マチェーテ : 特集
タランティーノの「グラインドハウス」から出現し、ある意味本家を超えてしまった超B級映画「マチェーテ」! 映画ファンならこの映画を観ないわけにはいかない!
映画.com LOVES 超B級映画「マチェーテ」
~映画を愛するすべての映画ファンへ~
■編集部の超B級認定印1:
映画を愛するなら、これを観ろ!映画愛の真髄はB級映画にあり!
映画はもともと見せ物小屋の出し物だった。その出自を忘れず、品格や良識なんかは放っておいて、ただただ刺激と快感を追求するのがB級映画。だからこそ、真に映画を愛する者はB級映画を愛さずにはいられないのだ。
そのB級ならではの醍醐味を確信犯的に描いたのが、クエンティン・タランティーノと本作のロバート・ロドリゲス監督による「グラインドハウス」。そして同作のためにロドリゲス自身が撮った(架空の映画の)予告編を、まさかの長編映画化し、本家以上にB級映画の真髄を追求した作品が、この「マチェーテ」なのだ。刺激と快感を求める真の映画ファンならば……「マチェーテ」を観るべし!
■編集部の超B級認定印2:
「マチェーテ」のココがB級確信犯!
B級映画のお約束をきっちり意識して、さらに過激にした「マチェーテ」は、まさにB級確信犯。そのB級認定ポイントはココだ。
(1)ムダに多いマチェーテ数!すべてが過激で過剰!
B級アクションはムダに多い銃弾数がお約束だが、本作でムダに多いのは“マチェーテ”。マチェーテとは、薮を刈り払いながら進むために使われるデカい包丁のような刃物(山刀)。タイトルでもあり、主人公の名前でもあるこのマチェーテの数が多すぎ。なにしろ主人公が決戦に赴くとき、衣装の前を開くと、そこにはなんと44本のマチェーテが。また、仲間たちが決起するとき、彼らが手にするのは銃ではなく、このマチェーテなのだ。めずらしく銃が登場すると思ったら、これがまたデカすぎ。ヒロインのひとり、ミシェル・ロドリゲスが彼女の腕の4倍はある太さの銃をぶっ放す。
(2)ムダに多いセクシー場面!
ストーリーを中断してもエロいシーンを入れるのがB級の真髄。本作に登場するジェシカ・アルバのシャワーシーンはその典型だ。この場面のジェシカはオールヌード。「シン・シティ」のポールダンスよりもセクシーな姿態を堪能させてくれる。
こんな風にエロいシーンをたっぶり登場させるため、主人公マチェーテは怪優ダニー・トレホが演じる「非」イケメンなのに、超モテモテ。ジェシカ・アルバとミシェル・ロドリゲスの両方とラブシーンあり!
(3)今どき流行のアクション演出は完全無視!
過激で過剰な刺激を観客に与えるために、昨今流行のアクション演出をすべて無視しているところも、超B級認定のポイント。この頃のアクションといえば、決まって「300 スリーハンドレッド」方式のスローモーションや、「ジェイソン・ボーン」シリーズ方式の手持ちカメラで撮るのがお約束だが、そんなものはまったく気にしないのが本作。流行とは無縁の我が道を行く泥臭いアクション演出は、超B級の心意気だ!
(4)キャスティングにB級の極意あり!
キャスティングの狙いも派手さと過激さ。エロい美女は1人より2人がいいに決まっているから、ジェシカ・アルバ、ミシェル・ロドリゲスのダブル・ヒロイン仕様。マジに警察にお世話になってるヤバい女優リンジー・ローハンは、本人みたいなヤバい役で起用してしまう一方、映画通好みの俳優たち、刑務所にいた経歴を持つロドリゲス映画の常連ダニー・トレホや、70年代にマリファナネタで人気を博したコメディアン・コンビ、チーチ&チョンの片割れ、チーチ・マリンはいい役で登場させる。そして、B級映画のおなじみ俳優、スティーブン・セガール、ドン・ジョンソンはいつものような役で登場させておいて、その隣に本格派俳優ロバート・デ・ニーロやジェフ・フェイヒーをキャスティング。キャスティングがムダに豪華なのも超B級印!
■編集部の超B級認定印3:
ロバート・ロドリゲスの真髄はB級にあり!
そもそも「グラインドハウス」のニセ予告編はシャレなのに、それを本気で長編映画にしちゃうのはこのヒトだけ。この事実がロドリゲスのB級体質を証明している。
彼のこれまでの作品を見てもB級映画への愛がいっぱい。アントニオ・バンデラスが殺し屋を演じた「デスペラード」のマシンガンは、なんとギター型。「フロム・ダスク・ティル・ドーン」はクライム・アクションかと思ったら、クライマックスはゾンビ映画。「プラネット・テラー in グラインドハウス」には片足がマシンガンになっている美女が登場、しかもそれを演じた女優と不倫して、16年連れ添った妻と離婚するはめに……これもB級映画への愛のせい? ロドリゲスは昔から、カッコよさよりも過激さ、過剰さを愛する監督だったのだ。「マチェーテ」は、そんなロドリゲスのB級映画愛の真骨頂でもあるのだ。