しあわせの雨傘のレビュー・感想・評価
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お飾りマダムの覚醒
VODでおすすめされたので観てみた。
最初にマダムのジョギングコースでリスの愛の交歓(!笑)の場面が映って、これってどういう意味?と思いながら観ていくと、この作品では「愛の国フランス」を謳い上げますよ、という監督からのメッセージだったのだと分かる。ラストもまさかの元サヤ。しょうがないなぁ、もう、という感じで、マダムは愛の人。だから沢山の人が懐き、応援したくなるのだろう。
作品を見終わった後には、誰にでも(他人にも自分にも)寛容なのは、誰にでも非寛容なのより、良いっちゃ良いのかも、と思ってしまう。笑。人は愛し愛されてナンボ、みんな人生を(そちら方面でも)楽しみましょう!というフランス式生き方のすすめなのだった。
ちなみに本作の設定は1977年とのことで、1971年に343人の女性たちが始めた政治運動が実って1975年の避妊・中絶が合法化された直後。でもこの作品では、それまでのフランス社会でも、息子くんや、彼が結婚したいと思った女性のように、人生を楽しんだ結果産まれた命もおおらかに育んでこられたのが分かるようになっている。
この愛の国で愛多き人生を謳歌してきた主人公のマダム役はカトリーヌ・ドヌーヴ氏にぴったりだった。彼女を撮るために企画された作品なのかなとさえ思ったけれどどうかな…。やっぱり大女優さんはコメディをやっても上手い。それにライン入りのジャージにカーラー頭のアイデアとか、とてもお茶目でかえって素敵だった。
人生は美しい♪
フランスの大女優
カトリーヌ・ドヌーヴ主演作品
代表作「シェルブールの雨傘」🌂は
あまりにも有名です。
(1964年カンヌ国際映画祭グランプリ)
悲恋ミュージカル
美しい映画音楽が
悲しみを誘ったものです。
確か、「世界で一番美しい人」が
キャッチコピーでした⭐
フランソワ・オゾン監督と
カトリーヌが組んだ
「8人の女たち」もありますね。
歌うシーンも多くあり
印象に残っています。
この「しあわせの雨傘」でも
キッチンで口ずさむシーンあり
ステキな歌の披露がありました。
原題は、「ポティシエ」
意味は、棚や暖炉の上に飾られる
豪華だが、実用性のない花瓶や壺の事
だそうです。
カトリーヌ演じるスザンヌは
雨傘工場を経営する夫、ロベールの奥様
朝は、ジョギング、
趣味は、ポエム作りが日課というブルジョワ主婦。
娘や、息子、周りからは
夫のいうことを何でも受け入れる
「飾り壺」と思われていた。
そんなとき、工場のストライキ問題などの
心労から夫が倒れ、
スザンヌは工場の運営を任される。
結果・・・・大盛況(^^)/
社会の中に、自分の居場所を探す女性を
描いた作品を作りたかったという監督の
言葉通り、
生き生きとした表情で働く
スザンヌを応援したくなりますよ。
イエローのキッチンや
お部屋の調度品
ブルーのベッド等
どれも、お洒落でステキ
真っ赤なジャージ姿の大女優
カトリーヌ・ドヌーヴ様
お茶目でした。
あと、
名優、ジェラール・ドバルデューが
市長役で登場されます。
朝の薔薇~🌹昼に咲き乱れ
はかない運命 夜は、枯れゆく・・
(スザンヌの詩)
「人生は、美しい」💗
カトリーヌ・ドヌーブをいじりまくり
邦題は確かに雨傘会社の社長夫人ではありますが、あの名作にこじつけたのでしょう、原題の“potiche(ポティッシュ)”とは、花瓶とか飾りのついた壺のようなもの、劇中で主人公のスザンヌ・プジョル( キャサリン・ドヌーブ)夫人を揶揄しています。
カラフルな森の映像に少女のようなジャージ姿の微笑ましいカトリーヌ・ドヌーブの登場から昼顔をもじったかのような破廉恥エピソード、おフランスではこんなに乱れているのかそれともゲイのフランソワ・オゾン監督ならの辛辣さなのでしょうか、あっけらかんとしているので笑えますが。
変身に次ぐ変身、最後は歌まで歌って大団円。カトリーヌ・ドヌーブをいじりまくったファミリー・コメディでした。
単なるお家騒動ではない
飾り物だったブルジョワの奥様が社会で活躍するはなしのなかで、監督が描きたかったものはなんだろう。と考えていると、あることを思い立った。マダムピュジョールの意思決定の早さだ。それは夫とも対比的。女性の強さがわかる一方で、ピュジョール夫人の娘は、夫の仕事を理由に家庭に入り、父親の傘の下にはいる。これは何を意味するのだろう。
ともかく、最後はみんなハッピーになってよかった。
ストーリーがばらけてる
主人公は平凡な主婦から社長になる話、と思いきや…
若い頃から遊びまくってて、息子は不倫したすえにできた子だし
ずっと思っててくれた昔の恋人は裏切るし。一体何を言いたいのかがよく分からないままでした。
女性は社会に出るべき云々より、人としてどうなの?っておもう。
飾り壷さ・・だが、空じゃない。
映画「しあわせの雨傘」(フランソワ・オゾン監督)から。
冒頭のリスの交尾シーン、何度か登場するセックスシーンが、
妙にリアルで、ちょっと下品だったなぁ・・が第一印象。
カトリーヌ・ドヌーブ扮する「セザンヌ」着用の
赤のジャージと青のジャージは、何を意味するのかさえ不明だった。
メモした台詞は少なかったけれど、
作品中に何度も登場する「飾り壷」という単語が引っ掛かった。
「ママみたいにはなりたくない。『飾り壷』には」と、娘が母に言う。
同じ単語を、日本版の予告編では「お飾りの妻」と訳していたから、
ただ、そこにいればいいだけの(役に立たない)存在として、
お気楽なブルジョア主婦を位置づけているのはわかる。
最後には、選挙に当選してハツラツと演説している彼女をテレビで観ながら、
夫・娘がこんな会話をする。
「飾り壷、と思っていた」「飾り壷さ・・だが、空じゃない」
外見は「飾り壷」のように見栄えがよく、誰にも羨ましがられ、
さらにモノを収納できる本来の壷としての役割も果たせる、
きっと「役に立つ」という意味の「・・だが、空じゃない」と続く。
彼女にとって、最高の褒め言葉としてメモをした。
壺じゃないもん!
名画座にて。
ドヌーヴの赤ジャージ姿とホットカーラー頭(彼女の発案らしい^^;)に
やられてしまった男性陣が果たしていたのか!?とやや不安になる作品。
「シェルブールの雨傘」の頃と比べるとかなりの貫録!が出た彼女だけど、
気強い上品さはホント変わらない…。美しいなぁ、あの立ち居振る舞いv
実は監督名を見るのを忘れていた。…オゾンだった^^;あ~やっぱり。
下半身の節操のなさをしつこく見せる姿勢、そして多大なる女性賛歌、
早く気付くべきだった…。まぁ冒頭のウサギの交尾場面で分かりますよね。
しかしシェルブール~なんて吹っ飛ばされたかのようなこのコメディ。
物語は二転三転、ドヌーヴが飾り壺(のようなつまらない主婦)からいかに
変貌を遂げるか、がこれまたしつこく!描かれていきます。
オゾン大好き!しつこいのが大好き!な人には超お薦めのストーリー。
キャストがまたいいんだわ^^;
彼女の夫・ピュジョルに嫌味なまでに面白い顔と演技のF・ルキーニ。
彼女の元恋人議員・ババンにマトリョーシカみたいな体型のJ・ドパルデュー。
娘にまだまだ美人のJ・ゴドレーシュ、息子に演技派のJ・レニエ。
ブルジョワ主婦にすぎなかったお飾り妻が、夫の代理で任された傘工場の
立て直しを独自の方法で成功させ、いよいよ本能に目覚めていくお話。
舞台が'77年…だから、まだまだ階級格差が大きく男尊女卑な時代。
M・アントワネットをもじった皮肉をいうシーンも描かれ、あぁそんな
時代に女が実権を握る、ってすごいことだったんだよな~と素直に感動。
女が男を凌いでいく姿に貫録のあるドヌーヴは体型からして打ってつけ。
対して娘は、母親を裏切ってまで夫を立て続ける妻だったりして…^^;
なんというか、こういう女同士(しかも女じゃないと分からない感情)の
やりとりが巧いのよねぇ~この監督。やはりゲイだと分かるのかしら。
ドヌーヴが実権を握り、ハッピーエンド!かと思ったらまた一悶着、
貞淑な妻だとばかり思っていた彼女の過去が露呈されて^^;
あれれ…と思っていると終盤で爆弾発言、で、また一悶着、最後は
ドヌーヴ祭り!!で幕を閉じる…という、ドヌーヴと女性のための作品。
(あ、傘も出てきますよ?少しですが。けっこうお洒落です、少しですが^^;)
ジャージを着ていても、ドヌーヴはドヌーヴ(笑)。
コメディーを演じたかったドヌーヴが嬉々として演じる、単なるお飾り妻(原題=飾り壷)のスザンヌが政治家になるまでを描いたハートフルコメディー。
相変わらずオゾン監督は女性を描くのが巧い。亭主関白な夫の言うなりになって、ジョギングと詩作と刺繍に精を出す専業主婦。自ら行動し意見するなどとんでもない、雨傘工場を経営する夫の影にかくれ、それなりに満ち足りた生活を送っていた・・・はずだった・・・夫が心臓発作で倒れるまでは。70年代のフランス、女性の地位はまだまだ低かった。夫に代わって雨傘工場を経営するなど考えられない時代。しかし、飾り壷だった妻は、夫とは真逆な経営方針で、傾きかけた工場を立て直す。面白いのが経営学を学んだことも無い彼女が、社員と信頼関係を築き、リストラを一切せずに運営していく。
ありえない話といってしまえばそれまでだが、心から彼女を応援したくなる。
通常ならワンマンだった夫が失脚してメデタシメデタシになるのだが、オゾン監督がそんなセオリー通りの映画を作るはずがない。帰ってきた夫によって彼女は再び飾り壷の座に逆戻りするのだが、一度壷から流れ出た水は元には戻らない。離婚を決意した彼女は、女性の地位向上を訴えて、何と議会に立候補する。
日に日に活気付き輝いていく妻に比べて、「してやったり」のはずの夫がどんどんしょぼくれていくのがおかしい。離婚協定中であるにもかかわらず、情けない顔で妻のベッドに潜り込んで来る夫が何だかカワイイ。オゾン監督は男性の情けなさを描くのも実に巧い。
女性上位時代の到来を高らかに謳いあげた女性賛歌の秀作だ。
余談だが、当選したスザンヌが白いスーツで登場した時に「蓮舫?」、さらに公約に“友愛”を掲げるので「鳩山?」と思ったのは私だけではあるまい。まさかオゾン監督が民主党の小ネタを知っているはずもないが・・・(笑)。
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