劇場公開日 2010年11月6日

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「青少年にお薦めの1本」100歳の少年と12通の手紙 マスター@だんだんさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5青少年にお薦めの1本

2010年11月19日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

楽しい

子供と動物で泣きを取るような映画は嫌いだと公言しながら、「リトル・ランボー」に続けて子供が主人公の映画を観てしまった。
フランスを代表する劇作家エリック=エマニュエル・シュミットが原作・監督・脚本を手掛けた08年の作品。「リトル・ランボー」も07年の作品で、ともに日本公開が遅めだ。

病気を知っている大人たちは、なにをしても怒らない。まだ生きているのに死に人に対するような扱いだ。“ピンクの婦人”ローズの歯に衣着せぬ物言いは、オスカーにとって自分がまだ生きている実感となったに違いない。時にはキツい表現も、人によっては生きる糧になる。
難病ものの映画は多いが、1日を10年として子供に人生を仮想経験させる設定が目新しい。その世代に訪れるであろう人生の機微を、病院という狭いセカイの中で体験させていく脚本が巧い。
短いながらも精いっぱい生きたと自慢できるオスカーの人生、それは少年のまわりの大人たちが貴重な経験を積んでいくことでもあった。
ラストにドクターが言った「実はあの子が周囲のめんどうをみていた」が印象に残る。

この映画を観て、高校生のとき観た白血病の少年と父親の愛を描いた「クリスマス・ツリー」(テレンス・ヤング監督、ウイリアム・ホールデン主演、仏1968)を思い出した。今回、客席は年配者で埋まっていたが、今作のように命と人生、家族愛を描いた作品は青少年にこそ観てもらいたい。ちっとも堅い映画ではない。明るくて楽しくて、ちょっぴり泣ける映画だ。

マスター@だんだん