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財津一郎、犬塚弘両氏追悼上映で、ハンセン病問題を取り上げたジャズ関係ドラマで、公開当初は今一つ評判が上がらなかったということであった。
主演は鈴木亮平氏で、朝ドラ『花子とアン』や、映画『変態仮面』の出演前の作品であった。最初はぼんやりした感じの大学生で、財津一郎氏演じる祖父が突然やって来て、不承不承に相手をしているうちに、自分と同じジャズに関心がありそうだとわかって、活発さを発揮していく。
旧友を訪ねて回るという話は、色んな物語にありがちだけれど、場所が飛び過ぎたり、孫にとっては迷惑になったり、自動車を替える必要が出てきたり、出会った旧友も、それぞれ個性的な人物であった。そしてあっと言う間にライブハウスでそれらの旧友が一堂に会し、バンドで合奏するので、幻かと思ったが、息子が手配したようだ。それにしても急過ぎる。織本順吉氏演じる療養所の仲間ははいっていなかったので、バンドでは一緒でなかったことを理解した。藤村俊二氏演じる社長が、部下の対応に腹を立てて迎えに行ったのには感激したが、演奏場面は少なかったので、本当に弾いているのか疑問に思った。犬塚氏演じる友人の反応が、なかなか鈍かったので、難しいのではないかと思ったが、元々クレージーキャッツメンバーだったので、この人はちゃんと演奏しているのではないかと思った。ライブハウスオーナー役の渡辺貞夫氏の立ち居振る舞いは、素晴らしかった。
ハンセン病元患者たちの怒りは、MINJI 氏演じるハヨン看護師が代弁していた。息子夫婦は父親に戸惑っていたが、妻は貯金通帳名義で現金に態度を変え、息子は子どもの頃引き離され、抱いてもらえなかった愛着障がいをようやく回復することができたのかな。家族への補償制度が生まれた所以であろう。冒頭で、結婚が破談になった孫娘とは、碌に口も利かずに終わってしまった。ハンセン病を発症した男性との間の子どもを出産しようという女性もいた、という設定も、なかなか希有のものだろうと感じた。最期は、『フランダースの犬』にも似た感じだった。