冷たい熱帯魚のレビュー・感想・評価
全52件中、1~20件目を表示
情け容赦ないストーリー、そしてエログロにつき閲覧注意。映画としては面白かった。
タイトル通り、本当に情け容赦ない世界です。人間の真実を暴きだすかのような登場人物の姿を見てしまい、明日から誰も信用できなくなりそうな、そんな凄まじい映画でした。愛情など幻想だと云いたかったのでしょうか。そんな世界を描いた傑作だと、私は想います。
園さん、マジになってどうするの?
紀子の食卓、愛のむきだしは俺の中では忘れられないが、他の園監督の映画はスパっと忘れてしまった。確かに俺が今監督で映画を見るなら、と聞かれるとこの人ぐらいだ、って答えるだろう。
で冷たい熱帯魚。
昨日見てもう忘れるだろうの部類に入っちゃった。
こういうのなら、俺タランティーノやヘンリー塚本見てればいいや。
問題あるのは、テーマと見せ方
R18は画面だけの話であって、中身は上映禁止レベル。映画館でやってはイカンだろ。これを面白かったねえ、と知人と話はできねえ。ネットでグヘグヘいいながら、この映画を語る人間が増えるだけ。
画面についても見せてはいけないものを見せることで映像に力を与えようとしている部分が多すぎ。
救いのない連鎖が最高に不快で最高に魅力的。
『冷たい熱帯魚』はただの猟奇事件をなぞった映画ではなく、人間の中に潜む怪物性を暴き出す一本だった。
主人公・社本は一見「気の弱い中年男」として描かれる。だが物語が進むにつれて、彼は村田の狂気に巻き込まれるだけの被害者ではなく、もともと内側に眠っていた暴力性や支配欲を少しずつあらわにしていく。妻を殴るシーンに至っては、もはや「感染」や「洗脳」ではなく、社本自身の本性が解放された瞬間にしか見えなかった。
だからこそ終盤、社本が暴走していく展開は恐ろしくも納得できる。優しい顔をしていた人間が、状況次第であっけなく怪物になる――そこにこの映画の本当の恐怖がある。
そしてラスト、娘の手で父が刺される場面は、「狂気は連鎖する」という監督の冷酷なメッセージだろう。救いのない結末なのに、どこか滑稽さを帯びていて、観客は笑うしかなくなる。まさにブラックユーモアと地獄の融合。
『冷たい熱帯魚』は観る者を不快にさせながらも、人間とは誰しも怪物になり得るという普遍的な問いを突きつける。後味は最悪なのに、強烈に記憶に残り続ける。
この矛盾こそが、本作の最大の魅力だと思う。
監督本間好きよねて話
ジャンルはプレデターとかエイリアン
捕食者と侵略者にどう立ち向かうかみたいな話
そこにちょっと色挿しました的な
でんでんさんはやっぱり怖い。
怖く無い役してても怖い。
豹変
化けの皮が剥がれる、でんでんさんの豹変振りに圧倒された。
遠慮なく人々の鬼畜っぷりを晒しまくっていて、実話を元にした話なのが信じがたいけど、配役の力なのか最後まで、ある意味で納得しながら見入ってしまった。
全員サイコパス
村田が殺された後の終盤の描写はリアリティがあった。黒沢あすかさんの演技も吹っ飛んでいて良かった。
娘は、父が死んだ後に笑い飛ばしていて、店内でも娘をなかなか見つけられず、この父は娘に愛を注げていなかったんだと感じた。
村田のうわ言からも、残虐性は幼少期の虐待が発端だろうと推測される。愛子の愛し合いたいと何度も言い、性への執着が強い事も愛情の欠如だろうと感じた。
もしかしたら犯罪を犯してしまう人は、充分に愛を受けれず、寂しさからくる心の歪みがそういった衝動に繋がってしまうのかもしれない。
まず家族や身近な周りの人に優しく愛情を持って接する事が世の中の平和に繋がるだろうと思った。
実在事件をでんでんの驚異の破壊力で描く!
ホラーを超えた、恐ろしいまでの作品が産まれました!
本作品は、数々の映画賞を受賞しています。園子音監督自ら最高傑作と話しています。が舐めてはいけません。めちゃくちゃグロイです、めちゃくちゃ怖いです、めちゃくちゃ後味悪いです、めちゃくちゃ辛いです。でも、この世界観、最後までどっぷりのめりこんでしまい途中で絶対やめられない。
なんたって人間解体シーンが出てきます。確かにグロいのです。でも、それ以上に人間の弱さ、愚かさ、怖さの方の描写が断然に深く、映像以上に印象に深く突き刺さってくるのです。
でんでん演ずる村田の悪役っぷりがもの凄い!演技が凄すぎる!話術、説得力そんでもって強制力!言葉、表現力がこれほどまでに犯罪の武器になるとは。一見やさしくお人よしにしゃべる村田、しかしそれは自己中心で地獄への道しるべ。人を殺すことなんかお手の物!楽しんで人間を切り刻んで抹消し、魚に食べさせてしてしまいます!死体が出て来なければ犯罪にはならないのですから!!!
一方、吹越満が演じるは、前妻との子供を残し再婚したが全く会話も無い冷めた生活を送る。自分の意思も持たず、断ることも出来ない一家は格好の村田の餌食に。いつの間にか共犯者とさせられた男の行き着く先は・・・。開き直った人間はここまで変われるものなのかと感じてしまいます。
いい意味で期待を裏切られ続ける展開は、先がどうなるかも全く予想できません。どれだけ残酷な結末になるんだろうと不安を抱きながらラストまで突っ走り続けるしかないです。約150分の長丁場ですが、全くだらけさせてくれず、緊張感で息を呑み続けないといけないのです。
こういう映画にエロシーンはつき物ですよね。いわゆるエログロと言われるもの。このシーン必要なのか?って思わせる、いわゆる客寄せ的なエロシーンと感じることが多いのですが、本品には必要不可欠でした。人間の欲望を描くだけではなく、愚かさまで描ききります。個人的には、グロいシーンよりもむしろエロシーンの方が強烈に嫌悪感を感じ、後味を悪くさせました。
特に、黒沢あすかが演ずる村田の妻としての生き様が強烈でした。強い男に惹かれ、裏切る姿がむなしさすら感じてしまう。ラストの彼女の生き様は、同情すら抱いてしまうのです。愛してくれる男を裏切った。しかし最後は愛してくれる男に行き着いた。行き着いた先がまた強烈…。
1993年に起こった埼玉愛犬家連続殺人事件を参考とした物語だそうで。
っていうか、実際にあった事件なんだね・・・。
かなり期待外れ
期待していただけにかなり残念。
序盤はでんでんの演技に圧倒されたけど、なんか中学生が考えたようなエログロ的な展開ですごく安っぽく感じた。
登場人物が基本的に狂っているけど、人間の深み的なものも感じず、そこにストーリーも感じなかった。
せめて村田夫婦の過去の描写が少しでもあれば良かったのかな…。
あと全体的に女性の露出の激しいのもよく意味が分からなかった。
なんかもう、ショックでした
ずっと気になっていた作品ですが、
なかなか見る時間がなくて見れてなかったものです。
冒頭十分でわかる冷え切った家族関係。
ごはんが全部レトルトだし、会話が一切なかった。
目も合わさずご飯を食べるシーンが印象的でした。
娘が万引きしたときに出てきた村田がまぁ、
奥さんを寝取りそうだなーと思ったらすぐに寝取られて泣いた。娘も住み込みのバイトに行ってしまうし、
奥さんと娘を人質に取られた状態で人殺しに加担してしまう社本。
村田のマインドコントロール能力の高さに舌を巻きました。ああやって人を操るのか、怖い、、と素直に感じました、、本当に怖い、、、
最後の方の村田を殺して、美津子を家に連れ戻すシーン。
美津子がどの子かもわからない社本を見て
美津子のことなんにもわかってないじゃん、って悲しくなりました。自害した社本を蹴り飛ばしながらやっと死んだか!って言われるなんて辛すぎる、命を賭して生きることを伝えたはずなのに何も伝わらず、死んだことを喜ばれてしまう、、ガーンって感じでした。まぁ、一発で自分のことを当てられない親なんてそんなもんなのでしょうか?わかりませんが。
単純感想としては
妙子さんのおっぱい綺麗!!
愛子が社本に従順になってる時の表情が可愛かった。
大久保可愛かったのにすぐ死んじゃった。
血まみれになる愛子さんすごくいい!!などなど、、
とにかくいっぱい気になるシーンがあって書ききれません。細かく色々と描写されていて良かったです。
途中で止められず一気に見てしまいました。
人には薦めにくいですがいい映画だと思います。
すっっっごく面白かった。
グロなシーンが結構多かったので
彼氏に一緒に見よう!って言わなくて良かったーって思いました!!
難しい
R18+で、予告観て
エ○とグロはあるのは分かってました。
なんだろうな…観終わったあと、なんだか
煮え切らない感じが残りました。
結局、主人公の社本は、村田の言うとおり
1人ではすっきりさせることができない人間のまま
最期を迎えてしまうから、そこが残念だったのかも。
あそこまで奥さんと娘に酷いこと理不尽なことを
しだしたから、すっきりいく方に変わったのか
と思ったけど…人ってすぐには変わらない。
残念な結末でした。
娘の美津子さんの蛇蝎の如く嫌う言動行動。
仕方ないと思う。多感な時期にね。
でも、今目の前で人を○して、こちらに刃物
持って向かって来るお父さん。
必死に人生について伝えようとしたお父さんに
まあ、、ああ言うよねってなりました。仕方ない。
あと、村田の過去がちょっと想像できるセリフが
村田自身の言葉にあって。
私はそこが一番腹が立った。ギフトって映画の
バディって男性と、もしかしたら同じじゃないか…。
途中までめちゃくちゃ怖かった
最後の殺人シーンまではじっくり主人公が洗脳されていく様が分かり、非常に怖かった。これと構造が似た日本のホラー作品はいくつかあるが、その中でもこれは郡を抜いてトラウマになるレベルだと思う。殺人をして解体する作業に快楽を覚えるだとか、異常心理は常に隔離しているように思われるが閉鎖空間で、かつ周りを徐々に堀で固めるようにして侵されていくとこれほどまでに人は変貌するものなのかと、改めて感じた。主人公が徐々に正気を失っていくところを見ると題名が「冷たい熱帯魚」なのも納得。
でんでんででん、でん…
衝撃作。。圧倒的なバイオレンスとエロスで社本と共に観客がマインドコントロールされてしまう。村田の人懐っこさ、強引なまでの親切さは服従への入口だった。愛子、妙子共に匂い立つようなエロスが非日常の世界へ誘う。2時間超えながら、それを感じさせないスピード感、息つく暇もない展開で駆け抜けていく。遺体をバラバラにするグロいシーンも、村田と愛子のあまりの手際の良さ、掛け合いにこちらが麻痺し、次第に笑えてくる。しかし、ラスト美津子の憎まれ口は胸糞悪い、それほどまでに生活が嫌だったのか。抑圧された人間達が解き放たれ、鬼と化す、そんな映画だった。
吹越さんでんでんさんの演技
映画自体胸糞で有名なので見てみました。
園子温監督のエログロ好きです。
村田さんの人の心を掴む人柄で怒らせると怖い、でもなんだか少し抜けていて。
愛子の方がイカれてて物事に几帳面な印象。
私が1番良かったと感じたのは吹越さんの演技。
村田を殺した辺りからの顔がそれまでと全く違う。めちゃめちゃカッコよく見えた。
やっぱりイカれてる人って魅力的に見えるんだな~。
あと、愛子が死ぬ?とき村田の所に行くの感動した。私も死ぬときは旦那さんの腕の中で死にたいな。
最後の娘の言葉は、私には憎悪だけでなく単純に悲しさも入り混じってるのかな、と感じた。
よくわかりません。
胸糞映画を観たく、この作品を観ました。
無駄なグロ、エロ描写。
ストーリーもハラハラしない。
何故、この映画のどこが胸糞なのか。
よくわかりませんでした。
期待し過ぎたからかもしれません。
ラストで、社本が村田と妻を差し、人柄が変わる。社本の本当の姿か。鬱憤か。
村田演じる、でんでんの演技も個人的に幅がなく感じた。
こんなにグロいとは思ってなかった。
いつか見ようと思って先延ばしにしていた。
どんな話なのかも調べもせずに鑑賞。
普通にカップラーメン食べながら見てたんだけど、序盤から嘔吐のシーンがあり、おや?と
勘繰る。(←いつも、このパターン)
あの、働いていた若い女の子たちは
どんな使い方をされていたのか?
きっとエロいことに違いない…なんて
思っていたら、グロいシーンたくさん出てきて、これは苦手な人には無理だ〜と思ってみていた。なんだか、見ているこちらもおかしくなるような出来事ばかりで、正直胸糞わるいが、
結局最後まで見れちゃった。
まず、思うのが、なぜ警察に行かない?ってこと。怖くて行けないということなのかな。洗脳なのか。
結局なんで、でんでんはあんなに殺人を繰り返していたのだろう。短気なだけ?金がほしいから?
30人も周りで行方不明になっていたら
警察もなにか掴めてそうだけど。
グロにわりと強いけど、解体シーンとかはちょっときつい。なんだかズシーンとくる。
終わったあと、我が子の寝顔見たら
スーッとそれが抜けた。
やっぱ我が子はかわいい。笑
おとぎ話
凄まじい作品だった。
どこか、おとぎ話ならいいなぁと考えるのだけど、現実とは切り離せない部分に、この作品の核があるようにも思う。
「人生ってな痛いんだよお」
主人公が最後に放つ言葉だ。
何事にも簡単な事はない。いや…簡単なプロセスには簡単な結果しか訪れない。そんな事を呆然と考える。
娘の前で、首を掻き切る主人公。
「やっと死にやがった、クソジジイ」
娘は父親を蹴りながら高らかに笑う。
見開かれた虚ろな眼からは、主人公の心情は読み取れない。今際の際に彼は何を想っていたのだろうか?
全部手遅れだった。
楽な方、簡単な方を選んだ報いなのだろうか?
その自死も、やはり簡単な方なのかもしれない。
見せ方というか、求心力というか…。
暴力と性と血と狂気と。
よくまぁこんな脚本を思いつくなと惚れ惚れする。
息も絶え絶えな時に呟くでんでんさんの台詞とか、ブチ切れた後の家族の食卓とか。
それだけではないのだけれど、その暴力と性の隙間に挟み込まれる本性のようなアレコレが、人として業を想起させる。
役者陣は皆さま熱演で…でんでんさんと吹越さんは絶品だった。
スピード感がとにかく凄い。
でんでんさんの口調もそうだけど、シーンもカットもガンガン飛ぶ。一旦乗ったら、下ろしてもらえないジェットコースターのようだった。
…僕らは何を誤解していたのだろうか?
世の中には楽しくて面白い事ばかりがある訳ない。
極端ではあるが、コレすらも人の営みの側面だ。
なんか、平和ボケした頭をハンマーでぶん殴られたような気がする。
上手にコラージュされた文明の中身なんてこんなもんだ。見ないように振る舞っていても、すぐ隣ではこんな日常もあるんだよ。
何を呑気に構えてるんだ、と。
それをちゃんと認識し、自分も同類だと立ち位置を確かめてから、まずは立てよ、と。
そう言えば、ラストに歩く吹越さん歩き方が異様だったな。あんなに直立に立てるもんなんだなぁと、そんな事思ったの思い出した。
疲れるだろうなぁと予想していた本作。
大変、疲れたのだけれど、コレを避けて通るようではたかだか知れてると、そんな事も思えた。
色んな意味で、見るべき作品だった。
■追記
レビューを見返す機会があり、ふと去来した感想を書き留めておく。
結構な残酷描写はあるものの、それらはコケ脅しや映画の文法に則ったものではなく、必然だったり必要性の方が強かったのではないかと思う。
やり過ぎでもなく、やらな過ぎでもない。
装飾でもなくスパイスでもない。
なんちゅうか、場所も行為も全てはキャラクターに由来するようだった。「こんな奴がこんな事をする為に必要なアレコレ」そんな所から起因した発想のように思う。伏線の集大成というか…つまる所、人物への造詣が異常な深度だったように思う。
たぶんなら、それこそが園監督の真骨頂なのだろうなとボンヤリ考える。
だから、商業ベースで撮った「新宿スワン」は面白く思えなかったのだなと、変な所で得心を得た。
後味は悪い。でも現実の描き方がおもしろい。
やりたくない家事をこれほどうまく表現できるのかと思う出だしがとても良かったです。
気持ち良い出だしから、いきなり豹変する人間、連続殺人犯が人の弱みにつけこみにこやかに近づく怖さ、簡単に飲みこまれる人間の愚かさ、弱さ…どんどん引き込まれていきました。
父親に暴力を振るわれ、母親に助けてもらえなかった過去を持つと思われる村田さん。
守ってほしい両親に守られなかった絶望が、いきなり豹変し残酷な行為を繰り返す村田を生んだのかなと思いました。
暴力や不幸は連鎖する絶望的なストーリーですが、最後主人公がこれまで溜めこんだものを吐き出しスッキリする様子は気持ちよかったです。
浮かれない現実の残酷さが描かれていると思います。
ホラーとしては完璧、感想としては「惨い」
Netflixにあらすじが載っていたせいで早々にネタバレを喰らって、「ああ、そんな展開ね」とあまり期待せずに見たが、見終わって納得。
確かにあらすじだ…あの少ない文面だけでこの映画の終わりまで予測するのは難しいように思える。
ハラハラし続けた。ついでに怖くて涙も少し出た。ホラー映画としては完璧。だが、オチについては最後まで救いがない。惨い。
ここまで軽めの感想
ここからがっつりネタバレ。
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この映画でも述べられていた通り、生きることは確かに痛いのかもしれない。人を殴ると殴られた相手も、殴った自分の手も痛くなるように、自分の感情を思うがままにぶつけると苦しくて痛いのだ。そんなことが起きないように、私たちは普段から表面上で優しい言葉を並べ、本能を隠し、家族や恋人や他人と、お互いを傷つけないように努力してるんじゃないだろうか。だからこそ、この映画のメッセージ性が際立つ。
痛みを避けることで良いように運ぶこともあれば、この映画の主人公のように問題を抱えたまま、不満足な日常を送る事だって充分あり得る。だから時にはお互いの思っていることを相手に伝えて、発散させることも必要じゃないか、痛みをぶつけ合うことも必要じゃないか、と問い掛けるのがこの映画。
そんでもって、最後に主人公は自分の欲望を発散できるだけ発散して、自殺し、娘に「死んで清々した」なんて蹴られる訳だから、なんとも言えない気持ちにさせられる。
痛みを押し付けあって死ぬことが幸せか、口を閉じ、自分を殺して生きることが幸せか、考えさせられますね。
魚ちゃんのエサ
園子温「家賃3部作」の一作目。
ようやく観ることができました。
実際に起きた事件を基に作られた物語。
熱帯魚店を営む社本は、ある日自分の連れ子の娘が万引きしたことをきっかけに、村田という男に出会う。
村田は自分よりも大きな熱帯魚店を経営しており、人柄も良く何かと世話になるようになるが、村田の本当の顔が明らかになっていき…
娘や嫁を弱みというか人質に取られ、殺人の手伝いをせざるを得ない状況に追い込む、村田の巧みな話術。
普段はニコニコしているけれど、殺しの時は人が変わったように感情をなくす。
「でんでんさんが恐ろしい」と聞いていましたが、噂通りの怪演でした。
そして村田に洗脳され、最後には自分も狂い壊れていく社本も、吹越さんにしか演じられなかったと思います。
黒沢あすかさんのドスの効いた声と芝居も迫力があって素晴らしかった。
グロ描写もしっかりあって、単にグロいというよりは、園子温映画らしい生活感のある汚さや血生臭さが際立っていたように思います。
耐性ついてきた私はいけましたが、やはり苦手な人は要注意かも。
基となった埼玉愛犬家連続殺人事件について、少し調べてみましたが、これはまた映画以上にとんでもない事件ですね。
概要を見る感じだいぶ実際の事件に寄せてきていて、『愛のむきだし』に比べるとかなり忠実。
直接、埼玉愛犬家連続殺人事件の映画化といっても支障がないほど、そのまんま。
ペットショップから熱帯魚店への改編も良かったと思う。
wikiによると主犯のSは、
「殺しのオリンピックがあれば、俺は金メダル間違いなしだ。殺しのオリンピックは本物のオリンピックよりずっと面白い」とか、
「死体がなければただの行方不明だ。証拠があるなら出してみろ。俺に勝てる奴はどこにもいない」とか、
「最初は俺も怖かったが、要は慣れ。何でもそうだが、一番大事なのは経験を積むこと」とか、
「臭いの元は肉だ。そこで透明にする前に骨と肉をバラバラに切り離すことを思いついた」などなどサイコパス発言の数々に震え上がる。
しかもSは獄中で病死。胸糞悪ぃぃぃ
(映画のラストは『地獄でなぜ悪い』的な投げやり感〔それが園子温映画の魅力の一つですが〕があるので、正直胸糞悪くはならなかったけれど)。
人生は痛いんだよ!
ある意味パラサイト。
このとんでもない世界観の中でも家族や人生のテーマはしっかり生きていて、普通の人ゆえの豹変や裏切り、家族の崩壊などエログロだけではない秀作でした。
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