「えらいもん観てしもた」冷たい熱帯魚 mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
えらいもん観てしもた
熱帯魚店の経営者、社本(吹越満)の娘が万引きをしたことによって、あらよあらよという間に、怪奇事件に巻き込まれていく話。
2010年、云わずと知れた園子温作の映画で、でんでん氏が2012年の日本アカデミー賞、助演男優賞を受賞しています。
何の予備知識もなくみたのですが、「えらいもん観てしもうたな」と思いました。グロくて、残忍な血みどろのシーンなど苦手な方は観賞要注意です。自分はちょっと吐きそうになりながらも、途中で止めたりせずに、最後まで観てしまいましたが、エンディングまで貫いてみてしまった自分も「共犯者」になったような気分です。劇場ではなく動画配信サービスで見ましたが、52インチのやや大画面でしたので迫力ありました。(劇場ならば、リタイアしていたかも…)
狂いに狂った常軌を逸した世界が良いか悪いかは別にして、ラストはちょっと理解できず。娘も父親が死んだことを喜んでいるみたいだし。妻に電話をして、「車の中の時計を持って警察へ行け」と伝言するあたりまでは、まだ、まともだったのに。狂気がすっかり伝染してしまったのか、気の弱い主人公が居丈高に人に命令する人間になり次々と人を殺していくのですが、「あっちの世界」へいっちゃった感がありました。
風呂場に死体を運んで、解体作業をするシーンは、もちろん不快極まりないのですが、村田もその妻も、冗談を交えながら、まるで、おままごとでもするように、とんとんと肉を切り刻む姿はリズム感があって、一種、コミカルな感じでもあるので、なおさら怖かった。余談ですが、佐川一政(パリの人肉事件の人)が、あのシーンをもし見たら、何と思うだろうか?
グロだけではなく、エロもしっかり描かれているので、凶暴性、暴力性、残忍性の描写が半端ではなく、衝撃的な作品であることは間違いありません。