6世は継承者が誰もが兄だと思っていた中
王としての教育も期待もされてなかったから、
彼の抱えた問題”吃音=どもり症”は、紐解いていくと
結構、小さい頃の王室であるゆえのメイドからの兄贔屓や
強制がトラウマや引き金になってたりで、なかなか切ない。
そんな中、兄エドワード8世が思わぬ「王冠を賭けた恋」に
走ってしまったもんだから、王座のお鉢が廻ってきてしまい
自信も勇気もないジョージが泣いてしまうシーンは
もらい泣きしてしまった。
そこで、また妻(ヘレナ・ボトム=カーター)の台詞が
深い愛情と包容力でぐっときたりも。
あと、ラストのナチスとの開戦を前に不安と緊張感の高まった
国民の前でするスピーチがお約束でありながらもやはり良かった。
たどたどしい口調でセンテンスごとに慎重に発せられた言葉が
一人一人の心にしっかり響き、ただのスピーチだというのに
バックに流れるベト7も相乗効果で、手に汗握る高揚感と涙でしたw
この作品、心と心が近づく瞬間(ジョージ6世&ライオネル)
だったり(王家と民衆)だったり、よく知らなかった相手との
距離が縮まり親近感がわく持っていき方、自然さに感服です。