エル・トポのレビュー・感想・評価
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映画のジャケットは渋い
アレハンドロ・ホドロフスキー監督のオカルト映画。 ストーリーは鑑賞して下さい。 主人公は最強のガンマンらしく馬に全裸の息子を乗せて旅をしている様だ。まるで日本版の子連れ狼の様に見える。いや、全く別の物です。 荒野の砂漠で訪れる村は海賊に襲われ人々が無惨に殺されています。 とにかく血が赤いのが印象に残ってしまう。 そしてセリフがなくキャストの演技もあまりなのでストーリー性もしっかりしているが、いかんせん伝わりづらい。 感想はやっぱり難解です。 しかし、映像表現の自由を思いっきり振りかぶっているのは伝わります。 当時のジョンレノンが評価されて話題の映画になったと。そりぁ話題になるかと。 あとは、芸術的なセンスが良いのか?私にはまだまだ思考が追いつかない。 コメディー要素があり宗教的な観念が強い作品なので刺さる人にはたまらないんだろ。 また、障害者のキャストをあれだけ起用しているのも凄い。しかし障害者の人間を純粋な人間であるように描いているのも印象的だ。 メッセージ性の強い作品だけに見たい人だけ観てくれと言う、興行収入に囚われていない作品には間違いない。 あと、主人公の息子のチンチンのボカシは必要なのか? まぁ大人の事情でしょう。このような作品も刺激になります。
好奇心は満たされる。
円盤を購入して何度も鑑賞するほど好きな映画です。 売り文句はジョン・レノンがイチオシの映画らしいけど、単純に見世物小屋を覗いてみる感覚で鑑賞。 前半、フリークスガンマンの対決と後半のよくわからない宗教観のタッチの違いについていけなかったけど、好奇心は満たされた。
冒頭のナレーションが全てかと。。
ジョン・レノンや寺山修司が絶賛したとされるこの映画、グロテスクともいえる美しい映像と強烈なメッセージが印象的です。
エル・トポとはモグラのことで、太陽を求めて生きるが、太陽を見ると目を失う。
冒頭のこのナレーションが全てを表すように、天才的な達人ともいえるガンマンたちに戦いを挑み、卑怯な手段で勝ち進むものの、最終的には自分の引き起こした結末に絶望し、自ら命を断つという悲劇的なストーリー。
ある一人の達人、老いた姿であるにもかかわらず、ピストルの玉を虫取り網で取ることができ、いくら撃っても取られてしまう。
老人は問う、なぜ戦うのかと。
主人公が答える、あなたを倒して最強になりたいのだと。。
老人は、あぁそんな事が望みなのか、それなら簡単だと自らの心臓を撃ち抜く。
死にゆく最後に主人公に問いかける。これで満足かと。
人は、希望を持つことが大切で、それが叶うかどうかではなく、その希望に向かって生きることが大切なのだと。
希望の先に幸せが待っているのか、それとも不幸があるのか、それは誰にもわからないが、人は希望なしには生きられないのだと。
後半のフリークスを穴倉から解放した結末は、現在では倫理的に許されない表現になっていますよね。
逆に、表現の世界までも、一般常識的な倫理感で批判する現代もどうかと思いますが。
美しい映像と、メッセージの強さが長く記憶に残る名作だと思います。
今となっては見れる環境ですら無いので!
なんらかの方法で見たいですね。 ホーリーマウンテンやらサンタサングレやら名作揃いなので! つうか感想書こうと思ったら見たのが昔過ぎて ほとんど覚えて無いし感想になってないですが とにかく強烈な印象の作品ばかりだった記憶あります。
メキシコが作ったタコス・ウェスタン!
2回目の鑑賞になるが、初見をよく覚えていない。
初見はバブルが弾ける前だと記憶する。新宿の『ですこテック』の帰りに、小岩にあった今は無き『ビデオボーイ』のレンタルビデオで見た。
一緒に借りたのが『旅芸人の記録』で、最初に旅芸人を見たので、エル・トポも早回しで見てしまった。だから、エロ・グロ・ナンセンスな映画と偏見を持つことになった。しかも、身体障害者に対する差別と一方的に解釈したようだ。
さて、
地下の売春ルームの様な所で乱痴気騒ぎをする場面があるが、当時行った『ですこテック』に似ているって思った。だから、初見を思い出した。
結果論ではあるが、資本主義の矛盾を『ですこテック』で感じたと、今は言い切れる。
この映画、色々な仕掛けを残していると感じる。何回か見てみると、その仕掛けに気づくかもしれない。何れにせよ、大傑作だと今は断言する。
但し、どんな監督とか、カルト映画なるモノが何なのか全く知らない。僕はメキシコが作ったタコス・ウェスタンと思っている。
こじつけになるかもしれないが、身体障害者を受け入れる事の出来ない街の人達はアメリカ人で、身体障害者はメキシコからの不法入国者に見えた。勿論、監督がそんな事知る由もないだろうが。
ゴ・ディン・ジエム時代に起きたサイゴン(?)での、仏教僧の抗議による焼身自殺が監督の頭の中にあると思う。ベトナム戦争が激化する前に、日本の廃仏毀釈の様な弾圧がベトナムではあって、そういった抗議の中にこの焼身自殺がある。1963年の出来事。そして、映画は
ベトナム反戦運動の真っ只中。
深いね
はじめの入り方は「お!おもしろそう!」と思わせる映像が 淡々と流れるんですけど、カルト映画だけあって その後の展開について行けない。 次々と残虐されていくシーンは、ファニーゲームを 思い起こさせる感じがしました。DVDの監督インタビューで はじめて、エルトポが4人の達人を倒して、自身が吸収し 成長していく過程を描いているのだと理解しました。 そうしてみると、最後のシーンでエルトポの成長した姿がはっきりわかりました。
コントがはじまる‼️❓
私には、マクベスのコントと同じ様なものにしか見えないのです。 神木隆之介や菅田将暉が出てないだけで、女優は芳根京子ににてるけど。 なんだろう、ジョンレノンやウォーホールが誉めたら芸術なのだろうか、ジョンレノンは音楽以外わからんと思うが。 とはいえ、シュールでアバンギャルドなので、赤塚不二夫の五分の一くらいは面白い、のだ、シェー。 下品な笑いではある、奇形や障害を貶し、動物を虐待して、穴に落として、気分は良くない。 まあ、下品でも、くだらなくても、芸術は自由だけど、倫理も無いけど。 少なくとも、私には、品質の悪いところが目につきました。 話のタネには、どうぞ。
今昔
エルトポ 監督のインタビューでは、崇高の精神と平和をテーマにした映画であると語っていた。 映画としては面白い。50年も前の作品なら奇抜だ。 深い意味等、一つも無い。日本では、テレビも白黒、洗濯機、クーラーが高級品の時代の話だ。昔なら当たり前の哲学や感性を表現している。 ストーリーにわからない箇所等、一つも無い だが、3人の盗賊+大佐 4人のガンマン、同性愛、女の裏切り、蘇り、再会等を120分に詰め込むと、簡易なあらすじの寄せ集めの製作になり、映画製作当時(今の40代以上)の年代なら違和感無く見れても若い世代なら、今昔の差で時代の違いで理解できない事だらけでは無いかと感じる。 全ての年代にわかりやすく面白いと思わせるには、倍の時間の製作が必要であろう。ジョンレノン活躍の娯楽少ない時代では斬新な傑作映画であろうと思う。
未来人から観た『エル・トポ』
いやはや、噂に違わぬ元祖カルト映画でした。公開当初はトンでもない怪作として受容されてきたと思います。
しかし、「エンドレス・ポエトリー」を経た現在、本作はサイコマジック前夜を描いた映画と言えるでしょう。とてもホドロフスキーのパーソナルな映画で、父親ハイメとの葛藤・自分を生きる・生きる意味といった彼のテーマが思いっきり描かれていました。未来人として本作を鑑賞すると、実に解りやすい映画でした。
序盤から、父親をイメージさせる大佐と戦い、倒した後に去勢して、その直後に大佐の女を連れて、7歳の息子を捨てて旅立つという、さっそくサイコロジカルな展開。主客が入り混じりますが、思いっきりエディプス・コンプレックスの話です。これはアレハンドロがつい最近まで抱いていた根本的な問題です。
エンドレス〜以後だと、「冒頭はハイメがエルトポで、ぬいぐるみと母の思い出を埋めさせられる息子がアレハンドロね」「トポがアレハンドロになった。あー大佐がハイメね」「あっ、トポがハイメに戻ってアレハンドロが捨てられた」等々、割とはっきり伝わります。若きアレハンドロは苦悩してますなぁ。
その後、トポ=アレハンドロは、砂漠で女(母とも読めるが、これも父親っぽいな〜)に「砂漠の腕利き4人を倒せ」とけしかけられ、言われるがままに倒していきます。
「倒せ」といわれ「倒す」。これは、自分の人生を生きてないですねぇ、虚無ですねぇ。この時はエンドレス〜ばりに老ホドロフスキーに登場していただき「自分を生きろ!」と一喝してほしかったです。そんな訳で無意味な最強になったところでトポは何も得ません。
そして後半。フリークスたちの神となったトポですが、髪を切り髭を剃り、ひとりの人間に戻ります。ここはエンドレス〜でも繰り返し描写された「脱ぎ捨てる」イメージですかね。古い自分を脱ぎ捨てる=死と再生なので、この後、小人のパートナーとともにパントマイムに興じるアレハンドロは幸せそうです。自分を生きてるね!
フリークスとアレハンドロの関係ですが、彼はフリークスたちに自分を重ねていたのでしょう。同種の仲間というシンパシーを持っているので、その後もやたらとフリークスたちが彼の映画に登場してます。そうだろうなぁ、とは感じていたのですが、本作で確信しました。
そんな感じで1970年のホドロフスキーの心象風景がダダ漏れしている本作です。まだサイコマジック以前なので、終わり方も未治療!って雰囲気です。あのエンドレス〜の究極の安息をもたらす結末を描けるまでに、ホドロフスキー師匠は45年くらいかかった訳です。長い旅ですが、それだけ彼にとっては苦しい戦いだったのでしょう。
21世紀に生きて、エンドレス〜を鑑賞できる未来人たる我々は、本作を若き日のホドロフスキー師匠のドキュメンタリー映画として楽しむことができると思います。
ホドロフスキー的ツァラトゥストラ
冒頭はホドロフスキーの息子が愛らしいシュルレアルな印象的なシーンに始まる。 エル・トポが「私は神だ」という超名言を吐き、砂漠内の強者を西部劇風に倒しながら、自身の精神昇華を目指すというストーリー、そして後半の「詩篇」においては「創世記」「預言者たち」とはうって変わり、洞窟内のフリークスらに神として崇められるエルトポが街へ降りていき、腐りきった下界の姿を目の当たりにするという壮絶な構成だ。 最強を目指す戦いの中で、やがて彼は命というなんの意味の無い殻に閉ざされた人間の無意味さを知り、ニヒリズム的絶望へと至る。 洞窟の外の世界は、五体満足にも関わらず、人間らは下らない宗教の崇拝や人種差別で溢れかえっている。エル・トポは、それらに対する批判_村を自らの手で殺害し自身の命も絶った。そして彼の精神は人間を超克し、息子に受け継がれた。そして物語は、大量殺害のあった村へと回帰する。 これはホドロフスキー的《ツァラトゥストラはかく語りき》だ。 映画という媒体を持って我々の精神に訴えかける、あるいは覚醒させようとしてくる。これこそが芸術であり、これこそが映画である。
ホドロフスキー特集
醜いブルジョワジーな婆ア集団に滑稽な黒人奴隷への扱いと皮肉まじりなホドロフスキーの毒が炸裂。 芸術的な色彩感覚に目を奪われるイメージのホドロフスキーだが本作に限っては彼流の西部劇から埃まみれに土臭い絵画的な美術センスが際立つ。 息子を捨て女の為の行動から裏切られ改心し失望して焼身し全て自分の為の行いであまりにも自分勝手な姿が自由に生きる今のホドロフスキーを彷彿とさせられる感じもする。 主人公を含めた人間の愚かさに容赦無い弱者に対しての疎外感に振るわれる暴力に動物愛護団体から訴えられそうな動物の死骸の応酬に呆気にとられる。
ホドロフスキー版 子連れ狼&許されざる者かと思いきや
ならず者が跋扈する荒廃した砂漠で幼児と旅する主人公がガンガンならず者を殺してく(だけでなくこっそり金品をせしめる)という子連れ狼&許されざる者なのかな〜と軽く観ていたら、そうは問屋がおろさない。 さすがはホドロフスキー。西部劇の体裁をとりつつも、ご自身の神秘主義的要素やメタファーをがっつりぶち込んでくる。 意外にも主人公が苦難の末、強敵を倒すも自身の虚像性に気づき、没落後に聖者として崇められるという筋はキリスト教的でもあるし、 彼が忌み嫌うハリウッドメソッドも踏襲しているのではないかと思い、非常に興味深かった。 中盤で出てくる預言者の存在、ファムファタール、フリークスの村落と街の比較等意義深い示唆を含んでおり、何度観ても発見と教示があるのだろう。 カルトムービーとなってしかるべき作品。
初志貫徹
作品内の全てにおいてフォーマットっぽいものが一つもなく、オリジナル感にとらわれていく感じでした。 カルト映画と聞いてましたが、思っていたよりもストーリーが思慮深く、終盤は心あたたまるシーンや辛くて観ていられないシーンなど、しっかり本筋のある作品でした。 それにしてもあれだけの障害者のエキストラをどのようにこの作品に出演してもらったのか、ホドロフスキーに大きな興味を持ってしまいました。
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