「境遇と葛藤」英国王のスピーチ bg dauさんの映画レビュー(感想・評価)
境遇と葛藤
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この映画は究極に綺麗な「いい話だった」スタイルだと思う。
幼い頃,立場こそ王族だがそれであるが故に生じる家庭環境における様々な問題により,吃音症を始めとする体の異変を抱えながら成長したアルバート。やがてそれを克服すべく葛藤していく彼の姿勢も良いと思うが,いい医者を見つけることに専心するアルバートの奥さんも良かった。
そしてアルバートの治療に専心するライオネル。ライオネルがアルバートとの関係に悩んでいた際ライオネルに気遣いながらも助言するライオネルの奥さん。
アルバートとライオネルの絆が深まる所ももちろん印象的であったが,奥さんのさり気ないサポートが印象的であった。
悩みを抱える人間というのは,周りのとても大事な人間の様子の変化や,サポートがないと生きていけないのだということを再認識できた。
前者に関しては,ライオネルと絶縁状態,つまり絶対的なサポートがない状態で不安定だったアルバートは,「自分が国王になったことで娘達の様子が変わった」ことを見て,考えを変えライオネルに謝罪に戻る決心に繋がったのかなと思った。
後者に関しては,映画を見れば分かるがアルバートは様々な人のサポートにより吃音症をなんとか克服できていた。彼は王族だからそのようなサポート体制が整うのは当然の筈であるが,それにしても人間の「手を差し伸べる行為」というのは本当に素晴らしいなと思った。暖かくて,感動した。
音楽の使い方も絶妙,最後の演説のシーンはジョージ6世としての気迫や意気込みが感じられる演出で良かった。
テンポも良く,見ていてかなりスッキリした。見てよかった。
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