「胡散臭さが魅力的だった80年代SFへの踏襲と裏切り」SUPER 8 スーパーエイト 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
胡散臭さが魅力的だった80年代SFへの踏襲と裏切り
各々の悩みを抱えた少年達が異星からの何者かと出逢い奮闘する事で、自立心が芽生え、成長する過程は、『ET』や『未知との遭遇』etc.のSFファンタジーを踏襲している。
一方で、事件の全容が暴かれ、主の凶暴性が発揮し、恐怖度がエスカレートしていく展開は、トビー・フーパーの『スペース・ヴァンパイア』やスティーブン・キングの『IT』、ジョン・カーペンターの『遊星からの物体X』etc.の手作り感丸出しのB級モンスターホラーを彷彿とさせる。
緊張と追い打ちのテンポが心地良く、飽きの来ない面白さを満喫できた。
父親の警官がヒーローばりに大活躍するキャラクター性や、友人に必ずデブとメガネとセクシーな女のコetc.を揃える人物配置(そういう意味ではグーニーズの要素も入っている)、
音楽、そして、モンスターが人間を襲撃する際のやたら煽る演出etc.スピルバーグの絶頂期だった1980年代のSF映画から匂わす胡散臭さを意図的に演出しているため、現代のCG技術と組み合わさると不思議な興奮度が出来上がっており、私のような古株の映キチ連中には興味深い世界観を構築していた。
その代わり、オチはとてつもなくヒドい。
まあ、妙にしっかり者の主人公が屁理屈を述べて、一気にまとまらせ、無理やりオトす強引さも80年代らしい創り方やから仕方ないかもしれない。
気楽に恐がりたい人間には、満足できる作品ではなかろうか。
まあ、私のレビュー自体がそもそも屁理屈やけどね…。
要は、背伸びした子供が夢見る奇跡と恐怖を大人が面白がって、大人げなく箱に詰め込んで遊んでるような映画って事である。
では最後に短歌を一首
『真夜中の フィルムを焦がす 抜け荷かな 模型幼き 還り路(未知)追ふ 』
by全竜