小川の辺のレビュー・感想・評価
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ブラック企業かも
いやですなー、断れないミッションって。逆らったら家族にも塁が及ぶし。ほーんと、侍はつらいよ。池波正太郎の「上意討ち」では、何年も探し回り、追う方も追われる方もボロボロになっていたが、この作品ではあっさり見つかってしまう。しかし、一本気というか、自分を貫く部分では、佐久間(片岡愛之助)と田鶴(菊地凛子)の夫婦は、似た者同士であるね。
東山紀之の侍姿は背筋が伸びてて、キリっとして涼やか。愛之助との殺陣は見ごたえがあった。愛之助は現代劇でも時代劇でもこなせて、ほんと頼れる役者だわ。これからも二刀流でがんばって欲しい。菊地凛子の顔、ほんとに気が強そう。兄に挑みかかるところは、キビキビ動けててびっくりした。あまり美人とは言えないが、日本髪に着物だとしっとりしてきれいだった。チャラ男のイメージだった勝地涼の男気にも打たれた。
身分違いの初恋は実らないのが相場だが、これはうまくいきそう。田鶴は新蔵なら弱い部分を出せるし、新蔵はそれを受け止められる。真剣で斬りあうほど強気の女が、新蔵にはか細い声で甘えかかるところは、ギャップ萌えした。
BS TBSの放送を録画で。
藤沢時代劇、期待。東山紀之、今、時代劇が一番似合う俳優では。今作も...
藤沢時代劇、期待。東山紀之、今、時代劇が一番似合う俳優では。今作もいい。
配役など気にせず見始めたので、途中から妹を演じるのは誰?期待した。ただ、ひたすら清楚な尾野真千子が既にミスキャスト(笑)だったのであまり大きな期待ではなかった。
やっぱりか、違うなぁ。なんならこっちが尾野真千子で良かったのでは。
今作、まずまず面白いのだが、妹の人柄がどうにも…
音楽はすごく良かった。
BS日テレ
ほぼ身内通しの斬り合い
東山紀之扮する戌井朔之助は、藩命により片岡愛之助扮する脱藩した佐久間森衛を討つ事になった。佐久間の妻は、菊地凛子扮する朔之助の妹田鶴であった。
難題を押し付けられた様な酷な藩命だね。それでも戌井家の立場もあり名誉と言わざるを得ない時代だな。脱藩した佐久間も殿に農政改革を申し出て貶められた結果だった。
東山紀之主演作らしく静かなトーンで展開されていく。ほぼ身内通しの斬り合いは辛いね。なかなか大した迫力だったよ。
映画館で観なくてよかった。
ここまでつまらない時代劇は初めて。藤沢周平なので派手な話ではないのは想像していたが、脚本がつまらない、俳優陣が大根揃い(小野真知子以外全て❎)、殺陣が下手(東山も駄目だが片岡はもっとダメ、藩内随一の剣の達人というのはギャグになる)、本当に酷かった。映画館で観たら暴れていたかもしれない(もちろん冗談です)。
篠原監督が描く藤沢周平ワールド
戌井朔之助の妹・田鶴(菊地)は佐久間の妻になっており、脱藩の際、佐久間は妻を連れて江戸へと逃げていたのだ。朔之助の前に佐久間を討てと命ぜられていた者の調査により、ある程度の見当はついていた。幼き頃から兄弟のように育った奉公人・新蔵(勝地)が田鶴への想いもからんで朔之助について江戸へと旅立った。
佐久間が脱藩した理由は、彼が凶作であった農政を改革するための上申書を提出し、殿と家老を痛烈に批判したとして謹慎を受けていたためだった。田鶴は朔之助と同じく直心流の使い手。妹を斬ってでも主命に従えと諭す父親(藤竜也)と、涙を流す母(松原千恵子)。そして、妻(尾野真千子)は夫の身を案じながらも気高く振る舞う。
封建制度に逆らえない一介の役人。親友でもあり、妹の夫でもある相手。己を押し殺してでも上意を全うするクールな雰囲気が東山に似合う。一方、新蔵は身分違いの恋にも悩み、嫁入りの前に田鶴が彼に身体を差し出す・・・未遂だったようだが、菊地凜子の背中ヌードが女心を語っていた。
最後は藤沢周平作品ではありがちの予想できる結末。それでも新蔵の一途な思いを遂げることができてハッピーエンドという形。
(備忘録)
背景の美しさと武士と言う人生。
武士として主に仕え、命じられたら
それが親友であろうと、妹の夫で
あろうと殺めねばならない。
あまり、喜怒哀楽を出さない東山の
無骨な演技がはまっています。
また、片岡愛之助は声の小ささが
気になった。喉庇ってたのか
叫ぶシーンがきになりました。
まあ、ストーリーとしては
静のものなので、原作や
時代劇が好きな方にしか
お勧めしません。
作風も主人公も真面目
下級武士・朔之助は、ある男を斬れとの藩命を受ける。朔之助は葛藤する。何故なら、その男、佐久間は、親友であり妹・田鶴の夫であった…。
「山桜」に続き、監督・篠原哲雄×主演・東山紀之のコンビで藤沢周平の小説を映画化した時代劇。
ストイックな雰囲気の東山に時代劇はよく似合う。
佐久間役は誰かと思ったら、金融庁の○崎…いえいえ、片岡愛之助。元々歌舞伎役者なので、こちらも時代劇は合う。
佐久間は何も悪人ではない。藩の不正を暴いただけ。(へ〜、あの○崎が!)
それ故切り捨てられる男(今だったらクビ)、切らねばならない男(今だったらクビ宣告人)、いつの世も、社会的立場の弱い者の処遇は変わらない。
友を斬らねばならない。
場合によっては、気の強い妹も斬らねばならない。
藩命か、友の命か、肉親の命か。
道中、過去を回想しつつ、その時を迎える。
主人公の葛藤がじっくりと描かれているのはいいが、如何せん、静か過ぎる。
話も本当にあらすじそのまま全くブレないので、特に大きな見せ場も無く、躍動感に欠ける。
美しい映像の数々が、つい眠気をも誘ってしまう。
決して悪くはないのだが…。
主人公同様、真面目な映画。
なかなか、似合う...。
『武士というものは真に難しいものだ』という
セリフが似合っている作品でした。
全体的に静かな作品で、様々な人々の
感情が入り乱れています。
東山さんもなかなか、
時代劇が似合っていましたよ。
これから増えるんじゃないですかね。
姿勢がピンとしているのが
武士らしい。
品が良い
品の良い作品だが面白くはない。
面白いとはヘラヘラ笑えることではない。
未知の世界観を感じること。
ワクワク、ドキドキ、ハラハラ、ウルウル、ムカムカ、ホカホカ、ルンルンなどを感じることだ。
東山は体のトレーニングが趣味と聞く。
演技というよりも体からほとばしる何かが心をひきつける。
静かすぎて
物足りませんでした。
静けさの中に凛とした雰囲気や運命を受け入れなければいけない武士道なんかを表現していたのだとは思うけど、それを感じることができませんでした。なんででしょう?東さんだからですかね?
これを理解できないということはまだまだ勉強不足であると言われているような感覚を受けました。
いつか”いい映画だな”と感じることができるのでしょうか?
所作の美しさ。
藤沢周平の短編小説を映画化。
短編を長編映画にすること自体が難しいものだなぁ(武士と同じで^^;)と
思わされる出来ではあるが、東山をはじめ、所作の美しさは堪能できる。
また庄内から行徳まで、素晴らしい山景色や川のせせらぎを堪能できる。
物語そのものが単純で波乱を含む話ではないため、そういう細かい処で
休み休みご鑑賞ください、という感じの時代劇でもある。
上意討ちの藩命を受け、脱藩した佐久間森衛(片岡愛之助)を討ちに行く
戊井朔之助(東山紀之)であったが、佐久間は元・ライバルであり親友の
ように助け合った仲間、そして今や妹・田鶴(菊地凛子)の夫でもあった。
何とも酷い藩命とはいえ背くことは許されず、妹だけは斬るまいと誓い
旅支度をする彼に幼なじみのような奉公人の新蔵が御供させて欲しいと
願い出る。新蔵は、実は田鶴の想い人でもあった…。
あらすじはここから一歩も変わらない。
そこで映画はこの旅の道中でなぜ佐久間を討たなければならない藩命が
下ったのかを、朔之助が新蔵に語るかたちで過去へと回想してゆく。
美しい景色と道中での一コマ、仇打ちの場面に出くわすなど、サービス
場面には事欠かない。宿での御飯も(映ってないのに)美味しそうだった^^;
常に凛とした佇まいの朔之助の姿勢の良さ、刃をはじめ武具の扱い納め、
身の回りの世話をする新蔵の動きなど、どの所作も美しく藤沢作品らしい。
妻役の尾野真千子も多くは語らないが表情で夫の無事と家内安全を祈る。
母親の特異な狼狽、妹の露骨な行動など、ツッコミ所はたくさんあれど…
他の部分では観応えのある美しさも存分に堪能できる藤沢作品ならではの
作り方…まぁいつも通りかな、という感じが私はした。
後半のクライマックス、佐久間との一騎打ちとなるのだが、ここはさすが
片岡と東山の殺陣が堪能できる。やっと三度目だな、と頷く二人に憎悪は
なく、刀を交える相手がお前でよかった、との安堵感すら見えるのがいい。
短気な藩主の民政を立て直した上での(いわば要らない)決断だったのだが、
こういうところが本当に…今でいうリストラ、じゃないけど残酷感極まりない。
婿や嫁も好きに選べない、藩主の命令には絶対に背けない、そんな中で
生きねばならない男の苦悩と使命感を、静かに、美しく東山は演じている。
まぁ…そんな中言いたくはないですが、菊地凛子は完全にミスキャスト。
勝地くんと並ぶとオバサンと弟みたいな^^;あの風情にはさすがに参りました。
私が新蔵なら恋などしませんが(爆)、ひとりだけ現代人パワーに満ちた演技を
振りかざして一心不乱。しかしハリウッド女優とて、時代劇には向かない顔面。
訓練して何とやら…もいいけれど、やはり日本映画なら適材適所の方がいい。
ちなみに小川のせせらぎには…とても癒されます。
(この愚か者めがっ!!てヒガシに怒鳴られて目が覚めてくれるといいんですが)
クラシックだからこそ、武士の残酷な運命が美しく際立つ
藤沢周平原作の映画ってぇっと、『隠し剣鬼の爪』や『必死剣鳥刺し』etc.エキセントリックで血生臭い決戦が印象強いが、今作は、お互いの幼少期から綴る人生模様や、情と命令の狭間に揺れ動く心理状態etc.を静かに取り入れ、一騎打ちをマッチメイクしているため、作品のおとなしさに戸惑いを隠せないのが見終わった後の本音である。
しかし、勇壮な自然美と幼少期の淡き思い出を巧みに織り交ぜながら、淡々と盛り上げていく様式美に、従来型とは違う武士道の残酷さが克明に浮かび上がり、感覚深かった。
ストーリーの鍵を握る使用人の勝地涼や女房の菊地凛子の存在感に違和感を覚えたのは残念でならないが、多くは語らず任務を全うする東山紀之のストイックな姿勢は、観る者を魅力する。
菊地凛子の生々しい背中が未だに記憶を焼き尽くす。
大臣が知事の応接室に先に入るか、入らないかでスッタモンダしていた今の日本社会が余計にバカバカしく感じてならなかった。
では、最後に短歌を一首。
『剣握る 運命に憂ふ 武士の道 覚悟を秘めて せせらぎに断つ(立つ)』
by全竜
理不尽な運命の中にもほんのり明かりを灯す
毎年のように映画化される藤沢周平原作作品。共通しているのは、地方小藩の家臣が主人公であること。また、剣術の腕に優れていること。そして理不尽な殺生を余儀なくされることだ。
今作の朔之助も〈上意〉の名の下、妹の夫を切らねばならなくなる。さらに、この作品はポイントがもうひとつあって、妹・田鶴も剣の使い手ということだ。田鶴が歯向かってきたらどうするか、父・忠左衛門は「そのときは斬れ」と言う。代々家臣を努めてきた武家にとって当然の言葉だが、苦渋の決断をする父の心を思う朔之助を東山紀之が好演。ただ、今回の作品は、台詞に訛りがないのが特徴。
脱藩した佐久間が民のために男気を見せるエピソードを挟み、佐久間と朔之助の御前試合を通して拮抗した剣の腕を伏線に置く。そして肝心の妹・田鶴はなかなか登場しない。
その田鶴を想う戌井家の奉公人・新蔵の存在が大きい。朔之助の伴をするなかで、武家の主従関係や作法を垣間見せ、自然を切り取った映像と共に作品に味わいと深みを持たせた。田鶴をなんとか斬り合いの場に遭遇させないよう計らう新蔵と、その意を汲み取る朔之助とのやりとりは主従関係を超えたものがある。
それだけに、いざ、決闘に向かう場面は、藤沢作品の中でもひときわ緊張感が漂った。
音楽が「蝉しぐれ」だったかの旋律がまつわりついて、度々意識がスクリーンから逸脱してしまったが、監督の篠原哲雄は、理不尽な運命の中にもほんのり明かりを灯す粋な演出が相変わらず巧い。
抑制された描写の美しさ。
映画『小川の辺」を観た。感嘆すべきは抑制された描写の美しさ。叫んだり騒いだり目を引きつらせたりという演出の溢れるテレビや映画作品の中にあって、この作品は実に爽快なまでの清々しさを感じる。殺陣にもこだわった跡を見た。古流の組太刀を基本によく考えられていた。刀の拵えもよかったし、二本差してあるくシーンでは、腰の重さに鞘の中味が金属製だと判り好ましかった(普通は竹光)。近来稀に見るよい時代劇を堪能させていただいた。
静謐で情感豊か。
主役の戊井朔之助を演じた東山紀之が,
優雅な所作と凛々しい存在感ですこぶる格好良かった!
必殺仕事人といいヒガシは時代劇がハマる!
開幕後10分で結末が見えるが,
思い出に押されて歩く道中のドラマが味わい深く,
”歳を重ねても兄弟の心は幼少のままなのだなぁ”
と,
伝わる3人の絆が好印象だった。
派手さは皆無でも,
ほのかな余韻はいつまでも消えない良作。
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