「犬守る人間に。」星守る犬 ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
犬守る人間に。
原作はまったく知らなかったが(ホントにいつものことで…^^;)
会社の同僚が原作ファンだった(爆)聞いたらそちらは九州を目指すという。
あら、映画は北海道だったわよ!?とまるで違うのが面白いとは思ったが、
東京~北海道まで向かう道中、震災で被害を受けた海岸線や砂浜が登場し、
そのあまりの美しさに哀しみが増した。まさに思いも寄らないとはコレだ。
原作が泣けると評判の物語だが、これは観る者の価値観によって変わる。
このお父さんと犬の死をどう捉えるか。愛する人(犬)に見守られて逝った、
幸せな最期だったと思うか、なぜお父さんは無責任な孤独死を選らばねば
ならなかったかと腹立たしく思うか…。申し訳ないが、私は後者である(-_-)
なぜならこのお父さんが(演じた西田敏行のキャラ含めて)いい人すぎるのだ。
どうしてこの人があんな死に方を選ばなければならないのかと憤ってしまう。
犬の存在は置いといて(ゴメンね)まずそっちが気持の隅から片付かないのだ。
このお父さんは仕事でリストラされ、家族にも見放され、財産も失い、更には
病気まで抱えているのだが(これがどれくらい重いのか分からない)、人生って
こんなものなのかよ?と思うと切なくなる。確かにリストラ後、やる気を失くし、
家族に迷惑をかけている。でも、女を作ったワケでも、借金を作ったワケでも、
(確かに奥さんは大変な苦労を背負ったが)家族を裏切ったワケでもないのに、
なんでそう簡単に捨てられちゃうんだろうかと…そこが切なくてたまらない。
このご時世、確かに生きていくだけで大変だ。まずは仕事すら見つからない。
でも、家族のためにコツコツと働いてきたお父さんに何かの猶予はないのか?
それまで仲の良い家族だったこの家庭が、簡単に壊れてしまったことへの憤り、
さらには身体が悪い夫に気付かなかったのだろうか?という疑問も沸き起こり…
ハッピーがいれば満足!?いんや、それじゃあハッピーまでかわいそうなの!!
ペットは家族同然だという。ならば家庭不和を喜ぶペットがどこにいるのだ。
お父さんはハッピーがいるから幸せ?満足?いんや、ハッピーはお父さんが
その家の主人だと分かっているから従うのだ。お父さんが右といえば右、左と
いえば左、お父さんの指示に従い、ピッタリと寄り添うのがハッピーの役目で
あり、生き甲斐なのである。ど~してそれが分からないのだ!!お父さんは!!
ハッピーの幸せは確かにお父さんと共に生きることなのである。だけどそれは、
死んでしまっちゃ話にならないでしょう。自分の死後、ハッピーはどうなるの?
どんな病気だったのか(命に関わる重さだったのか)分からないが、治るのなら
養生して、頑張って、また元気に生きて欲しかった。それがムリならあそこで
涙をのんで、三浦友和に引き渡すべきだったと私は思う。子供に対する責任が
親にあるのなら、ペットに対する責任は主人にあるはずだ。子供が不憫だからと
道連れに無理心中を図る親がいるが、それが親の責任だと思ってるのだろうか。
やりきれない、じゃあなんでその命は誕生したのよ?させたのよ?
大好きな人(犬)の傍にいたいのは誰もが同じである。
こんなことになるなら(死期が迫ると)玉鉄演じる市職員が想い出を語るように、
もっと、もっと、可愛がってやればよかった。遊んでやればよかった。と思う。
だけど亡くなる側にとって、自分を看とってくれる存在だけで有り難いのである。
命を看とってやるまでが責任なのだ。犬にはその責任の先が分からない…。
人の死(ペットの死)は辛いが、乗越えて何歩。共倒れなんて、選んではダメだ。
厳しいことばかり書いてしまったけど、ハッピーもクロも本当に可愛かった。
彼らの演技に合わせて俳優陣も大変だったそうだが、その分、感動も生まれた。
叶わないものを追い続けるから星守る犬、じゃあその犬守る人間になりましょう。
(あの三浦マスターの家にも犬がくるといいな。ハッピーみたいな子がくればv)