「放送禁止的な言葉を連発しながら吃音という欠点克服に努力する王の姿に親近感と共感を覚えさせて見事」英国王のスピーチ Kazu Annさんの映画レビュー(感想・評価)
放送禁止的な言葉を連発しながら吃音という欠点克服に努力する王の姿に親近感と共感を覚えさせて見事
トム・フーパー監督(レ・ミゼラブル(2012)等)による2010年製作のイギリス・オーストラリア合作映画。原題:The King's Speech、配給:ギャガ
エリザベス女王の崩御により、英王室への関心が高まり彼女のお父さんジョージ6世の映画を視聴。全体的に、とても丁寧に作られた良い映画との印象。
脚本のデビッド・サイドラー自身が吃音で苦しんだらしいこともあってか、国王ジョージ6世の吃音とそれを克服させたオーストラリア出身の言語療法士ライオネル・ローグの反発〜友情を形成していく物語の組み立てがとても綿密。また、残念ながらアカデミー賞は取れなかった様だが、妻を演じたヘレナ・ボナム・カーターの協力ぶりも感動させられた
吃音克服したジョージ6世のラストのスピーチのトーンがなかなか感動的に感じた。ただ、英語発音のニュアンスがきちんと分からず、そのゆっくりとしたスピーチがどれだけ心を打つものかが十分に自分には分からないのがとっても残念。
スピーチがどうだった?と問う父親に、「最初は危なかったけど、持ち直したわ」と冷静に答える長女マーガレッットの姿が、何とも利発で可愛らしかった。
兄のエドワード8世も吃音を囃して意地悪だが、その妻となるシンプトン夫人の描写のされ方が英国人的というか、かなり悪意は有りそう。とは言え、イヴ・ベスト演ずるシンプトン夫人は本人写真に良く類似し容姿に魅力が乏しく、現国王と同様、英国王家は美人が嫌いな家系なのかなとも思ってしまった。
「最初は危なかったけど、持ち直したわ」
どこかの国とは異なり、決して神格化せず、放送禁止的な言葉もを連発しながら欠点克服に努力する王の姿を描いて、王室に親近感を覚えさせてしまう英国映画界の姿勢に、羨ましさも感じた。
製作イアン・カニング 、エミール・シャーマン、 ギャレス・アンウィン、製作総指揮ジェフリー・ラッシュ、ティム・スミス、ポール・ブレット 、マーク・フォリーニョ 、ハーベイ・ワインスタイン 、ボブ・ワインスタイン、脚本デビッド・サイドラー、撮影ダニー・コーエン、美術イブ・スチュワート、衣装ジェニー・ビーバン、編集タリク・アンウォー、音楽
アレクサンドル・デスプラ。
出演コリン・ファース(ジョージ6世)、ジェフリー・ラッシュ(ライオネル・ローグ、ミュンヘン等)、ヘレナ・ボナム・カーター(エリザベス、アリス・イン・ワンダーランド等)、ガイ・ピアース(エドワード8世)、デレク・ジャコビ(大司教コスモ・ラング)、マイケル・ガンボン(ジョージ5世)、ティモシー・スポール(ウィンストン・チャーチル)、ジェニファー・イーリー(ローグ夫人)、イヴ・ベスト(ウォリス・シンプソン )。